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奈良の夏は柿の葉寿司

2020-08-03 16:31:13 | 地域と文化
奈良の夏は柿の葉寿司が主役
 とかく奈良にはうまいものがないと言われていますが、実は奈良にも全国にほこれる食べ物があるのです。それが「大和名物 柿の葉寿司」なのです。
そこで、柿の葉寿司の魅力や製造などについて迫っていきたいと思います。
・「奈良にうまいものなし」はある文豪の言葉
昔から奈良にうまいものはないと言われていますが、実はこの言葉は文豪の一人である志賀直哉(1883年~1971年)によるもので、彼の随筆の中に「奈良」というのがあり、短い文章のなかに奈良の美しさが素朴に表現されていて、奈良への深い愛着が垣間見ることができるのです。

その随筆の一節に「兎(と)に角(かく)、奈良は美しい所だ。自然が美しく、残ってゐる、建築も美しい。そして二つが互いに溶け合ってゐる点は他に比を見ないと云って差支へない。今の奈良は昔の都の一部分に過ぎないが、各画の残欠が美しいやうに美しい」(随筆「奈良」より)

しかし、奈良の良いところばかりでなく、奈良の人は、旅人に与える印象がよくない、税金が高いなど、文句や注文も多くあり、この短い随筆を世にしらしめたが「食ひものはうまいもののない所だ」の文章です。

この一文によって、昔から奈良にはうまいものがないというイメージが植付けられたのです。

・自然の器「柿の葉」で食べる寿司
柿の葉寿司は、奈良県の南部で食べられてきた郷土食で、本来なら夏の食べ物なのです。また、寿司を包む柿の葉も庭先から取ってきたばかりの初夏の若葉が用いられ、青々とした色が特徴なのです。

柿の葉寿司は、酢めしを握り、その上に塩鯖をのせ、柿の葉で包んで、押し寿司としたとてもシンプルな寿司なのです。

・柿の葉寿司は塩鯖が命
柿の葉寿司は、シンプルな食べ物だからこそ、ひとつひとつの素材の仕上がりが大きく左右するのです。

米や酢、塩など、どれをとっても味のよしあしに直結するのですが、包んでいる柿の葉を開いて最初に目に訴えてくるのが鯖です。

柿の葉寿司職人は、鯖の寿司はネタの中でも格別の存在で、鮭や鯛、海老など、柿の葉寿司のネタがどれだけ広がったとしても、どこまでも極めたくなる面白い魚は鯖だけといっているのです。

また、魚の状態の見極め、塩の加減や寝かせる時間の判断、ネタの大きさと厚み、酢飯の味付けと鯖との大きさのバランス、そしてすべてを尽くしてなお読めないのが食べられるタイミングなので、レシピ通りにできるものは1つもなく、経験と勘が頼りだとも言っているのです。

鯖の仕入れには、それぞれの店に特徴があり、秋から冬にかけて一番脂が乗った時期に水揚げしたものを大量に仕入れ冷凍保管しておく店、一番状態のいい鯖を求めその都度水揚げ、港も変える店など、各店の鯖への情熱は半端ではないのです。

柿の葉寿司職人が生み出す鯖の寿司の美しさと濃厚な味わいは格別で、鯖は柿の葉寿司の真髄なのです。