HAYASHI-NO-KO

雑草三昧、時々独り言

オオイヌノフグリ5

2013-02-28 | 冬 青色系

「オオイヌノフグリ よもやま話」

雄しべと雌しべ

 2本の雄しべの花糸がS字状に曲がっているため、雌しべは挟み撃ちを避けて直立せず、前屈みの体勢だ。
他家受粉が本命なのだろう。
しかし、二日花でもないのに、開いた葯の一つが雌しべの柱頭にくっついている姿を朝から見つけることもある。
花冠を閉じての自家受粉もしやすいように、微妙な角度なのだろう。


 雌しべの下の方を見たいが、どっこい、そうはさせてくれない。
花冠が落ちるやいなや、瞬時に萼がピタッと閉じて、子房を守る使命のごとく強く包んでしまうのだ。
その早業に負けまいと、花冠を落とす際に、メスを萼の内側に立て、萼が閉じるを阻止しながら、
萼だけをそっと切って、むりやり雌しべだけを裸にして、見る。

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上の文章は、小西さんが先年秋に開いた個展の際に、会場に置かれていた
「オオイヌノフグリ よもやま話」と題されたエッセイから一部を引用した。
精緻な植物画を見るにつけ、その根気と観察力に驚かされるのだがその全文を読めば
作品や植物に対する彼女の思い入れが見える気がする。

画像にはとてもならないと思いながら、少し暖かさが感じられる午後
畑の脇で一時間ほどオオイヌノフグリの花冠が抜け落ちるシーンを見ていた。
花冠が抜け落ちる…と表現したけれど、少し違っている。
平開していた萼が花冠の下部を押し上げて、絞り出すような動きをしている。
その結果として、花冠は雄しべと共に萼の外に押し出されて抜け落ちている。
萼は受粉が終わった子房・胚珠を守ろうとする意志を持っている気がする。
改めて彼女の観察力に感心してしまった。



 





 



 
閉じてしまっている萼と、僅かに開いている萼

もう少し高精度のレンズだとしっかり捉えることも可能だろうか

白い点に見えるのが雌しべの柱頭

花冠が落ちずに萎れている
 


白い点が雌しべ

オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)オオバコ(←ゴマノハグサ)科クワガタソウ属 Veronica persica
(2013.02.25 新明町・玉津町)
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今年のオオイヌノフグリ


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