水瓶

ファンタジーや日々のこと

神奈川県立歴史博物館・一遍上人聖絵展

2015-11-22 13:32:36 | 民俗のこと
秋の雲に黄葉し始めた銀杏。慶応大学日吉キャンパスの並木です。

まるで毎日小春日和のようにあったかい日が続きますが、11月なんですよね。
昨日は神奈川県立歴史博物館の国宝・一遍聖絵展に行って来ました。
時宗の総本山遊行寺の宝物館がリニューアルオープンするので、その記念事業として、
ここ県立歴史博物館と金沢文庫、遊行寺との三館で共同展示しているそうです。


秋の空にゆれる秋桜。風が止まった瞬間にパチリ。


駅への道のりで見かけたコダチダリア。うちの近所ではここ2,3年で急にあちこちで見かけるようになりました。
大きな花をつけて背が高く、風にゆーらゆーら揺れる姿は結構目立ちます。


こちらもゆらゆらゆれるセイタカアワダチソウ。暗くなりかけた時にゆれる影を見ると幽霊っぽくてちょっとぎょっとします。
花が終ると名前のとおり泡立つかのように、こんなにワタワタモコモコするんですね。なあるほどう。


銀杏並木はまだ緑の葉も混じり。黄葉が進んでいるのは、道が交差してる角に立ってる木が多いような?


これからまだまだ黄色くなります。


古くからあるという銀杏。
ひょっとして、ステゴザウルスやティラノザウルスやの背景にもこんな黄葉が見られたりしたんでしょうか。


君の名前みきゃんていうの? 駅に着くと愛媛県のゆるキャラ、みきゃんちゃんがまたまた来ていて、
愛媛県の名産品の販売にいそしんでいました。この子はすんごくうれしそうにみきゃんちゃんに埋まったりしていました。


なんとみきゃんちゃんのしっぽにはミカンの花が咲いているのです。

この後みなとみらい線で馬車道駅すぐ近くの歴史博物館へ。なかなかの人の入りでした。
実は一遍上人もみきゃんちゃんに同じく愛媛出身なのです。

一遍上人は鎌倉時代の人で時宗の開祖に当たり、なむあみだぶつを唱えれば極楽に行けると庶民に教えて回ったそうで、
その遍歴を記録したのが一遍上人聖絵です。踊り念仏って聞いたことありますか?
昔の絵巻といえば貴族か武士が中心のものがほとんどで、庶民の姿を描いたものは少なく、
当時の庶民の風俗など知るのにも、とても貴重な資料になっているそうです。

この辺は網野喜彦さんの本に詳しいのですが、時衆(時宗と一宗派に認められたのは江戸時代だそうで、当時はこう呼ばれていたそう)
の僧侶は、全国を歩いて回る必要からか、勧進(寄付を募る)して、川に橋をかけたり港の修繕をしたりと、
当時のインフラ整備に大きな役割を果たしたそうです。
また、瀬戸内海を中心とする倭冦(海賊…!)の船には、時衆くずれというか破門されたようなアウトサイダーっぽい僧侶が
乗り込んでいることが多かったそうです。
倭冦の海賊船は他の船を襲うばかりでなく、自ら中国大陸の方と貿易なんかもやっていたらしく、
当時の庶民にはほとんどできなかった読み書きができ、計算もできる僧侶は大変重宝されたそうです。

絵巻では、一遍さんはひと際色黒に描かれていてわかりやすいんですが、ずーっと外を歩いているから日に灼けて黒いんですね。
歴史博物館にあった絵巻は、神主の息子夫婦が一遍さんに感化され出家する巻や、東北に流された祖父・河野通信の墓参りの巻、
富士山の辺りで時衆に加われなかった僧侶が入水する巻、一遍さんが出た河野家の氏神だった大三島の大山祇神社にもうでた巻、
厳島での神楽が描かれた巻、また一遍さん臨終の際に、弟子たち六人が後を負うように入水する巻などがあり、
大変見応えがありました。
あと、昔ってよく、厩のそばでサルが飼われてたそうなんですが、それが描かれているのも見つけて思わずに~んまり。

一遍さんが鎌倉に入ろうとした時、当時の執権北条時宗に阻止されて入れなかった様子が描かれた巻もありました。
この後、片瀬の浜にしばらく滞在している間に、紫雲が出たり花が降ったりという奇瑞があったらしいんですが、
一遍さんは「花のことは花にとへ、紫雲のことは紫雲にとへ、一遍はしらず。」ととぼけたそうです。
さすがといおうか、へんくつだあ。


見終わって外に出ると、はや暗い馬車道の通り。日が短くなりましたねー。。


これが今回展示を見た神奈川県立歴史博物館。もとは横浜正金銀行の建物だそうです。


久しぶりに馬車道をぶらぶら。通りのベンチにあったマーク。


この水道のようなもの、「牛馬飲水」と書いてあります。牛や馬のための水飲み場だったそうです。
今はすっかりオシャレになったこの道を、荷をのせたり荷車を引いた牛や馬が行き交ってたんですねえ。
わかっちゃいるけどふしぎだなあ。。


日もとっぷり暮れてからアメリカ山公園へ。クリスマスイルミネーションが始まっていました。

聖絵の絵巻は本にもなっていますが、やっぱり現物は筆のあと絵の具の盛り上がりなど、
あー、ほんとに昔の人がこの紙にじかに描いてたんだなあとより実感できました。
また、十四世紀に造られたという一遍さんの等身大らしき木像もあり、骨ばった裸足に眼光鋭く迫力ありました。
それと、やはり十四世紀頃の時衆の僧侶が着ていた僧衣も展示してあったんですが、
これがボロボロになった麻の衣で、妙に生々しくて怖いぐらい。
うへえ、まるでゴザみたいで着心地悪そうなのに、これ着てたのかあ。。。

一遍聖絵の共同展示は、12月13日までやっているそうです。ご興味がおありの方はこの機会にどうぞ。


最新の画像もっと見る