一人想うこと :  想うままに… 気ままに… 日々徒然に…

『もう一人の自分』という小説を“けん あうる”のペンネームで出版しました。ぜひ読んでみてください。

母の土地

2012-11-14 20:04:51 | 日記・エッセイ・コラム
 今から50年近く前、母が買っておいた土地がある。
私が子供の頃だったが、その存在は知っていた。
不動産業者から、「今は市街化調整区域だが、いずれ調整区域が外れるので値上がりする」という触れ込みで買ったようだ。
だが、その土地は石狩にあると言うだけで、見たこともないし現地に行ったこともない。頭の片隅に忘れ去られていた。
最近になって、母も高齢になったことから、一度その土地を確認しておこうと思い母に聞いてみた。
すると、ある年からその土地の納税通知書が来なくなったという。しかも面倒くさいのでそのまま放っておいたようだ。
確かに納税通知書を見ると、最後が昭和60年代で終わっている。
固定資産税の通知書が来なくなったのはどういうことだ?
どうにも考えられない。
グーグルマップで登記簿の住所を入力するが、区画整理が進んでいて昔の住所ではまったく検索できない。
だが、大体の場所は分かったのでストリートビユーで画像を見てみた。
すると・・・ なんと住宅が建っているではないか。
知らない間に市街化区域になり、宅地になったのか?
ではどうして納税通知書が来ない?
私とカミさんとの頭の中で悪いことが過った。
誰かにだまし盗られたか?
とにかく石狩市役所に行って確認してこよう。
そう思い先日行ってきた。
 石狩市役所で母の土地のことを聞くと、担当者は親切丁寧に調べて教えてくれた。
それによると、現在は区画整理が進んで、違う地番になっているという。
新しい地番で調べると、確かに母の土地は昔のままに存在していた。
ではどうして納税通知書が来ない?
その件を聞くと、昭和60年代から土地の評価額がほとんど無くなり課税対象にならなくなったからだと教えられた。
早い話、バブルが弾けて評価額がゼロになったようだ。
ちなみに地目は現在も原野のままになっている。
担当者に今後課税対象になることはあるか?
と尋ねると、それは絶対にないと言い切られてしまった。
今で言う原野商法とやらにやられたんだろうね。
 帰り道、実際にどのような場所なのか、母の土地を見に行ってきた。
すると、そこはやはり原野そのもの。
それこそ家庭菜園もできないような荒れた土地だった。
でも、母の土地がそのまま現存するということが分かっただけで正直ホッとした。
今は荒れた原野でも、将来、それこそ私の孫の代には、また変わるかも知れない。
そんな淡い期待を持ちながら・・・


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