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近況と最近の投資(2) - ブラジル株投資

2011年04月05日 | グローバル投資
 ブラジルへの投資に関してはいくらでも参考となる書籍・ブログなどがあることから、重複するのもあれだし第一大したリサーチをしていない段階で知ったかぶりするのも問題だろう。それに私のブログの目的とも違う。「新興国株式投資で大儲け」というのが趣旨ではなく、このブログはREIT、高配当株式などのキャッシュフローに注目した投資家がメインだと思うので、むしろ一般的なブラジル株投資論は避けよう。とはいったものの、ごく基礎的なことは押さえておくことにする。ブラジルの株式市場は他の新興国同様、資本規制がかけられていることから直接投資がしにくいのは前回も書いたとおりだ。特にFRBによるQE2発動から新興国へのホットマネー流入で、ブラジル政府も金融取引税を課して過度な資本流入を規制している。従って投資の主流となりえるのはニューヨーク上場のADRなどが考えられる。まずベンチマークのパフォーマンスを見てみよう。Bovestaなどのローカルベンチマークはあるが、ここではMSCIブラジルを見てみる。実際にSBI証券などでMSCIブラジルのETFが投資家可能なのでそちらのほうが参考になるだろう。投資家の熱い期待があることは知っていたが実際にパフォーマンスをみてみると...確かにびっくりするぐらいのパフォーマンスだ。

 下図は過去10年のMSCIブラジルインデックスのパフォーマンスだが、年率17.6%(円ベース)のめちゃくちゃな高パフォーマンス。年率だからね。10年間の複利ベースで考えたら100万円投資したら500万になってましたという話だから、驚く。5年間でのパフォーマンスも年率9%、しかも円ベースだ。9%の複利で計算すれば資産は1.54倍になるわけだから、中期的にもすごい数字だ。



 2番目のグラフは無駄なことだとわかりつつ敢えてTOPIXとの相対パフォーマンスのグラフを見てみたが....そうだよね。そうなるよね。日本株に投資して資産減らす一方、ブラジル株なら400%。まあ投資家の視線が熱くなるのもうなずける。但し、気をつけなくてはならないのは2006年から2008年にかけてだ。リーマンショックの影響で株価が暴落している。長期での投資家ならともかく、あわてて参戦した投資家はいまだにやられている可能性が高い。付け加えるのなら、恐らく日本の投資家がその対象なんじゃないかという懸念があるわけだ。そういえばブラジルがどうのと人気化したのはそのころだったような気がする。何事も長期での投資でなければ報われないという典型だ。でも、こうしてパフォーマンスを見てみると少し不安が。もしかして遅すぎる? いや、実はそうでもない。REITや高配当株式などの投資期間中のキャッシュフローにこだわる投資家にとっては実はそれほど問題にならない。自分のことだと分かった上で思うのだがトータルリターンが高ければそれでよいはずなのに、キャッシュフローにこだわってしまう少し間抜けな投資家はちょっと救いがたい。しかも理論も理屈もわかっており、キャッシュフローだけにこだわる合理的な理由はなくトータルリターンで考えるのがより合理的だとわかっているのにである。



 まあ、そんなことをいっても仕方がないので、とりあえずブラジル市場をみてみる。ベンチマーク構成比は以下のグラフのとおりである。これでみると素材、エネルギー、銀行でインデックスの7割を占めている。むむ...よく見るとペトロブラスが重複して入っているではないか。優先株と普通株の違いはあるがペトロブラスで2割弱。さらにItau(銀行)も重複している。この2銘柄でインデックスの3割を占めている。あれっ、ヴァーレも重複している。なんじゃこりゃ。結局、この高パフォーマンスはペトロブラス、ヴァーレ、Itauの3銘柄もっていたらよかったということか? かなり偏ってるなあ。ということで結論としてはブラジル市場に投資するインデックスETFは結構偏っており、特定銘柄のリスクを結構負うことがこれから読み取れる。確かに過去10年の高パフォーマンスはあったものの、それはこの極端に偏った銘柄偏重リスクの結果であると判断することができる。



 いま米国と日本がバブル政策を推し進めている中で資源株を買い進めるのはリスクが高い。(と思う)また、キャッシュフロー重視の困ったちゃんの投資家にとってもおいしくないので見送る。キャッシュフローが安定していて利回りが高そうなのと言えば、大概のケースで通信会社と相場が決まっている。日本でもそうだし、米国でもアジアでもそうなっている。例えば、豪州でいったらTELSTRAやNZ TELECOMなどが代表例だ。両方とも配当利回りでみたら10%程度になっている。但し、業績は芳しくない。というわけで調べてみるとあったあった。以下の2銘柄がターゲットになりそうだ。



 最初の銘柄はなになに、Telecomunicacoes de Sao Paulo SA (ADR)。日本名がわからないが強引に訳せばサンパウロテレコムとなる。当社はサンパウロ州の固定通信サービスを手掛ける会社で国際通話、州間通話てがける。2010年12月現在で1130万の回線サービスと330万のブロードバンドサービス、50万のペイTV顧客を有する。顧客の7割は個人で24%が企業などの商業向け、2%が公衆電話サービスとなっている。なお、当社はスペインの大手通信会社であるテレフォニカの傘下にある。直近の業績は営業利益率22.5%、EBITDAマージン34.08%、ROE20.89%、ROA11.81%。配当利回り17.79%となっている。うむ。まあいいんじゃないか。とりあえず買っておこう...てっ、おい!



 次の銘柄がTele Norte Leste Participacoes SA (ADR)、日本語名が全く想像つかないのでティッカーと同じでTNEでいいや。当社はブラジルにおいて通信サービス事業を展開する企業で、固定通信、データ通信、ISPサービスおよび移動体通信を手掛ける。2009年1月に子会社のTelemar Norte Leste SAを通じてブラジルテレコム(Brasil Telecom Participacoes SA)を傘下に収める。2009年12月末現在、Region Iで地域固定通信の顧客1360万人にサービスを展開、Region IIにおいては770万人の顧客を持ち、合計で2130万人の固定通信顧客を持つ。(Region I、Region IIに関しては後述) 移動体通信に関してはRegion Iで2360万人、Region IIで720万人、Region IIIで540万人の合計3620万人の顧客にサービスを展開している。データ通信サービスに関してはADSLがメインとなっており、「Oi Velox」のブランドでサービス展開。420万人の顧客を持つ。営業利益率21.47%、ROE 21.55%、配当利回り9.76%。
 なるほど、じゃあこれも...てっ、いいのかそれで...

 あまりにも乱暴だが、とりあえずブラジル株がほしくなったので少しだけ。買ってみる。よい子はまねないでね。ちゃんと調べてから買おう。それともう一つ、通信会社の業績はグローバルに悪い。これは各国共通で、急成長して普及率がそれなりになっており、ブラジルも例外ではない。昨年に大幅に減益になっている会社がある(上のTNEなど)。理由は様々だが、IFRS適用による大幅な減益というケースも見られており、配当に関しては過去の実績が全く当てにならない。2つ上げた株価チャートでも見えにくいが横軸に「D」という文字がいくつか見られるが、これが配当が支払われた時期をさしている。見てわかるとおり、何故だかよくわからないが決まった時期に配当をしていない。年によっては配当支払いの頻度が大幅に増えたり、逆に減ったりしておりその理由もよくわからない。これは調べてみるが実績配当だけ見て投資すると痛い目にあいそうである。個別銘柄の資料をあさってみたがなんかいいのがない。というわけでそれは今後の課題としてせめてブラジルの通信業界をレビューだけでも試みる。

続いたりして....

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