水瓶

ファンタジーや日々のこと

終わりよければ?

2016-09-28 13:30:16 | 日記
昨日はBSで「The Game」という映画をやっていて、これは番組予定表にあった説明読んだ時から楽しみにしていたんですが、
これが本当に面白くて、おお、いったいなぜ?どうなるんだ?とドキドキハラハラして見てたら、
結末が、えーーー、みたいな感じで。
私は映画でも小説でも後味悪いのが嫌いで、基本的にハッピーエンドが好きなんですが、珍しく

なんでもかんでも終わりよければすべて良しってもんじゃないぞ・・!

と思いました。こういう話なら、スティーブ・マーティンとか使ってコメディタッチでやった方がいいじゃないかあ。
予算も安く済むぞ。なのにマイケル・ダグラスとかショーン・ペンとか使って、予算も潤沢で豪華な撮影環境っぽいし、
それでこういう展開してきてこういう結末で許されると思うてか。
プロセスに見合う結末というものがあるじゃろうが。プンプン。

それで、むかーし読んだある外国の小説思い出したんですが、もう作家の名前もタイトルも思い出せないんですが、
創元でもハヤカワでもないけれど、たしか大手出版社の文庫の本で、やっぱりドキドキハラハラする展開で、
いったいこのトリックはどうやったんだろうと種明かしをすーごく楽しみにしていたのに、最後の最後で

ぜーんぶソ連のKGBの陰謀でしたあー!

というオチで。ちょっと待て、今の今までスパイがどーのなんて話一言も出て来なかったし、
でっきり推理小説だと思って読んでたのに、急にそういう話に持っていくのズルくない???
そりゃ国家的な組織がバックにいたら、たいていの不可能犯罪は可能でしょうさ。

違う、ミステリの犯罪というものは、あくまで個人の孤独な犯罪、たとえ共犯者がいても孤独な犯罪なんだ。
個人が知恵をふりしぼって考え出したトリックを、丹精こめて練り上げて、入念に準備した末に、
時には不測の事態に慌てながらも必死にリカバーしたりしながら完遂した、心のこもった犯罪なんだよ・・・!!!


この小説、創元とかハヤカワだったらスパイスリラーとかいうくくりになってたんじゃないかな。。。
だから前もってそういうがっかりを防ぐためにも、ああいう文庫などのジャンル分けは大事なんだと思いました。
そう、そうしたジャンル分けは暗黙の前提ルールだったんですよ。
自分でも知らない内に、そのルールをのんだ上で読むものだったのです。
特にミステリやスパイものはゲーム性が強いですもんね。まあ私はあんまり真面目にトリックとか考える方ではないんですが。

でもそういえば江戸川乱歩にも、いったいこれどういうトリックなんだろみたいな種明かしがすごく気になるクライムストーリーに、
けっこう未完で終わっちゃってるものが多かったりするので、あらかじめトリックの種を考えてなくて、
結局最後まで思いつかなかったということもあったりするんでしょうかね・・?
またね、そういうのが途切れるとこまですごく面白かったりするんですよ。。。

その小説は読み終わったあと、あんまり腹が立ったのですぐに売ったか捨てるかしてしまいましたが、
The Gameは見て損したとは思いませんでした。
結末はまあ、ちょっと気に食わないけど、とにかく思い出しても腹が立つぐらいの映像美だし、面白いのは間違いありません。
ただ私の勝手な評価で、1時間40分ぐらいまでは☆五つだったのが、見終わった時には☆三つ半ぐらいに落ちただけで。
でもこうやってあれこれ考えて腹立ちまぎれにブログ書いて、ちょっと楽しかったから総合的にはいいか。
終わりよければすべてよし。

おそまつさまでした。


東京スカイツリー・すみだ水族館

2016-09-25 15:43:30 | 東京の町
たたずむペンちゃんず。陸の上ではのんびりヨチヨチだけど、水にもぐるとすごいんだぜ!といわんばかりに、
大水槽の中をまるでイルカのようにジャンプしながら泳いでいました。

昨日は森のなかまの実家へ行った帰りに、とうとうスカイツリーに行って来ました。


といってもお天気はしっかり雨降りで、視界もこんな具合なので展望台には上らず。。


お目当てはすみだ水族館。昨日はあいにくのお天気でしたから、お天気のいい休日よりは空いていたんじゃないかと、
チケット売り場の前の行列並び用のポールを見て思います。
あとは展望台ももちろん、ここのプラネタリウムも一度来てみたい。


ここはクラゲの水槽が充実しているようです。
ハッブル宇宙望遠鏡が撮った深宇宙の写真みたいだ。。。たゆたう銀河群。


なんか神々しくすらあるクラゲ。。古典宇宙SF小説の表紙にありそう。


このブルージェリーフィッシュというのが他のクラゲよりもしっかり固体っぽい感じなんですが、
他のクラゲはたゆたうように浮かぶのに対して、かなり一生懸命シュポシュポポンプ運動してないと沈んでしまうようです。
なんとなく、走ったりして激しく脈打ってる心臓みたいなんですよね。。。
クラゲにはいまだ謎も多いようで、かわいくありながらしかし不気味、また生命の神秘的なアレですよね。アレ。


キノコのようなサンゴ。うーん、キノコとかクラゲとかイソギンチャクとかって、なにやら共通するものがありますって。


スカイツリーの外に出ると急に暗い街並。押上に下りたのは初めてなんですが、なんとなく少し寂しい感じ。



十一月には北斎美術館も開館するそうで、するってえとまたしばらくはすごく混みそうですね。

今日はひさ〜しぶりに晴れ間がのぞき、洗濯物をたくさん外へ干しました。
ちょっと弱々しい陽射しだけど、うれしいもんですね。

好奇心のこと

2016-09-22 20:50:29 | 認知症のこと
何年か前にインフルエンザにかかって、その恢復期に「もう何もする気にもならない、何も面白くないし楽しくない、ぜんぶめんどくさい」
という気持ちになって、でも体調がもとに戻ったら、そういう気持ちもなくなってまたいつも通りに戻りましたが、
ああいう気分がずっと続いていたら、つらかっただろうなあと今でもふと思います。
まあそこまでひどくはなくても、そういう気分の上下はいつでもいくらかあるんだろうけど。

好奇心が強い人って認知症になりにくいように思うんですが、
たとえばテレビの料理番組で作ってた料理がおいしそうだから作ってみようと思い立って、
材料や手順をメモにとる、自分で買い物に行くなり人に頼むなりして材料をそろえる、
そして実際に料理を作る、までできる人は、認知症になりにくいように思えます。
でも少なくとも私が知っているかぎりでは、介護を頼んでるような高齢者の方で、実際に作るまでできる人は少ないんですよね。
大前提として、体力や体調は大きく関係してるとは思うんですが、
好奇心とか、料理や趣味を楽しむ心って、どこから湧いて来るんだろう。
出そうと思って出せる、、、ものなのか、そうはいかないものなのか。

たとえばワイドショーのゴシップとかに興味津々な様子とか見ると、自分はそうはなりたくないなあとか思うんだけれど、
やっぱりそういうのに対して好奇心が強い人も認知症になりにくいことはなりにくいようで、
好奇心にいい悪いの別はないんだなと思います。
好奇心の逆は無関心だと思うんですが、色んな物事に関心の薄い人は、認知症になりやすいような気もするし。。
でもできたら同じ好奇心でも、自分はもうちっとなんかこう、あまり下世話じゃない形で持ってたいなあ。
まあ下世話な好奇心がないわけじゃないけど、そういうのはそれこそフィクションで満たすことにしてさ。

テレビは、特に高齢者にとってはこれからも大事だと私は思ってて、
今はたしかにネットがあって色んなコンテンツを見ることができるけど、かなり能動的に自分から探しに行かないとダメだし、
今はまだそういう気力も体力もあるけれど、段々そういうのがめんどくさくなるんじゃないかなと。。
だから、いい番組作って欲しいなと思います。あんま下世話じゃない、でも高尚すぎない感じで。
あともう一つには、自分で探すと、自分の好みの範囲内で動くので、未知の分野が開けにくい。
テレビのいい所は好みに関係なく一方的に流す所で、すると他に何もなければ見るしかなくて、案外面白いなって興味が広がることもある。
そういえば昔は、退屈だけどもう自分が持ってるのは読み飽きたって、難しい本や大人びた本を読んで、一生懸命面白さをわかろうとして、
それでアタリを引いて(もちろんハズレ、どうしても面白く思えない本もある)面白いと感じる範囲を広げて来たんでした。
半ば強制っていうか、他に選択肢なかったから。

と、好奇心についてつらつら。認知症について考えてると、認知症にならないための対策というだけじゃなく、
人間ていう生き物の、根っこに近い所に近づける気がするんです。ああ、って思うこと多いんですよ。そしておかし哀しい。

今は未知の分野としてジャズを聞き始めたわけなんですが、
森のなかまによると、私はビッグバンドがやってるスタンダードがいいんじゃないか、
グレンミラー楽団とかいいんじゃない?とすすめられました。入門編として。
うん、たしかにビッグバンドの演奏は楽しそうで好きかな。A列車で行こう

一過したのに

2016-09-21 17:27:16 | 日記
台風一過、というか途中で消滅したはずなのに、ぜんぜん晴れ晴れしませんね。
アホみたいに暑い日もなくなって、体はすごく楽になったけど、こんだけじめじめぐもぐもしたお天気続きでは、
気持ちがめいってしょうがないよ。。。
乾きの悪い洗濯物をたたんでるだけで、なんだかしょんぼりしてしまう。
川辺の土手に、かさ幅10センチぐらいの大きなまーるいキノコが沢山生えてて、キノコの生育にはもってこいのようですが。
せっかくベイスターズのCSも決まったというのに。でも三浦投手やめちゃうんですよね。。

さっきBSで「オズ」という映画をやっていたんですが、「オズの魔法使い」の続編が原作らしいです。
全体に陰鬱なムードで、かなり不気味で怖い所もありと、子ども受けはいまいちだったんじゃないかと思いますが、なかなか面白かった。
あと最近は、火曜日の夜に寅さんをやっていて、なんとなく見てるんですが、あれはまるんですよね。
姉が気分が落ち込み気味だった頃、寅さんを毎日のように見てたんですが、なんかそんな感じ。
だいたいいつも最後に、寅さんが逃げるように旅に出ちゃうのがいいんだ。

写真は平田郷陽の「名月」です。たらいに映った月を手に取ろうとする子ども。
手に取れそうなほどはっきり水面に映る月が出るような、すっきりしたお天気になりませんかね。はあ。

ワンダランドの迂回する道のり

2016-09-18 20:56:28 | 雑記

オレはこんなところで生まれた筈はない、どこか遠いところ、たとえば他の天体からむりに連れてこられたのだと、
幼年のわたしが固く信じて、その故郷へ戻るための呪文を日夜唱え続けていたのは、むしろ当然だったかも知れない。

(中井英夫「虚無への供物」あとがきより)


十代の頃に読んだきり、五十近くなった今読んだらどうだろうかと思ったら、やっぱり面白くて一気に読んでしまった「虚無への供物」。
以前はわからなかったことも大分理解できたように思います。全部とはいえないけど。
この犯人の動機は、十代の自分にはわからなくても無理はないかな。。
これと同じような犯行動機で描かれたミステリ、他にはおぼえがないです。
アンチミステリと作者本人が言うゆえんもそこにあるのかも知れませんね。

ワンダランドとは後半辺りからよく出て来る言葉で、「不思議の国のアリス」のwonderlandのことです。
この話の中では、想像の世界というよりももう少し強い、妄想の世界といったような意味で使われているようです。
結末では、一時期ワンダランドに耽溺したけれど無事に、そして少し成長して帰って来た人と、おそらくはより理知的で強い性格であったためにワンダランドにのめり込むことができず、ワンダランドであればこそ許されるような出来事を現実に実現しようとして、逆にワンダランドに、現実世界に侵入されてしまう人とが描かれています。
何かに耽溺することの危険はよく言われるけれど、この小説ではあえてそうした危険も含むワンダランドの効を描いているように思います。
このワンダランドはフィクションと置き換えてもいいかも。虚構だからこそ許される世界。

1954年に起きた洞爺丸沈没事故を重要なモチーフとして取り上げていて、たとえばそうした沢山の人が亡くなるような大事故や大災害の、あまりにも個人に対して無頓着で無意味なむごさ、残された人にとっては堪えがたい空しさに、直面するのでなく迂回する道筋をつけて、なんとか日常に復帰させることの大切な役目の一端が、フィクション・虚構の物語にも与えられているんだと思います。
しばらくの間、ワンダランドの暖かくやわらかい羽毛にくるまれて、いつかいい時期に、もと歩いていた道に戻るのを助けてあげるんですね。

・・・えー、これ、コッパードの「ポリー・モーガン」や、幽霊についた書いたのと同じようなことだな。。。
はい、私はフィクションだのの創作物は、極力自由に描くのを許すべき派であります。
悪徳も背徳も許されるからこそのフィクションの存在価値ではありませんか。にゃーんて。



作中にしばらく前に行った目黒不動尊が出て来るんですが、ご存知でしたか?
目黒不動尊のほかに、目白不動尊、目赤不動尊、目青不動尊、目黄不動尊と、都内に五色五カ所あることを。
あと、ここへ引っ越して来る前に住んでいたアパートの近くにあった、国府台のバラ園のあるS病院も出て来て。
こういう昭和の、当時流行の最先端の風俗を描いた文章好きで。横溝正史の短編中編とかでもよく描かれる感じ。
なんかこの後、けっこう変わるんですよね。風俗も文章も。



冒頭の写真は大さん橋に寄港していた豪華客船ダイヤモンド・プリンセス。まさに浮かぶマンション、でかかった・・!
二番目の写真は象の鼻近くの大通り。最後の写真は横浜開港資料館の中庭にある玉楠(たまくす)の木です。
この木は江戸時代からあるそうで、関東大震災も横浜大空襲も生き残った剛の木なんですよ。

ところで、昔読んだ時には肩すかしをくらったように感じた結末、今読んでみると、おそらく正統派ミステリのようにトリックから動機から通常のミステリ的に納得できる結末になっていたら、もちろんそれでも面白い!傑作だ!と思ったと思うけれど、こうも後々まで心に残って、よし今度はどれぐらいわかるだろうと思ってもう一度読む気にはならなかったかも知れません。
つまり大いに満足してますが、でもこの長さでこの牽引ドライブ感だと、私は頭が興奮してしまって、読み終わるまでよく寝られないんですよね。。。この年になるとこたえるぞい。

「謎ときの本格ものだと思って、暖炉の傍や緑の木陰でのんびりページをくっていると、いきなり犯人は読者のあなただなんて、悪趣味だな。」

最終章に書かれた登場人物の一人のセリフです。
まあ私も基本的にはやっぱりミステリのルールにのっとった正統派ミステリが好きなので、これに同じ気分ですが、でも傑作ですよ、やっぱり。