入院患者の生活サポートは、病院生活の全般にわたる。病状によって異なるが、方向的にはいかに短期間で元の体力と生活を取り戻すか、つまり、自立支援にある。そのためには体調管理がベーシックな指標となるであろう。検査の項目は、体重、体温、血圧、心拍数、血中酸素濃度等である。起床時、昼食後、就寝前の3回が測定される。手術後はICUと呼ばれている集中治療室で医師の監視の下で過ごすことになるが、体調が安定すれば一般病室に移ることになる。その判断は、担当医の判断となるのであろう。
点滴を含め、薬剤投与には、毎回患者本人かどうかの確認が口頭で行われるとともに、入院時には、個人IDが書き込まれたバーコードの腕輪(テープ状のプラスチック製)をはめることになる。多くの患者を識別し、区別するにはこの方法が最も適しているのであろうか。患者の取り違え医療ミスを防ぐためであろう。患者の容態は常にナースステーションが監視しているが、ナースは通常二交代制で夜勤を担当する少数の看護師は顔が異なっていたが、日勤担当との申し送りは確実になされているようであった。病室の部屋割りは大方決まっているようである。一日に数回の医師と看護師とのミーティングが開かれていた。当然、担当医の回診は頻繁に行われている。
自分が入院した病棟は9階であったが、中央のエレベータホールを中心に左右に分かれそれぞれナースステーションがあった。看護師の実数の把握は難しく、多くの看護師がいることは明らかであった。病室は患者の治療科別に分かれていたようであったが、必ずしもそうではなく、担当医師もそれぞれのナースステーションに出入りしていたようで、個室に陣取っている様子ではなかった。自分が入院中は、院長や、医師のお歴々の回診場面を目にしなかったのであるが、そのような制度がドキュメントには書かれてあった。
日々患者の容態は変化する。それに応じた適切な処置は、医療に従事する者が情報を共有していなければ対応できないため、大変難しい管理が望まれるのであるが、あまりピラミッド化した組織であり過ぎると、逆に重大な見落としが発生しやすくなる。医療は医師と看護師との協調性にある。ある意味、研究職スタイルの平坦な組織が敷かれているようであった。
今回、医大の看護専門学校の研修生が、卒業前の実務実習のため、各ナースステーションに配属され、個別に患者に張り付く研修が行われていた。もちろん事前に患者の了解が必要となるが、講義だけではわからないナースの仕事を理解するのには大変重要な機会であると思われた。この医大は関東に4か所の施設があり、それぞれが看護専門学校を併設しているという。