おおよそ紀元500年から1500年までに起きた、さまざまな技術革新。
中世とは、西ローマ帝国が衰亡する頃から、オスマン帝国によって東ローマ帝国の首都・
コンスタンティノープルが陥落し、古代から続いていたローマ帝国が滅亡する頃までの千年間を言うようです。
中世の始め頃には、アジア(中国)が技術では抜きん出ていて、ヨーロッパがそのアイデアをを取り入れ、改良し、
やがて中国に追いつき、近代に至って圧倒的に追い越していく、というのがこの本の大筋のようです。
中国が火薬、羅針盤、印刷など画期的な発明を生んだ理由としては、
早くから官僚体制のもとにあったからじゃないかという説があるそうです。
文官と武人が分かれてたからってことかなあと考えてますが。分業化っていうか。
同じ頃のヨーロッパでは、武人の色彩の濃い、地方の豪族や領主が上に立っていたんですよね。封建制度?
ちなみに「世界史」で読んだんですけれど、官僚の発祥はメソポタミアだったかな・・・
官僚とは「権力が、人にあるのではなくその役職にある」という考え方で、
最初の最初にこれを理解してもらうまでは大変だったらしいんですが、
いったん理解してもらうと統治がたいへんスムーズに進んだんだそうです。王様の代理で権限をふるう人。
そう、これですよ!定年退職するとお中元お歳暮ががっくり減る原因は。
けれどその後、なぜか中国はそうした技術をあまり発展させることなく衰えさせてしまい、
西との交易もやめてしまう。このことを著者は「世界史の謎」と書いていました。
その間にヨーロッパがさまざまな機械を発明して追い越してゆくのは、
職人や商人が集まって暮らす都市が大きく力をつけて来たからのようです。
ヨーロッパの発展を促したのは官僚ではなく、自治都市だったんですね。
この都市が、後に国が強い中央集権を進めるもとになります。
技術が進んで、地方の封建領主の財力ではとても持てないような武器や装備が軍事の中心になってゆくと、
大きな都市を持っていて、そこからお金を沢山集められる国が強くなってゆく。
___うん、なんか殺伐として来たのでこの話はここで打ち止め。
以下印象に残った断片をパラパラと。
一見牧歌的に見える水車の、けして牧歌的とはいえない背景。
水車によって、奴隷労働や動物の力に頼っていた重労働から解放されます。
ところが水車を持っているとかなりの利益が得られたため、水車を作るにも許可がいったり、
小作農はお金を払って領主の水車で小麦をひかなければないけないというヘンな法律ができたり、
それが原因で反乱が起きたりなど、結構ドロドロした経緯があったそうです。
水車による水力は、始めは製粉、後にはノコギリ、そして製鉄や織機にまで使われるようになります。
水車も車輪も歯車もネジも、回転する物って文明にとってすごく大事なんですね。ゴットンゴットン。
「まるで王様のようだ」なんて皮肉が残されている、大聖堂を手がけた石工の親方。
この頃の石工の親方は、建築家兼現場監督みたいな感じで、国境を越えて仕事を請負っていましたが、
まだ建築理論とかはなく、経験則とカンで大聖堂とか建てていたので、
時々建てたものが崩れることもあったそうです。ひええ。。
石工の親方は幾何学に長けていて、始めは地面に図を書いて、それを設計図がわりにしてたそうで、
そんなんで大聖堂まで建てちゃうって信じられないですけども。
そう、でも日本でも、大工さんて移動しながら色んな場所で仕事して、腕を上げていったんですよね。渡り。
始めは見世物にすぎなかった時計が、人の時間を縛るようになるまで。
機械がヨーロッパで特に進んだのは、鉄などの金属がアジアよりも手に入りやすかったからのようです。
ギヤ、カム、クランクとか言われても、私はいまいちピンと来ないんですが、
もう少し機械のこと知ってる人ならピンと来るのかも。
あと面白いのは、初期の活版印刷は、修道士たちがあちこち移動しながらやっていたという話。ロバの印刷屋さん!
(そういえば活版印刷は漢字よりアルファベットに有利ですよね。漢字は数が多いから。)
このように、中世の修道士はかなり色んな役目を果たしていたんだそうです。
この頃の修道院には、鍛冶や織物、金銀細工など、職人でもある修道士の人が沢山いたようです。
字が読める人が宗教関係に多いのは日本も同じだけど、
お坊さん兼職人がいたっていう話は聞いたことないかなあ。。。
そうして最初は写本が頼りだった情報は、印刷した本によって、多くの人に早く伝えられるようになりました。
そんなわけで印刷は、のちの多くの発明を促す発明になったそうです。
今のインターネットみたいですよね。
他にも、農業や船、武器、織機、建築、都市のインフラなどの進歩について書かれていて、図もあります。
かつて「暗黒の中世」と呼ばれていた中世は、けして暗黒ではなかった、
暗黒に見えたのは、情報が少なくてよくわかっていなかったから、というのが今の歴史の見方のようです。
中世に起きていたのは「漸進的な革命」って書いてたかな?
近代にいたる爆発的な進歩や世界の拡大は、中世の千年間にじっくりと準備されていて、
航海技術と印刷技術の発達で一挙に開花したんだと。
最後の方に、中世のヨーロッパは、キリスト教によって直線的な進歩向上の考え方が根付いたとありました。
それまでは古代を、過去を理想とする、周回的な考え方をしていたと。
かつての中国が、画期的な発明をすたれるに任せたのは、そのせいもあるのかも知れませんね。円環的なアジア。
テンポがよくて読みやすい本です。マクニールの「世界史」上巻読んだ後に読むといいかも。
物から見てゆくって面白いなあと思うようになったのは、宮本常一さんの影響です。
中世とは、西ローマ帝国が衰亡する頃から、オスマン帝国によって東ローマ帝国の首都・
コンスタンティノープルが陥落し、古代から続いていたローマ帝国が滅亡する頃までの千年間を言うようです。
中世の始め頃には、アジア(中国)が技術では抜きん出ていて、ヨーロッパがそのアイデアをを取り入れ、改良し、
やがて中国に追いつき、近代に至って圧倒的に追い越していく、というのがこの本の大筋のようです。
中国が火薬、羅針盤、印刷など画期的な発明を生んだ理由としては、
早くから官僚体制のもとにあったからじゃないかという説があるそうです。
文官と武人が分かれてたからってことかなあと考えてますが。分業化っていうか。
同じ頃のヨーロッパでは、武人の色彩の濃い、地方の豪族や領主が上に立っていたんですよね。封建制度?
ちなみに「世界史」で読んだんですけれど、官僚の発祥はメソポタミアだったかな・・・
官僚とは「権力が、人にあるのではなくその役職にある」という考え方で、
最初の最初にこれを理解してもらうまでは大変だったらしいんですが、
いったん理解してもらうと統治がたいへんスムーズに進んだんだそうです。王様の代理で権限をふるう人。
そう、これですよ!定年退職するとお中元お歳暮ががっくり減る原因は。
けれどその後、なぜか中国はそうした技術をあまり発展させることなく衰えさせてしまい、
西との交易もやめてしまう。このことを著者は「世界史の謎」と書いていました。
その間にヨーロッパがさまざまな機械を発明して追い越してゆくのは、
職人や商人が集まって暮らす都市が大きく力をつけて来たからのようです。
ヨーロッパの発展を促したのは官僚ではなく、自治都市だったんですね。
この都市が、後に国が強い中央集権を進めるもとになります。
技術が進んで、地方の封建領主の財力ではとても持てないような武器や装備が軍事の中心になってゆくと、
大きな都市を持っていて、そこからお金を沢山集められる国が強くなってゆく。
___うん、なんか殺伐として来たのでこの話はここで打ち止め。
以下印象に残った断片をパラパラと。
一見牧歌的に見える水車の、けして牧歌的とはいえない背景。
水車によって、奴隷労働や動物の力に頼っていた重労働から解放されます。
ところが水車を持っているとかなりの利益が得られたため、水車を作るにも許可がいったり、
小作農はお金を払って領主の水車で小麦をひかなければないけないというヘンな法律ができたり、
それが原因で反乱が起きたりなど、結構ドロドロした経緯があったそうです。
水車による水力は、始めは製粉、後にはノコギリ、そして製鉄や織機にまで使われるようになります。
水車も車輪も歯車もネジも、回転する物って文明にとってすごく大事なんですね。ゴットンゴットン。
「まるで王様のようだ」なんて皮肉が残されている、大聖堂を手がけた石工の親方。
この頃の石工の親方は、建築家兼現場監督みたいな感じで、国境を越えて仕事を請負っていましたが、
まだ建築理論とかはなく、経験則とカンで大聖堂とか建てていたので、
時々建てたものが崩れることもあったそうです。ひええ。。
石工の親方は幾何学に長けていて、始めは地面に図を書いて、それを設計図がわりにしてたそうで、
そんなんで大聖堂まで建てちゃうって信じられないですけども。
そう、でも日本でも、大工さんて移動しながら色んな場所で仕事して、腕を上げていったんですよね。渡り。
始めは見世物にすぎなかった時計が、人の時間を縛るようになるまで。
機械がヨーロッパで特に進んだのは、鉄などの金属がアジアよりも手に入りやすかったからのようです。
ギヤ、カム、クランクとか言われても、私はいまいちピンと来ないんですが、
もう少し機械のこと知ってる人ならピンと来るのかも。
あと面白いのは、初期の活版印刷は、修道士たちがあちこち移動しながらやっていたという話。ロバの印刷屋さん!
(そういえば活版印刷は漢字よりアルファベットに有利ですよね。漢字は数が多いから。)
このように、中世の修道士はかなり色んな役目を果たしていたんだそうです。
この頃の修道院には、鍛冶や織物、金銀細工など、職人でもある修道士の人が沢山いたようです。
字が読める人が宗教関係に多いのは日本も同じだけど、
お坊さん兼職人がいたっていう話は聞いたことないかなあ。。。
そうして最初は写本が頼りだった情報は、印刷した本によって、多くの人に早く伝えられるようになりました。
そんなわけで印刷は、のちの多くの発明を促す発明になったそうです。
今のインターネットみたいですよね。
他にも、農業や船、武器、織機、建築、都市のインフラなどの進歩について書かれていて、図もあります。
かつて「暗黒の中世」と呼ばれていた中世は、けして暗黒ではなかった、
暗黒に見えたのは、情報が少なくてよくわかっていなかったから、というのが今の歴史の見方のようです。
中世に起きていたのは「漸進的な革命」って書いてたかな?
近代にいたる爆発的な進歩や世界の拡大は、中世の千年間にじっくりと準備されていて、
航海技術と印刷技術の発達で一挙に開花したんだと。
最後の方に、中世のヨーロッパは、キリスト教によって直線的な進歩向上の考え方が根付いたとありました。
それまでは古代を、過去を理想とする、周回的な考え方をしていたと。
かつての中国が、画期的な発明をすたれるに任せたのは、そのせいもあるのかも知れませんね。円環的なアジア。
テンポがよくて読みやすい本です。マクニールの「世界史」上巻読んだ後に読むといいかも。
物から見てゆくって面白いなあと思うようになったのは、宮本常一さんの影響です。