ヒロシマ・セミパラチンスク・プロジェクト

NGO ひろしま市民によるカザフスタン共和国旧ソ連核実験場周辺住民(核被害者)への支援・交流

2021 Summer No.37   

2021-07-24 18:46:38 | Weblog
2021 Summer          No.37
            
ヒロシマ・セミパラチンスク・プロジェクト
〒 733-0861広島市西区草津東3-6-11-2(橋村宅) TEL/FAX:090-2002-7385
E-Mail:mashenka@fancy.ocn.ne.jp  Blog: http://blog.goo.ne.jp/kazakhstan

【2020年度の活動記録】
2020年3月上旬から新型コロナウィルス感染拡大にともない、緊急事態宣言が発令され、三密につながる行動が大幅に制限されました。そのため、世話人会を開くことも出来なくなり、6月になってやっと世話人会を開くようになりました。しかし、セメイ市内しないで開催を予定していました、基町高校の美術部員が被爆証言をもとに描いたヒロシマの被爆の絵を展示する計画は、渡航不可能なため開催を断念せざるを得ませんでした。
   
2020年度の主な活動を報告させていただきます。
●6月7日(日) 第1回世話人会(於:広島市まちづくり市民交流プラザ3F)
  →令和元年度の収支報告の確認と令和2年度の活動計画(①広報誌発行、②総会の開催、③せこへい美術展への出展、④大学生をカザフスタンに派遣し原爆の絵を展示する事業は、カザフスタン共和国東カザフスタン州のロックダウンにより渡航が不可能なため中止を決定)
●7月5日(日) 第2回世話人会及び総会(於:広島市まちづくり市民交流プラザ3F)
→令和元年度の事業報告・決算報告、令和2年度の事業計画・収支予算、世話人改選及び広
報用パンフレット&展示用パネルを更新することを確認。
●7月23日(木) 広報誌「ヒロセミ」No.36の印刷と発送(A4版8ページ、250部印刷+100部発送)
●8月8日(土)~8月16日(日) せこへい美術展参加(於:旧日本銀行広島支店)
→ヒロセミPJのパネル展及び日本ユーラシア協会「カザフの子の作品」の展示

せこへい美術展でのセミPJの展示風景
●10月3日(土) 第3回世話人会(於:広島市まちづくり市民交流プラザ3F)
→ 在カザフ日本大使館経由での小児病院への医薬品(10万円)の贈呈を検討するが、長期にわたる東カザフスタン州のロックダウンのため、在カザフ日本大使館員も現地に入ることが出来ないことから、今年度の贈呈は断念する。
●11月15日(日) 第4回世話人会(於:広島市まちづくり市民交流プラザ3F)
→多山報恩会の助成金精算の確認を行う。また、日本で勉強及び仕事を始める元留学生たちの近況を確認。
● 2021年2月27日(日)第5回世話人会(於:広島市まちづくり市民交流プラザ3F)
→ 1月22日 核兵器禁止条約が発効し、グローバルヒバクシャ(セミパラチンスクの核実験の実相)の発信と県内の平和団体との学習等の連携強化を進める
●3月7日(日) 『国際女性デー』 (於:ひとまちプラザ)
→ 道田 涼子 若い世代の平和活動報告

道田涼子世話人と娘さん(かのん)と二人で一緒にカザフスタンの核実験の歴史とヒロシマセミパラチンスクプロジェクトとカザフの人々との相互訪問や活動について報告しました。
特に、「ザマナイ」の映像に多くの方が感動していました。(2019年カザフスタン訪問時、セメイ市の国際会議開催時のオープニングセレモニーにて道田氏本人が歌唱)
ヒロセミPJの写真パネル展示(期間:2021年3月3日~3月10日)
3月7日国際女性デーの様子(於:ひとまちプラザ)

【2021年度の活動予定】
今年は、カザフスタン共和国独立30周年の年に当たり、現地訪問などを計画したいところですが、特に東カザフスタン州のコロナ禍によるロックダウンは長期に続いており、昨年に続いて今年も現地訪問及びセメイ市内の小児病棟への医薬品の贈呈も出来ていません。
なお、小児病棟への医薬品の贈呈については、現地訪問以外の方法も含めて検討して行きます。また、今年度の活動も今予定されているのは、以下の二つです。
●「せこへい美術館」への出展  8月17日~8月22日 於、旧日銀広島支店
●カザフスタン独立30周年記念によるセメイ医科大学とのリモート会議  8月28日
【元留学生3名、東京・新潟に再留学、山口に就職】
■アクマラル(第2期留学生) 家族で日本にやってきました
アクマラル(2期留学生)は、主人と子供4人で2019年11月に来日しました。
アクマラルは、東京外国語大学言語学、博士課程に合格し、2019年9月に来日し、11月から主人と子供4人も来日しお、家族一緒に生活しています。
現在東京外語大学大学院、博士課程に留学(5年間)、言語学を専攻しています。

子供たちは中学生の長女ナゼルケを先頭に元気に日本での生活を楽しんでいるそうです。
Amangali Nazerke (12歳)
アマンガリ ナゼルケ
Amangali Ingkar(11歳)
アマンガリ インカル
Amangali Aisha(7歳)
アマンガリ アイシャ
Amangali Magzhan(3歳)
アマンガリ マグジャン
■マリカ(第10期留学生) 新潟事業創造大学大学院に入学
マリカ(10期留学生)は、2020年12月に来日し、新潟事業創造大学院大学に入学しました。
WFWP(世界平和女性連合で国連NGOの日本支部)より、日本語弁論大会で表彰されたとの報告がありました。
■ヌルダナ(第11期留学生) 萩市のIT関連会社に就職
ヌルダナ(第11期留学生)は、IT関連会社の株式会社Phone Appliに就職が決まり、2021年1月に来日しました。
自主隔離後、アプリ開発センターのある山口県萩市の明倫学舎で仕事をしています。

ヌルダナからのメッセージ :
広島での留学によって、多くの大事な体験を身に着け、たくさん学ぶことができました。
現在は日本のIT関連会社で働いていて、ワクチン予約システムなどの現在必要とする技術を提供できることを誇りに思っています。ヒロシマセミパラチンスクプロジェクトの皆様に心より感謝しております。
いつも平和を大切に!
写真は、2019年8月4日に「ハチドリ舎」で行われた、トークイベント「カザフスタンの核実験被害のこれまでとこれから」の様子。
左から、平岡敬元広島市長、ヌルダナ(第11期留学生)、アイダナ(第12期留学生)、詩人アーサー・ビナード。

【2021年、カザフスタン共和国独立30周年を迎える】
1949年8月29日に、ソ連邦による最初の核実験がセミパラチンスク核実験場で行われ、その後、1989年10月19日までの最後の核実験まで456回の核実験が行われました。
核実験場の閉鎖を目指して、カザフスタン作家同盟第一書記のスレイメノフ氏は、1989年3月22日に反核団体「ネバダ・セミパラチンスク」を結成し、世界のヒバクシャと連帯し、核実験の中止・核兵器の廃絶、ヒバクシャの救済を求めて活動を開始しました。
また、1990年5月17日に「ネバダ・セミパラチンスク」主催で、中国放送(RCC)⇔カザフスタンTVを衛星中継で繋ぎ、両ヒバクシャが体験を語り合い、海外にセミパラチンスク核実験場を知らせる最初になりました。また、スレイメノフ氏らは1990年8月に広島で開催された原水爆禁止世界大会に参加し、「セミパラチンスク」の実情を訴えました。
1991年8月29日、カザフスタン社会主義共和国第一書記ナザルバエルは、セミパラチンスク核実験場の正式な閉鎖を宣言しました。なお、この行為を記念して国連は、8月29日を「核実験に反対する国際デー」としました。
カザフスタンは、1991年12月16日(国家の祝日)に独立を宣言し、2021年12月16日で30周年を迎えることになります。

この30年間で起きたカザフスタン共和国の出来事及びヒロシマ・セミパラチンスク・プロジェクトの主な活動を振り返り紹介します。
※1991年12月16日、カザフスタンは独立共和国となる。
1994年8月、広島市でアジア競技大会に向け、公民館活動を通じて「一館一国運動」がはじまり鈴ガ峰公民館を中心に「広島カザフ友好の会」が発足し、その輪が広がっていきました。
1997年に日本ユーラシア協会主催の日本文化週間で、広島から12名の代表がセミパラチンスク核実験場跡地を訪れ、世界では核実験によって多くのヒバクシャが生み出されていることを知らずに過ごしていた事への自責の念を強く抱いた。
※1997年12月10日、アルマティからアスタナ(現ヌルスルタン)に遷都。また、1998年4月からアスタナ新首都設計がスタート。27チームのコンペの結果、黒川紀章案が第1位となる。
1998年9月7日、ヒロシマ・セミパラチンスク・プロジェクトを発足。1997年に現地を訪問した人たちは、ソ連崩壊後の混乱している状況から、緊急に現地への医療支援が必要であることを実感し、その為の募金活動や市民レベルの交流を進めるために広く活動参加を呼びかけ、プロジェクトの発足にいたる。
1999年8月、ヒロシマ・セミパラチンスク・プロジェクト発足後初のセミパラチンスク(セメイ)を訪問。健診車両として使うためにトヨタハイエースワゴンを寄贈する。
医療支援活動では、エコーなどの検査機器と武市先生や野宗先生による甲状腺検査や医療技術向上のためのセミナー開催を行い、2013年からはセメイ市内の小児病棟への医薬品の贈呈を続けている。
2000年4月から山陽女学園高等部でセメイ市からの留学生の受け入れが始まり、2018年19期留学生のアイーダが25人目の留学生となり、これをもって留学生の受け入れを終える。
※2001年10月、日本の円借款によりイルティッシュ川橋梁(6車線、750m)完成、建設工事は(株)IHI。
※2006年9月8日、中央アジア5カ国(カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)によって「中央アジア非核兵器地帯条約」が調印され、2009年3月21日に発効。
2009年8月7日、NHK総合テレビジョン「ノーモアヒバクシャ~核兵器のない世界を目指して~」が放映。ローザ・リムバエバ氏による「ザマナイ」の歌が紹介され、日本語通訳をアケルケ(第1期留学生)が行った。
2012年7月、カザフスタンの歌手であるローザ・リムバエワ氏を広島市に招聘し、各会場でコンサートを開催。
2014年8月29日、ネバダ・セメイ国際反核運動25周年のセメイ市内で開催される国際会議に広島から代表団を派遣。広島市からは、平和文化センターの小溝理事長が出席。
2016年11月9日、ナザルバエフ大統領、広島平和記念館を視察・訪問、「ザマナイ」の合唱で大統領を出迎える。
2018年7月、ヒロシマ・セミパラチンスク・プロジェクト20周年企画としてセメイ医科大学のナイラ博士と第1期留学生のアケルケを招聘し、基調講演及びこれまで関わってきた方々からの報告を頂いた。
※2019年3月19日、ナザルバエフ大統領辞任表明し、翌日、トカエフ上院議長が大統領に就任。また、2019年3月23日、トカエフ大統領は首都名を「アスタナ」から「ヌルスルタン」とする大統領令に署名。
2019年7月、11期留学生のヌルダナ、12期留学生のアイダナを招聘し「旧ソ連の核実験から70年、カザフと日本の若者を中心としたシンポジウム」を開催。
2019年8月、セメイ医科大学主催の国際会議「環境・放射線・健康」に代表団を派遣。
※2019年8月29日、カザフスタン共和国は核兵器禁止条約に批准し、26か国目になった。その後も批准国は増え続け、2020年10月24日に批准国が50カ国に達し、その90日後の2021年1月22日に条約は発効された。
2022年1月12日~14日の日程で、オーストリアの首都ウィーンの国連施設で第1回締約国会議が開催される。