水瓶

ファンタジーや日々のこと

神奈川近代文学館 柳田國男展

2015-11-08 17:42:40 | 横浜の観光・博物館など
土曜日は神奈川近代文学館の柳田國男展に行って来ました。
実はここ、港が見える丘公園をお散歩中によく立ち寄る場所で、中の喫茶店にも入ったことはあるのですが、
券を買って展示を見たのは初めてです。
へええー、こんなに人が来るなんて、というぐらい沢山の人が来ていました。
しかも若い人が多いのでビックリ! へええー。

柳田國男さんは、昔ちくま文庫で30巻ぐらいになる全集が出ていて、興味のありそうな巻から十冊ぐらい読み読み買っていたら、
いつのまにか絶版になってしまいました。バラバラに読んでいたものだから、全容をつかんでいなかったのですが、
この展示でおおよその流れがつかめて、ふんふんとあいなりました。


近所にもう誰も住んでいない古屋がずっとあったんですが、夏頃とうとう取り壊されて、
今は杭にトラロープで囲われた空き地になっています。
白い綿毛になったオニタビラコや、黒い種をつけたオシロイバナ、ネコジャラシなど、好き放題の秋の庭。いいなあ。



岩手県の遠野郷に伝わる伝承をまとめた有名な「遠野物語」、
宮崎県の椎葉村に伝わる秘伝の狩りの書「後狩詞記」(のちのかりのことばのき)。
海と内陸を結ぶ中継地として栄えた遠野に対して、かつての椎葉村は大変な秘境だったようです。
「後狩詞記」は文語文で読むのにけっこう根気がいりますが、これもなかなか面白いんですよね。
銃器がない時代に、イノシシを弓矢なんかで狩るのは村総出の大仕事で、決まり事も多かったようです。
遠野物語で私が一番怖いのは、「おばあさんが来た!」の話と、
お葬式の夜、家の入口の上の壁に人がはりついてた話です。あれ実際に見たら気絶するんじゃないかな………



妖怪の狸と狐の違い、わかります?
実は、狐の方が古くから妖怪と見られていたそうです。古い神様が没落して妖怪になることは多いそうで、
狐は稲荷神社などで祀られたりしているように、神様(の使い)の面もあるのです。
で、狸の方が妖怪話として失敗譚が多かったりするのは、妖怪として見られるようになった時期が狐より新しいので、
人間が昔よりだまされにくくなっているために、見破られてしまったりするんだそうです。(「幽冥譚」から)

ちなみに狐は美女に化けたりと視覚的にだましてきますが、狸は姿は見せず、たぬきばやしなど、音で化かすことが多いそうです。
視覚の方が聴覚よりだまされにくいからとのこと。うーむ、たしかにね。
そういえば「黒部の山賊」にも、山にこもっていて狸にばかされる話がありました。
誰もいないはずの山小屋のまわりを、沢山の人がガヤガヤドカドカ歩き回っている音が聞こえるんだそうです。
今は、妖怪を見る人はほとんどいないようです。うーむ。見たいような見たくないような。



柳田國男、宮本常一、網野喜彦。網野さんは歴史学者ってくくりになるのかな。
三人少しずつ考えは違いますが、共通してるのはずばぬけてしつこいことでしょうか。
まあ、しつこくなきゃ民俗学なんかできないのかも。

最近本棚から、買って読んでなかった阿部勤也さんの「西洋中世の罪と罰 亡霊の社会史」というのを見つけて
読んだら面白かったです。面白ついでに昔読んだ「ハーメルンの笛吹き男 伝説とその世界」がKindleで売ってたので
これまた読んでみたら、昔より面白く読めました。阿部勤也さんは中世ヨーロッパ研究の人です。
網野さんと対談してから大変意気投合したそうです。さもあらん。



夕ご飯食べてから、すっかり気に入った元町のecomo Bakeryでコーヒーとケーキを。
このカボチャのミルフィーユが絶品!でした。

今はこの「解説 出雲国風土記」読んでます。
出雲国風土記は、かなり詳しい解説がないとチンプンカンプンなんですが(原文は500文字ぐらいしかないそう)、
この本は地名や地図、写真などもいっぱいで面白く読んでます。
島根、鳥取はいつか行ってみたいなあ。特に宍道湖や中海の辺り。本当に古い地名が多い土地ですね。

近頃は本を読んでることが多くて、ブログの更新は間があくと思います。
ま、のんびりいきます。もういそぐ必要もないしね。


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