母なんぞは
親も居る
双子の片割れも居るし妹も弟も居てる
わたし を 預ける為に母親の居る熱海
そこで断られて 双子の片割れの居る大阪 に 来て 又 断られ
母親の実家の九州のど田舎に置いて行った
それからは天涯孤独を気取って偽名まで使って生きてやがった
時折 弟には会いに行ってたらしい
弟 わたしやない 弟に会いに
母の事故の記事を集めてくれた
ぼんやり 薄い記憶がよみがえる
記事に書かれてる言葉の羅列
冷静に 冷静になんて読めるもんかってんだ
酒の勢いでやっとこさ読んでるちゅうもんやんけ
知った事実愕然とした
わたしの身体に初めて刻んだ文字の名前
母と一緒に死んだ人の名前
こんなことってあるんだ・・・
なんてこった
としか笑えないし
刻んだ文字は消したけど残る傷痕
母と並んだ男の名前やし・・・
そんなん もう どうでもえぇちゅうねん
どうでも えぇし えぇねん
身内 居って困った時は頼って行って
頼ってても何もしてくれへんからって
えっ あんた なんが天涯孤独やねん
なに 気取って好き勝手やっててんや
産んだ子供は 気にならんかったんか
産むだけか 犬畜生でも育てるちゅうもんやで
産むだけかい ほったらかしかい
自分に必死 ぱっち 我がだけかい
なっ・・・むっちゃ・・・理解できてしまう
糞っ・・・気持ち 解ってしまう
あっ~・・・わたしも同じ事 絶対にすると確信出来る
母とわたし 糞程似てる 同じや
母はたったの30で死んだ
わたしは生きてる
母よりもずっと年上やん
羨ましいわ
わたしの身体に刻んだ文字の名前の男を好きやったんなら
好きな男と一緒に死ねたんやんね
羨ましいわ
糞程におんな 女 おんな オナゴの あんたが羨ましい
そして 心の底 心底 想う
生きていてくれなくて良かった
死んでくれてて 亡くなってくれて居てありがとう
わたし と 母 同じ時間では生きられない
同じ時間を過ごしたら誰よりも憎んで嫌って疎ましい存在でしかなかったよ
あなたが居なくなったからこそ
こうして
あなたを恋しがることができる
許し 愛し 求める事が出来る
わたしは 本物 本チャン 筋金入りの 鉄板 天涯孤独や
偽物の母とは違う
本物やから 本物らしく真っ当に行くで
済んだこと 後悔なんか自慢する程あるし
謝まらなアカン事 数え切れん程あるし
兎に角 無茶苦茶 やりたい放題やってきたもんやから
何処から手つけて良いのかも もう 解らんし 覚えきれてへんし
そやから
ごめん 堪忍してね
これから
これからは せんように 間違わんように なるべくね
お母さん
あんたが 生きてたらって 何べんも 何べんも 山盛り考えたけど
やっぱり 神様は居てはるんやね
現実は怖い 痛い きつい
夢は見るもんや 夢は好き勝手 えぇ様にし放題やもんね
夢でお母さんを見て恋しいって想う事で十分やねんね
あなたの亡くなった月に娘はひとつ歳を重ねます
二人の歳は離れて行く一方やね
これから
後 何度
あなたの命日に心乱してキツイ想いするんやろうね
ほんま やってられんわよ
この歳になって 又 新たな事実知るやねんてね
刻んだ文字の名前
今更 なんで なんで 知らなければアカンかったんか
神様だけがご存じんなんだね
あっ・・・
生きて居る
生きてるって
そんだけで 儲けもんやねんね
あっ・・・・
わたし
母とは違う
絶対に違う
これから 先は 真っ当に進むんだもんね
絶対に違うもんね
あんたが わたしを 本物の天涯孤独ちゅうもんにしたんやで