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教材作成の経験から(8回シリーズその2)

2013年03月01日 00時00分01秒 | 緑陰随想

2 教材の活用について
(1) 教材の意義と分類
 「教材とは何であるか?」という疑問に対する答えとして、次のように言える。教材とはある期待(訓練目標等)を達成するために必要な具体的内容・文化的素材であり、学習に適するように編成し直したものである。竹田清夫(新教育心理学事典・金子書房)の指摘によれば、教材は次の3通りに使用されている。

a.学習の結果、習得する事柄、すなわち学習内容あるいは習得される内容そのものを指す場合。
b.学習される内容を習得させるために用いる具体的な事例や用例及び事象を指す場合。
c.学習される内容を習得するために用いる物すべてを指す場合、すなわち教具をも含める。

 以上の指摘のうちで、我々が通常、教材といった場合には、c であるといえる。
教科書は、そこに盛り込まれている内容・知識の体系化という観点から言えば教材であるが、文字や挿絵などの印刷媒体(メディア)を使用した物と見れば教具の一種とも言える。
 そこで、教材は教育目的観や人間の発達観と結びついている以上、教育とは何か? 学習によって何を身につけるのか? という問いかけがそこに集約されていると考えられる。
 教材の種類の明示については、職業訓練法施行規則第15条の2(昭和53年10月)に労働大臣の認定の対象となる教材という形で表されている。ここでは4種類に区分している。

1.教科書
2.映画・スライド・その他映像を用いた教材
3.レコード・録音テープ(録音済みのものに限る)、その他音声を用いた教材
4.掛け図・シミュレータ・模型・その他職業訓練の実施に効果的な教材

 このなかで1.を除く2.・3.・4.はいずれも人体の感覚(視聴覚)を主に利用した教材である。これら教材は準則訓練(旧法;認定職業訓練)の教科の科目ごとに作成することになっている。これらの教材はそれぞれのコース、科目について訓練効果の向上と訓練内容の充実を図る目的で作成されている。特に、視聴覚教材は、訓練習熟のうえからも、訓練技法上からも今後ますます充実されるが、そこでどのような考え方にたってこれらの教材を取り扱っていくかという点は多くの議論を醸すことになる。(次回へ続きます)