水瓶

ファンタジーや日々のこと

満船飾の帆船日本丸

2015-01-28 09:06:25 | 横浜の観光・博物館など


今はみなとみらいのドックに静かにたゆたう帆船日本丸は、かつては船員を養成する練習帆船で、
54年間の間に11500名もの実習生を育てたんだそうです。まさに海の母!
この日はお誕生日ということで、お祝いの時に信号旗を全部掲げる「満船飾」をやっていました。
(よく聞く「満艦飾」は、軍艦の時に使う言葉なんだそうです。)
ちなみにこの日本丸は初代で、今は二代目が活躍しているようです。


右手に見える赤い丸いものは、「きせる型通風筒」というそうです。
船内の換気のためのもので、風向きに合わせて筒の部分を回すんだそうです。


デッキはヤシの実や軽石?で、こんな風に掃除したんですね。


どなたか手袋片方落とされてますよ~!


機関室には600馬力のメインエンジンが二つ。国産第1号、第2号の船用大型ディーゼルエンジンだそうです。
稼働期間は1930年から1984年までの54年2ヶ月20日4時間7分。ちゃんと数えてたんだ。。
ずいぶん長い間働いてたんですね。おつかれさま。


氷川丸もそうでしたけれど、動力部分は何ともいえない迫力があるんです。




船乗り結び。ちょっとびっくりするぐらいいっぱいあるんです。
帆を操作するために、もやい結び、巻き結びなど、様々なロープの結び方があり、
どれもすばやく簡単に、しかも確実に結べて持続力があって解きやすくなっているそうです。
また船乗りの手芸の材料にもなったそうで、古いロープを再生した細いロープで、
マットやベルト、髪飾りや額縁なども作ったそうです。リリアンだ!
こうした結び方は独自に考案されたのではなく、船乗りや乗船客を通して陸上の結びとの交流の中から生まれ、
確立したものだと説明にありました。陸と海を結ぶロープ。な~るほどね!


医務室。手術台もちゃんとあります。
しかしできれば船の中で手術するようなはめにはなりたくないですね。。。


わかりやすくキャプテンハットが置いてあるのは船長室。
船長とか艦長とかいうものは、必ずこの帽子をかぶってるに決まっているのです。


色んな計器が並んでいる無線室。右の時計に赤く塗られている時間帯があるのわかりますか?
あの間は、普通には無線を発信してはいけない時間で、
救難信号などの特別な信号を受信する時間なんだそうです。


後ろのデッキにある手動舵輪。でかい・・・。直径1.5メートルぐらいあったかなあ。
以下説明書きにあったものです。

帆走中、この舵輪で舵をとります。普通は2名で行いますが、海が荒れてくると舵が重くなるため、後ろ側の舵輪も使用し、4名で行います。舵は左右35度動きますが、この舵輪一回転で舵は一度だけしか動きません。舵輪の柄の先についている真鍮が回す時の目印になります。風上側の操舵当番が、帆に対する風の入り具合やジナーマストの上にある風見などを見て風向きを知り、同時に前にあるコンパスで船の針路を見ながら、どれだけ舵を回すか判断し、風下側の操舵当番に号令をかけながら回します。フードの中に舵輪があるので、海が荒れている時に、後ろからの追い波で人が流されないようになっています。


舵輪の後ろはこんな風になっています。うわ、重そう………


手動舵輪の前に据え付けてある羅針盤。
ではここで、大聖堂・製鉄・水車-中世ヨーロッパのテクノロジー」から仕入れたてホヤホヤの豆知識を。
へへへ。。

羅針盤は、早い話が方位磁石で、これによって沿岸を離れてもある程度安定して航海できるようになりました。
発明されたのは中国なんですが、これは航海のためでなく、占星術のためだったそうです。
中国は、国内での船舶は主に河川を、中近東やヨーロッパとの交易には、もっぱら陸路のシルクロードを使っていたために、
あんまり遠洋航海しなかったようなんですね。たしかに海路ではずいぶん大回りになりますね。
中国の占星術では、人が生まれた時の星の位置を知ることが重要だったそうで(今の星座占いみたいなもんですね)、
それを調べるために羅針儀が使われていたんだそうです。

で、ちょっと話がそれますが、占星術とともに偽科学と呼ばれていた錬金術は、
「純粋な金属は黄金であり、卑金属と呼ばれる黄金以外の金属には不純物が混じっている」と考えていて、
その不純物を取り除いて純粋な黄金を取り出すことを目的としていたそうです。
で、その黄金を取り出そうとする過程での試行錯誤の実験が、今の化学につながる結果になったんだそうです。
というわけでなんやら奇妙なことに、占星術と錬金術の二つの偽科学は、
今の天文学と化学の礎というか源流というか、になっているんです。面白いですね。
何やらで有名なフランシス・ベーコンという人が、こんなたとえ話をしているそうです。

「ある男がブドウ畑に黄金を埋めておいたと、息子たちに言い遺して逝く。息子たちは畑を掘り返すが、黄金は見つからない。だが、畑を掘り返したことで上々の収穫を得ることができた。錬金術についていえば、黄金を作るための努力を通して、多くの有益な発明や啓発的な実験がなされたのだ。」

うまいこと言うもんだなあ。。後から思うとトンチンカンな努力があさっての方で実を結ぶみたいな。
でもあれか。錬金術も占星術も目的はともかく、分離するとか観察するとか、
きっとそういうプロセスが科学的だったんですよね。うむ。なにしろ掘り返したのはよかった。
しかしこういう話、なんか私は好きです。これに似たようなことってありませんか?


六分儀。羅針盤とこの六分儀とか四分儀があれば、星の見えない昼間でも、
海上で進みたい方向がわかったそうです。どう使うのかさっぱりわからんけど。
しかしこう、船の道具ってどれもしっかり作られている感じがして、頼もしいですよね。


船内に貼ってあった航跡図。島はわずか、大陸ははるか彼方の空白の大洋。
でもこんな海に、昔は今よりずっと簡素な装備で出て行っちゃったんですよね。
コロンブスがアメリカ大陸を発見するずっと前にも、ガレー船に乗った北欧のヴァイキングや、
大きな樽のような船に乗ったアイルランドの宣教師が、アメリカ大陸に渡ったりしていたらしいです。
ほんと、すごいことだよ。。。


日本丸は四本マストのようでしたが、三本マストになってその全てに帆が装備してある船を全装帆船と言って、
中世の終わりぐらいに船がこの全装帆船にまで進歩すると、かなりの遠洋航海ができるようになって、
アメリカの発見など、大きな発見が相次いだんだそうです。
近代への架け橋のような、大きな役目を果たすことになったんですね。
とにかく風力を最大限に生かした船の形。しかも機能的なだけでなく、美しいんだホイ!


ふんふん、こういう風に方向転換するんですね。沢山手順があって大変そう。


これが全部マストとか帆につながってるわけだから。ほとんどあみだくじだよこれ。。



横浜に越して来て、すっかり見慣れた帆船日本丸ですが、実はいまだ、総帆展帆の姿を見たことがありません。。。
海の日とかにやっているんですが、早い時間にしまわれてしまうので、休日起きてちんたらしてると間に合わないのです。
なんとしても一度、気合いを入れて行かねば……!!!


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