Bankの秘密基地

個人日記兼つれづれなるままに

投資銘柄研究 長谷工(1808)

2005年01月25日 | 銘柄研究
長谷工の投資格付けを買いとし、目標株価を400円とおく。

(ビジネスファンダメンタルズ)

長谷工は従来のビジネスモデルを転換し、キャッシュフローの安定性と受注状況の好転、さらにはバランスシートの改善により、スペキュラティブな銘柄から普通の銘柄になったことでバリュエーションの向上、投資家の再認識を得ることにより株価の上昇があると判断する。完成工事粗利率は今期11.3%まで上昇したのは徹底的な選別受注と、従来のオンバランスの受注から土地の取得、ファイナンス、のアレンジから特命受注による建設工事利益により、リスクを徹底的に回避しながらかつマージンの確保を狙うというビジネスモデルの転換に成功している。また、2005年問題などと言われる市況の悪化リスクはむしろ、統計的に確認できる範囲でほとんどないことから実際の業績の発表と新たな資本政策の発表により株価は大きくその位置をかえることになるだろう。

長谷工の強みはマンションディベロッパーの中でも大型案件に強く、400戸以上の大型セグメントにおけるマーケットシェアが60%以上あり、またこの大型セグメントにおいての契約率は95%と他のセグメントにおける契約率よりも高いのが特徴である。現在言われている売れ残り案件も50戸以下の小型マンションでの売れ残りが多くなっているが、同社は中小型よりも大型に強いことからそのマイナスの影響をあまり受けていない。

長谷工はバブル期の投資が祟りバランスシートの悪化がみられ、1998年には1兆円近い有利子負債が残った。その後2度の債務免除により有利子負債は5000億円を切り、それと同時にビジネスモデルの大転換が行われた。マンションディベロッパーは通常、土地の仕入れ開発、販売という形を取るが、現在の長谷工はディーラー、ブローカーに対する土地の仕入れの斡旋、ファイナンスアレンジという形の開発アウトソーシングに特化することにより、バラスシートを膨らませずにフィービジネスにフォーカスすることが可能となった。また、長谷工の強みは土地の仕入れだが、土地の仕入れは土地情報を最も豊富に持つ銀行案件に強いという特色がある。何故、銀行案件に強いかというと、土地の仕入れの段階で3%程度のフィーを取ることができるが、長谷工はそのフィーを銀行にキックバックすることで銀行から優先的な情報アクセスが可能となっていることである。一方、ディーラー、ブローカーにとっては長谷工から優良な土地の仕入れ情報、アレンジメントが期待できることから優先的に長谷工に工事発注するインセンティブが存在する。

以上の優位性から長谷工は大型案件の市場シェアが65%に達している。また大型案件の契約率は中小案件よりも高いことから売れ残りリスクが低いことから安定的なマージンが期待できる。現在、株価は200円台と低迷しているがこれは昨年発行した転換社債によるダイリューションと債務免除の過程で発生した優先株による潜在株の存在がしてきされる。しかしながら、資本金が900億円、資本準備金が150億円あり、財務的な問題はかなり低下しており、今後は優先株の買い戻しによるバリュエーションの向上が期待される。年間のキャッシュフローは450億円程度あり、今後もこの調子で財務の好転が期待され、現在の株価水準は訂正される可能性が高い。
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