ヒロシマ・セミパラチンスク・プロジェクト

NGO ひろしま市民によるカザフスタン共和国旧ソ連核実験場周辺住民(核被害者)への支援・交流

核実験被曝者 「がん発生率高い」 カザフ外相インタビュー

2012-09-23 23:12:21 | Weblog
核実験被曝者 「がん発生率高い」 カザフ外相インタビュー
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中国新聞社総合編集本部   ヒロシマ平和メディアセンター
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日付: 2012/09/15 土 午後 01:09:45 JST核実験被曝者 「がん発生率高い」 カザフ外相インタビュー

 カザフスタンのエルジャン・カズイハノフ外相は、旧ソ連時代に繰り返された核実験の被曝(ひばく)者について「がんの発生率が高い」と述べ、健康被害の深刻さを強調した。さらに被害が「あまりに大きい」として、国際社会に支援の拡大を求めた。中国新聞社など日本の一部メディアの質問に文書で答えた。(増田咲子) 

 ―セミパラチンスク実験場の周辺住民に対する支援は十分でしょうか。
 周辺には、国全体の人口の1割に当たる170万人以上が暮らしている。放射能汚染の直接的な影響を端的に示すのは、がん発生率の高さだ。それだけではなく、貧血、内分泌腺、呼吸器、消化器などの病気にかかっている。最も心配されるのは精神的な病気だ。

 政府や、世界中からの支援ではとても足りない。冷戦の犠牲となった地区の回復のため、今後も、世界の協力が必要だ。

 ―8月29日にカザフスタン下院などが、核兵器廃絶をテーマにした国際会議を開きました。
 ナザルバエフ大統領は旧ソ連の核実験場を閉鎖し、核兵器も放棄した。全世界での核兵器廃絶は、外交政策の一つとなっており、国際会議は、その成功例。次の段階として、「世界非核宣言」をすることを呼び掛けた。

 ―被爆地広島は2015年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の誘致を目指しています。
 広島市はふさわしい場所だ。NPTは核の不拡散と核の放棄にとって最も重要な条約。核兵器廃絶のための連携と原子力の平和利用に向けて、今後も世界の平和と安全に貢献する力を持っている。

 ―福島第1原発事故を踏まえ、原子力の平和利用をどう考えますか。
 反原発運動の活動家たちが再び活発に動き始めた。しかし、世界の専門家は、現時点で原発に代わるエネルギーはないと確信している。2035年までに世界のエネルギー需要は今の倍になる。ほかのエネルギーに比べ、原子力は比較的手に入りやすく、温暖化の原因にもならない。

 もちろん、安全性を高めるため、地理的・地質的要因などによって建設規制が見直されるのは当然だ。国際原子力機関(IAEA)の果たす役割がより重要となる。

 ―(非核兵器地帯となった)中央アジアは今後、不安定化する恐れがありますか。
 否定的な見通しは不要だ。なぜなら、ここ20年、世界の政治学者たちの見通しとは逆に安定的かつダイナミックに成長した。カザフスタンが良い例だ。最近15年間の経済成長率は毎年平均7%だ。

 もちろん、問題もある。中央アジア全体の福祉を向上し、経済を近代化し、(近隣の)アフガニスタン復興などのために協力する必要がある。 

 その際、日本からの総合的な強い協力に期待したい。私は11月に開かれる、(日本の呼び掛けで始まった)「中央アジア+日本」対話・第4回外相会合に出席する予定だ。地域の協力や、国際社会の支援などがあれば、中央アジアの未来は明るいと確信している。


カザフ・クルチャトフ 軍事秘密都市 変貌 原子力民生利用の拠点に
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 核実験による被曝者を多く抱え、核兵器廃絶を国際社会に訴え続けるカザフスタンは一方で、原子力の平和利用も積極的に進めている。かつて核実験に携わった研究者たちが暮らしていた軍事秘密都市クルチャトフ市を訪れると、国を挙げて民生利用に力を注ぐ拠点に変貌していた。

 セメイ市からヘリコプターで約40分。上空からは壊れた建物が目立つ。地上に降り、国立原子力センター総裁のカイラット・カディルジャノフ氏らに案内されたのは、真新しい建物だった。その一つが2005年に完成し、研究施設などがある原子力テクノパークだ。「トカマク」と呼ばれる今は実験段階の核融合炉や、原子力の平和利用分野での日本との協力関係を示すパネル展示もあった。

 カザフスタンは今、原発1基の新設を計画中。視察にも同行した政府系シンクタンク、ナザルバエフセンター副長のロマン・バシリエンコ氏(40)は福島第1原発事故後も「計画は変わっていない。(地球を温暖化する)二酸化炭素の排出が少なく、コストも安い原発は、将来のために必要だ」と強調した。

 ただ、市民の思いは複雑のようだ。核実験場閉鎖運動にも携わった、与党ヌル・オタン党の「社会分析予測センター」のセンター長カズベク・カズキエノフ氏(64)は「建設に反対する人も多い」と明かす。しかし電気を近隣国から買っている現状や経済成長に伴う電力需要の拡大に触れ、「原発は建設せざるを得ない。福島の悲劇を繰り返さないよう、各方面からの監視が必要だ」と指摘した。

 原発の燃料になるウランの生産量が世界一のカザフスタン。核実験の被害者は多いが、豊かな地下資源を活用するため、懸命に原子力の平和利用を推し進めようとしている。

 原爆で壊滅的な打撃を受けながら、原子力の平和利用を結果的に容認してきたかつてのヒロシマ。その姿とカザフの今の姿が重なって見える。(増田咲子)

クルチャトフ
 核兵器開発を陣頭指揮し、「ソ連原爆の父」と呼ばれる原子物理学者イーゴリー・クルチャトフ博士の名前を付けた都市。かつては核実験に従事する軍関係者と家族だけが住む、一般人立ち入り禁止の「軍事秘密都市」だった。広島・長崎への原爆投下の翌1946年、南側に隣接する広大なセミパラチンスク核実験場とともに誕生した。91年の核実験場閉鎖で2万人を超えていた人口は一時、半分以下になった。最近は、平和利用の研究のため、1万人程度に回復しているという。

(2012年9月11日朝刊掲載)


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