水瓶

ファンタジーや日々のこと

やりがんなとテクノロジー

2015-01-18 09:47:17 | 民俗のこと
昨日、みなとみらいの夕景です。
北風ピープーで寒かったのでショッピング。モンベルであったかいマフラーと帽子を買いました。
まだこれから二月が来るからね。。。


昼間は青空の片方で、黒っぽい雲がぐんぐん広がっていたんですが、
強い風に吹き飛ばされたようで、夕方にはきれいに晴れていました。


MARK IS上階からの眺め。グラデーションがきれいでした。


いきなりこんな写真ですが。。。MARK ISにある横浜オービィの前にありました。
ちょっとお高いんですけども、一回見てみたいなあ。


こういう絵を撮ることもめったにないのでつい、、、
しかし最近のリアルタイプのぬいぐるみはよくできてますね。

はい、で、ここからいつものあれです。
帰りに最寄り駅の本屋で、面白そうな本見つけて買いました。
「大聖堂・製鉄・水車-中世ヨーロッパのテクノロジー」

この間テレビで、奈良の薬師寺再建の番組やってたんですね。
薬師寺は、もとは今でいう国有のお寺だったので、檀家とかがなく、
再建のためのお金を集めるのが大変だったんだそうです。
しかもまた、再建できるだけの力がある宮大工は日本に一人しかいないだろうと。
で、まあ苦労した末に、ようやくお金も集まり、最初は難色を示していたその伝説的な棟梁西岡さんも
引き受けてくれ、見事再建にこぎつけたんですが、それからも大変だったそうなのです。
なんと、建てられた当時のやり方で再建しようとしたんですね。
で、その棟梁が、どうやって建てられたか調べるために、当時現存していた東塔を見てくんです。
物の意志を読み取るには、それだけの力がないといけないって言ったのは、
宮本さんだったか渋沢敬三さんだったか・・・ああ、こういうことなんだと。
たとえば材木の切り出しは、昔は縦に引ける二人引きの長いノコギリがなかったので、
杭を打ち込んで割ってたらしいんです。
上手くやればヒノキ・スギはまっすぐに割れるらしいんですけど、それにしてもやっぱり難しいわけで。
もう一つ、やりがんなという今とは違うかんなを使ってたそうなんですが、これまた使うのが難しく、
この再建に参加した大工さんは、西岡棟梁と同じぐらいの腕を持った大工がいっぱいいなきゃ、
こんなお寺は建てられなかったろう、と言っていました。
で、その大工さんの言うには、やりがんなかけた柱には波がある、だから今の柱と違って、
夕陽が差し込むとね、ふわっと柔らかく広がるんですよ、と。

やりがんなすごい。

・・・いやいや、そうじゃなくて。
当時の日本で最高の粋に当たる建物建てた時には、個々の職人の腕がたよりだったけれど、
今は一人一人がそこまでの技術を持ってなくても、道具だのの補助によって、
巨大な、色んな形の建物が建てられるようになっていますよね。

これがテクノロジーだ!!

(……ついさっき、森のなかまからこの部分にケチがつきまして。
「技術の質が変わった」と言った方がいいと。じゃないと技術がなくても建てられる、と読み違えられるよと。
うん、うん、まあそうですね。そうですよ。。。
でもさ、ほら、技術の質が変わることによって失われるものもあるという、なんだ、そういうことで。
ついでにこの薬師寺再建の話、昔Be-Palって雑誌で連載してて、
森のなかまはそれで読んだことがあるそうです。へえー。。)

・・・でもそうしたテクノロジーが普及するにつれ、失われたものもあって、
それがその夕陽を柔らかく広げる柱みたいなものなんじゃないかと。
それは、そんなに必要ではないから失ってもよしとされたんだろうけれど。
当時やりがんなかけた人も、本当はできるだけ真っ平らにかけようとしてて、
夕陽を柔らかく広げたのは、人の腕が生んだ、意図せぬ副産物のむらにすぎないのかも知れないけど。

(これ、どっちがいいとか悪いとかの話にはしたくないのです。
そりゃあやっぱり、個人の腕に頼りすぎるような形でしか物が作られなければ、
高い技術を生かした物は、上層の一部にしか行き渡らない。
ただこういう話って、どっちがいい悪いっていう方に持っていくと、ほんとつまらなくなるのです。。)

とにかく過去にはそういう形でしか、個々の職人の腕に大きく頼らなければ、薬師寺は建てられなかった。
その腕が今も残って見えるのが、やりがんなかけた柱じゃないかなと。
そうしてこれはこれで、やっぱりいい物だと思うんです。

薬師寺建立とか再建とかの大きな事業は、民俗との対極にあるものだと思うけれど、
その両極ともを行き来していたのは、こういう大工さんたちみたいな職人だったろうとも思いました。
というわけで、もしも奈良の薬師寺に行かれる機会があったら、
ぜひともその夕陽が柔らかく広がる様子に注意して見て下さい。
職人さんて、そういうのに気づく目も持ってるんだよね。

・・・そう、それで、そういうの外国にもあったんだろうなあと思って。
その国、その時代が、持てるものの最高の粋を生かしてつくったもの。
日本とどの辺が同じで、どの辺が違うんだろうと。木と石から来る違いとか。
でも大聖堂もお寺も、見る人への効果をすごく大事にするのは同じだと思うんですね。
しかし文明って、建物、金属、動力、が中心にあるんかな。文明は器、その器づくりに必要なもの。


MARK ISの上から富士山が見えました。望遠レンズないのでトリミング。

この再建に参加した大工さんのサイト見つけまして、そこにやりがんなかけてる棟梁の写真がありました。
テレビに出てた大工さんは栃木の方だったんですが、この方は静岡の方のようです。
日本全国から集めたんだなあ、大工さん。
「いたずら書きを良く書け」と、棟梁が言ってたとありますね。
ひょっとしてこれ、宮大工の秘伝なのかも。


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