NECは、スマートフォンをはじめとした、携帯電話とタッチパネル搭載のタブレット端末のグローバル展開を加速する。
パーソナルソリューション事業を統括する國尾武元取締役執行役員常務は2日、「グローバル事業の拡大やタブレットの立ち上げ、事業体質を改善することで中期経営目標の12年度に売上高9千億円、海外比率22%、営業利益200億円を実現させる」と述べた。
●出荷拡大狙う
パーソナルソリューション事業の成長戦略の柱として、携帯電話のグローバル化とタブレット端末の早期立ち上げを重点施策に掲げた。
携帯電話はカシオ日立モバイルコミユニケーションズとの統合で、北米を皮切りに海外展開の足場ができた。
既に防水と防塵、耐衝撃性を備えたスマートフォン(カシオ計算機製)が米ベライゾン・ワイヤレスから発売されており、携帯電話だけでなくスマートフォンでのグローバル化も始まりつつある。
「今後は北米で2事業者、欧州で2事業者の4事業者との契約を目指す」(同)計画で、出荷の拡大を狙う。
特にスマートフォンはグローバル標準モデルを開発し、地域の需要に合わせてカスタマイズを行うJDM(ジョイント・デザイン生産)方式を採用する。
基盤をNECで作り、それ以外を海外で開発生産していくことでコスト競争力を付ける計画。
これにより携帯電話事業を10年度の年間出荷440万台から、12年度に1200万台まで拡大し、海外比率も40%に高める。
併せてタブレット端末の本格的な展開を図る。タッチパネル搭載の「ライフタッチ」のほか、2画面を連動させた「ライフタッチW」、キーボード付きの「ライフタッチ・ノート」など独自の端末を発売している。
これらの端末に、長年培ってきたネットワーク技術やクラウドコンピューティングサービスなどを掴み合わせた提案を検討していく。
●グローバル開発体制強化
また、12年度までに国内外での本格的な立ち上げができるよう、今年度中にグローバル開発体制も強化する。
タブレット端末のグローバル開発拠点を数十人規模で台湾に設置するほか、北米でスマートフォンなどのモバイル開発の拠点を置き、グローバル2拠点での開発体制も披いていく。
タブレット端末は、12年度に100万台以上の出荷を目指すとともに、13年度以降は国内外で一気に展開を始める計画。
【記事引用】 「電波新聞/2011年6月3日(金)/3面」