携帯電話業界ブログ

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NTTドコモ、端末開発100億円支援へ メーカ疲弊、調達に危機感

2009-02-02 |  NTTドコモ



 NTTドコモは30日、携帯電話機メーカーが全額負担している開発費用の一部を負担すると発表した。まずは、今夏発売する新機種を対象に、2009年3月期に約100億円を支出する。

 販売方式の変更や景気悪化の影響で、国内の携帯出荷台数は急減。

 ドコモ自身の好決算とは対照的に、メーカー各社の業績は急速に悪化しており、疲弊するメーカーを下支えしなければ、端末の安定調達や新サービス導入に支障がでかねないため。


●端末メーカーの体力低下

 山田隆持社長は会見で、端末メーカーへの支援を決めた理由を「魅力的な端末を適切な価格でタイムリーに提供するため」と説明した。

 同日発表した08年4-12月期決算の営業利益は、前年同期比19.5%増の7468億円。

 携帯電話の販売台数は1478万台と同23.5%減ったが、販売費用などが減少し、利益水準を押し上げた。メーカーの苦戦とは裏腹に、通信会社が好決算を計上する構図は、KDDI(au)と同じ。

 ただ、ドコモも手放しでは喜べない。端末の販売方式変更に伴う増益効果は一過性であるうえ、昨秋以降の急激な需要の冷え込みで端末メーカー各社の体力が急速に低下。

 「研究開発費の削減で端末開発を計画通り進められないメーカーが出てきた」(ドコモ幹部)。


●危機感に拍車

 昨年11月末に、世界最大手のノキアがドコモとソフトバンクモバイル向けの端末供給を打ち切ると突然発表したことも危機感に拍車をかけた。

 ノキアの撤退では難を逃れたKDDIも、「メーカーが突然いなくなることへの恐怖は常にある」と打ち明ける。

 累計契約数が1億件を超えた国内の携帯市場を2人3脚で築き上げてきたメーカーの衰えぶりに、当初は自助努力を求めていたドコモも方針を転換。

 急きょ具体的な支援策の検討に入ったのは、冬モデルの投入でも売れ行きが回復しないことが鮮明になってきた昨年の暮れだった。


●支援拡大も検討

 まず、今夏モデルに搭載する新機能や新サービスの開発費として、09年3月期に約100億円を支出する。

 GPSの高度化など、ドコモが費用を負担して開発する機能やサービスに関する知的財産権はドコモが所有し、メーカーからの端末仕入れ価格の低下も見込む。

 10年の商用化を目指している次世代携帯規格「LTE」に対応した端末についても、来年度以降、支援を拡大する方向で検討している。


●再編が焦点に

 ドコモの支援について、メーカーから「非常にありがたい」と歓迎する声がある一方、ライバルの携帯会社からは「その場しのぎに過ぎない」という冷ややかな声もある。

 ドコモはFOMAの立ち上げ時期にも、端末開発費を支援した経緯があるが、市場が成長期にあった当時と今回は構図が違うことは、ドコモ自身もよくわかっている。
 
 ドコモのある幹部は、「日本の市場規模でなぜ8社もいるのかという議論は承知している。ただ、この状況で何も手を打たないと、全部がつぶれてしまう可能性すらある。メーカーには考える時間が必要」と話す。

 ドコモが投じるカンフル剤が狙い通りに効くとしても、市況の急回復が見込めない以上、端末メーカーの再編が遠からず通信業界最大の焦点になるのは間違いない。





【記事引用】 「日経産業新聞/2008年2月2日(月)/3面


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