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あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

蝶人葉月映画劇場その5

2020-08-16 11:39:21 | Weblog

闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2279~88

1)市川昆監督の「あの手この手」
久我美子主演で1952年に製作されたコメディである。アコちゃん役の久我美子がおきゃんなところを見せるのだが、どうにも落ち着きが悪くって。

2)深作欣二監督の「火宅の人」
壇一男の小説を1986年に映画化したっものだが、男と女のどうしようもない関係をああどうしようもないなあ、と思わせつつずるずると上手に見せつけてくれる。緒方拳、いしだあゆみ、原田美枝子、松坂慶子が熱演。

3)山本薩夫監督の「にせ刑事」
高岩肇のシナリオ、勝新太郎の主演の刑事もの、というか警察官物語。勝選手はけっこうなんでもこなせる万能型の役者であったことが分かる。1967年の大映映画ずら。

4)木下恵介監督の「破戒」
漱石が激賞した藤村の初小説を1962年に木下選手が完璧に映画化。市川雷蔵、藤村志保、三国連太郎、岸田今日子が役に嵌って問題の不条理な陰惨さをいまに伝えている。

5)和田誠監督の「麻雀放浪記」
阿佐田哲也の原作を和田誠が1984年に映画化。真田広之、鹿賀丈二、高品格、加藤健一の名演。和田はこのあと何本か映画を撮ったが、ついにこの処女作を超えることはできなかった。

6)森一生監督の「若き日の信長」
大佛次郎の原作を市川雷蔵の主演で1959年に映画化したものだが、観終わって爽快な気持ちになるのは、これ以降の信長の「人」が急激に変わっていくからだろう。

7)森一生監督の「陸軍中野学校竜一号指令」
1966年のシリーズ第2作編だが収穫は村松映子の妖艶さくらいでまことにつまらない。

8)三隅研次監督の「座頭市物語」
1962年の起死回生のヒット作だが、大塚稔の脚本と三隅の演出、勝のキャラクターが一体となった傑作。それんしても市が平手造酒と対決するとは驚いた。

9)森一生監督の「続・座頭市物語」
第1作と同じ1962年に、大塚のシナリオを今度は森のメガフォンで。勝の実兄の若山富三郎が兄の役を務めるという配役、万里昌代はよろしいが、おらっちは鯛のような顔つきの水谷良重がどうにも苦手です。

10)三隅研次監督の「座頭市血笑旅」
1964年のシリーズ第8作を処女作を担当した三隅のメガフォンで描くが、なんちゅうても赤ちゃんの世話をする勝新太郎が圧倒的に微笑ましい。高千穂ひづるがまたいいんだなあ。

Go ahead, make my day!といいながら独裁者共を撃ち殺す夢 蝶人
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聖書協会2018年版旧約聖書で「ハバクク書」を読んで

2020-08-15 12:52:45 | Weblog

照る日曇る日第1442回


預言者ハバククが見た託宣を記したのが、このハバクク書である。

おしまいの「主への信頼」では、「預言者ハバククの祈り。シグヨノトの調べに合わせて」という前書きが添えられている。

さらに文末には「指揮者によって。弦楽器で。」という指定まで記されているのだが、シグヨノトとはいかなる弦楽器だったのだろうか?


 スーパーでレジ袋をくれないのでくなったのでゴミ捨ての日の袋に困る 蝶人
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蝶人葉月映画劇場その4

2020-08-14 14:10:57 | Weblog


闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2268~78


1)佐藤純彌監督の「人間の証明」
脚本を松山善三が書いているが、少し西條八十の「母さん、僕のあの帽子どうしたでせうね」を頻用しすぎでラストの感銘を却って損ねている。佐藤の演出は鈍重。1977年にNYロケをしているが、この時はツインタワービルはもちろん健在だった。

2)安田公義監督の「最後に笑う男」
1949年のサーカス映画で、デビュー仕立ての京マチ子が笠置シヅ子の歌唱に合わせて松竹レビューで鍛えた見事な肢体で踊ったり(上手い!)、滝沢修が宮中ブランコを飛んだりします。

3)市川昆監督の「満員電車」
川口浩の、そしてもしかすると市川昆の協業による1957年の見事な喜劇作品。市川のモダニズムはいつも中途半端に非人情で宙に浮くが、このコメディでは日本映画には珍しいヒューモアとウイットをもたらしている。

4)吉田喜重監督の「嵐が丘」
ブロンテの原作を鎌倉時代に置き換えた1988年の翻案劇。松田優作と田中裕子、三国連太郎などが力演しているが、原作とはかなり違ったドラマが出来上がった。

5)稲垣浩監督の「無法松の一生」
バンツマ&園井恵子コンビによる1943年版第1作。大尉夫人に愛を告白するシーンをカットされた稲垣が頭にきて三船&高峰コンビで撮り直した1958年版のほうが完成度は高い。

6)佐藤純彌監督の「金融腐蝕列島再生」
高杉良の原作を佐藤鈍重監督がテレビドラマに製作したものを2002年に公開。村上弘明、益岡徹、伊武雅刀などがぞろぞろ出るが、細川俊之が顔を出すと急に芝居じみてきていっそおもしれえや。

7)森一生監督の「薄桜記」
五味康祐の原作をもとに伊藤大輔が大胆に脚色し、市川雷蔵(丹下典膳)、勝新太郎(堀部安兵衛)が主演した哀しい武士道物語。隻腕隻脚の左膳が地面に転がったまま敵を撫で切り、愛妻と手と手を繋いで事切れる演出、吉良邸に打ち入る安兵衛の語りで始まり、赤穂浪士が門に殺到するところで終わるという構成もとてもお洒落。素晴らしい1959年の時代劇なり。

8)木村恵吾監督の「再会」
1953年の哀しい恋物語。ヒロインの久我美子を痛めつける東京憲兵隊チョウの三国連太郎が憎たらしいが、彼が空襲で死んでも悪い男に犯され、それを最愛の森雅之に打ち明けられず、思い出の日比谷音楽堂(明治38年8月1日竣工)で服毒してしまうとは!

9)田中徳三監督の「花くらべ狸道中」
市川雷蔵、勝新太郎のヤジキタ狸に加えて若尾文子ちゃんも出演してくれているのだけれど、箸にも棒にもかからぬ駄作。どうせならミドリノタヌキも出して欲しかったずら。

10)若松節朗監督の「沈まぬ太陽」
山崎豊子の原作によるJAL残酷物語。2009年に製作された。演出の切れが鈍いが、三浦友和の悪役ぶりはさまになる
墜落事故もさることながら社内の労働組合の壊滅、左遷、内紛、政治と絡んだ権力闘争、家族の離反など諸問題が噴出するさまを寄り道しながら3時間半に亘って雄大に展開する娯楽企業犯罪ドラマなり。


「我が家だけ次の地震で潰れたら恥ずかしいわ」と妻が言うなり 蝶人
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新潮日本古典集成「御伽草子集」を読んで

2020-08-13 11:06:55 | Weblog


照る日曇る日第1441回


本によって様ざまなチョイスがなされているが、校正の松本隆信氏が選んだのは、「浄瑠璃十二段草紙」「天稚彦草子」「俵藤太物語」「岩屋」「明石物語」「諏訪の本地」「小男の草子」「小敦盛絵巻」「弥兵衛鼠絵巻」の9篇が並んでいる。

なんとなく子供心に聞いたような話が多いのは、この室町時代の大衆小説が現代の講談や小説や絵本の種本として人口に膾炙してきたからだろう。

「小熱盛絵巻」は熊谷直実の手にかかって殺された平敦盛の遺児が母と共に出家し、史実とは異なるが、西山の善慧上人になったという、涙なしには読めないお噺であるが、歌舞伎にしたらアジャストするのではなかろうか。

平安時代の文章は、プルーストの仏蘭西語のように難解だが、室町時代の文章は、現代日本語の基点になっているので、注釈がなくても読みやすくて大助かりである。



       いたずらに富裕層を憎む夏 蝶人
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聖書協会2018年版旧約聖書で「ナホム書」を読んで

2020-08-12 11:36:40 | Weblog


照る日曇る日第1440回


「ニネベに向けた託宣、エルコシュの人、ナホムの幻の書」である。

陥落するニネベの描写はすさまじいものがあるが、丸丸書と同じくここでもばったがバッタバッタと登場するのが興味深い。

「その場所で、火はあなたを焼き尽くし、剣があなたを切り倒す。
火はばったのようにあなたを食い尽くす。
若いばったのように数を増やせ。
移動するばったのように数を増やせ。
しかし若いばったは脱皮して飛び去る。
あなたを守る部隊はばったのようで、指揮官たちはばったの群れのようだ。」

イスラエルの大半は、このばったやジャッカルが活動する砂漠のような不毛の地だから、こういう描写になるのだろう。


かくて世は麻のごとくに乱れゆく勝手にせえやわしゃもうもう知らん 蝶人
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蝶人葉月映画劇場その3

2020-08-11 14:56:35 | Weblog


闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2257~67


0)田中徳三監督の「続・兵隊やくざ」
中国の戦場を彷徨&咆哮する勝&田村コンビの第2作。捕虜にした中国人の刺殺命令に田村上等兵は身を呈して反対、勝初年兵もそれに従うが、文部省はこの必見シーンを全国の小中学生に見せるべし。

1)田中徳三監督の「新・兵隊やくざ」
シリーズ第3作の勝&田村コンビは今度は戦地で売春宿を経営することになるのだが、ここで田村上等兵ははじめは反対するものの最後は勝初年兵に押し切られてしまう。この逆転を是と観るか否と観るか。懐かしや嵯峨三智子が登場し勝と夫婦役!を演じている。

2)森一生監督の「兵隊やくざ脱獄」
1966年のシリーズ第4作。小川真由美はさすがの役者ぶり。ソ連軍が迫る中で将校に扮した凸凹コンビが大活躍、というところだが、彼らは殊勝にも史実と異なり民草を逃がして軍人だけで最後まで戦おうとする。文部省推薦の歴史映画だ。

3)田中徳三監督の「兵隊やくざ大脱走」
1966年のシリーズ第5作。前作同様、ソ満マン国境で民草を逃がし、軍人だけで最後まで戦おうとする。日本会議必見の歴史映画だ。

4)田中徳三監督の「大江山酒呑童子」
長谷川一夫、市川雷蔵、勝新太郎、山本富士子などがゾロゾロ出てくるが、かなり詰まんない1960年の大映映画。

5)田中徳三監督の「雄呂血」
バンツマの市川雷蔵による1966年のリメイクだが八千草薫が圧倒的に可愛いずら。斬って斬って斬りまくるが、まだ斬り残した奴がいっぱいいるようだ。

6)森一生監督の「大菩薩峠 竜神の巻」
1960年の続編であるが、天誅組にまっぎれこんでいた竜之介は小屋が爆破されてにわかめくらになってしまうが、そこはよくしたもので次々に美貌の女性が現れて手を取ってくれるのである。

7)森一生監督の「大菩薩峠 完結編」
1961年の製作の完結編。またしても中村玉緒が3人目のファムファタール役で登場。時ならぬ集中豪雨に襲われてまたしても竜之介と兵馬の一騎打ちは流れてしまう。この後我らが盲目の主人公はどうなってしまうのだろうか?

8)村山透監督の「野獣死すべし」
松田優作が鬼気迫る怪演で圧倒する大藪春彦原作の1980年製作の人殺し映画。殺人の快感に支配されて?小林麻美ちゃんまで次々に射殺するがその動機は不明である。その癖花房晴美のショパンに涙するなんて頭が相当おかしいんじゃないか。

9)山本薩夫監督の「氷点」
三浦綾子の原作を1966年に映画化。安田道代の陽子が初々しいが、主役は超凡人役の母親若尾文子。「原罪」どころか女の情に流されゆく魅力的な悪女の姿をラスト顕現。それにしても陽子は殺人犯の娘に設定するべきであった。

10)井筒若幸監督の「犬死にせしもの」
西村望の原作を1986年製作。荒れ狂う海の上で真田広之と佐藤浩市が大活躍。安田成美が可愛い。犬死にしたものとは何だったのか?

広告の無いユーチューブを手に入れよと広告入れるユーチューブ 蝶人
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聖書協会2018年版旧約聖書で「ミカ書」を読んで

2020-08-10 14:57:36 | Weblog


照る日曇る日第1439回


モレシェト人ミカが、サマリアとエルサレムについて見た幻を記したものが、本書である。

第5章の終りには、「私はアシェラ像を引き倒し、あなたの町を破壊する。聞き従おうとしない国々には、私は怒りを憤りをもって復讐する」と書かれている。

しかしこのアシェラは、バアルと同様、古代西アジアではシリア、パレスチナなどで広く帰依された格の高い神様で、我らがユダヤ教の神様に見切りを付けた多くのイスラエルやユダの民草も、一時はこれらの神々を熱心に拝んでいたのである。

ユダヤ教やキリスト教徒は、これらの宗教を「邪教」として悪しざまに見下しているが、古代宗教史の立場で眺めれば、それほど両者に学問的な上下が在るわけではない。



初対面で「うちの会社に来ませんか?」明るく誘いし寛斎氏死す 蝶人

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家族の肖像~親子の対話 その59

2020-08-09 11:25:44 | Weblog


ある晴れた日に 第617回



連佛さん、警察のお仕事しましたよ。
どこで。
「盤上の向日葵」で。

えーとねえ、サカイ先生、お母さんによろしくね、って言ったよ。
そうなの。

一人ひとりって、なに?
一人ずつってことよ。

お父さん、泣くはサンズイに立つだお。
そうだね。
お父さん、立つの英語は?
スタンダップだよ。
タツ、タツ、タツ、立ってご覧。

お母さんユカリさん、バージンロード歩いた?
歩いたでしょう。

わたしはマサミ先生です。
こんにちはマサミ先生。

お父さん、戦争の英語は?
戦争はウオーだよ。
戦争嫌ですねえ。
嫌だねえ。

お母さん、公平って、なに?
みんなと一緒よ。

お父さん、ぼくお父さんと仲良く暮しますお。
そうですか。仲良く暮そうね。

お母さん、予感て、なに?
感じることよ。

お父さん、オガワ君のお父さん、おうちでお仕事してるの?
そうだと思うよ。

お母さん、花盛りってなに?
お花がいっぱいのことよ。

大量にって、なに?
たくさん、ということよ。

ぼく、連佛さんの声、好きだお。
そうなんだ。

困るって、悩むこと?
まあそうねえ。

最悪って、なに?
とっても悪いことだよ。

経験てなに?
いろいろやったこと。コウ君、いろいろ経験したでしょう?
ないですよ、ないですよ。

お父さん、入るとき、「お邪魔します」でしょ?
そうだね。

当たり前って、当然のことでしょう?
そうだね。

縺れたる洗濯バサミを解くごとく我が人生の難題を解く 蝶人
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蝶人葉月映画劇場その2

2020-08-08 14:34:26 | Weblog


闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2247~56


1)崔洋一監督の「友よ静かに瞑れ」
悪人どもと孤軍奮闘する藤竜也がカッコイイ。ラストで彼が去って行く急勾配は軽では登れないだろうね。1985年製作。

2)大林宣彦監督の「彼のオートバイ、彼女の島」
片岡義男の原作を1986年に映画化。カワサキのWを愛する若い男女の愛を鮮烈に描く。原田貴和子はいいなあ。

3)大林宣彦監督の「天国にいちばん近い島」
1984年の原田知世主演のニューカレドニアの観光映画ずら。されどエリック・ロメールに一歩先んじてジュール・ヴェルヌの「緑の光線」のモチーフを取り上げているのは偉い。

4)三隅研次監督の「大菩薩峠」
市川雷蔵は机竜之助の適役だが、眠狂四郎と見分けがつかない時がある。それにしても訳も分からず人を斬る男だなあ。1960年の4度目の映画化。

5)市川昆監督の「穴」
京マチ子主演の1957年のドタバタサスペンスだが、脚本、演出が拙劣で観るに堪えない。あの北林谷栄が普通に若いので笑ってしまう。

6)市川昆監督の「炎上」
三島の原作を1958年に映画化されたが結局吃音の青年僧がなぜ金閣寺に放火したのかよく分からない。もっとも三島も市川も当の青年も分からなかったのだろうが。雷蔵は熱演しているが仲代達也の存在感は圧倒的。

7)市川昆監督の「野火」
1959年の製作だが、田村上等兵の船越英二がふやけた印象で誤算。生きるか死ぬかの戦場のリアリテイは2015年の塚本晋也に敵わない。

8)熊井啓監督の「海と毒薬」
遠藤周作の原作を1986年に映画化。今も昔も同調圧力に振り回される日本人の悲しい性を青年医師奥田英二の葛藤を通じて活写している。

9)小津安二郎監督の「浮草」
中村鴈治郎のしがない旅芸人の座長を軸に京マチ子、杉村春子、若尾文子、川口浩が見事な人情芝居を繰り広げる。1959年の小津安二郎監督の傑作。

10)島耕二監督の「安珍と清姫」
ただ若尾文子と市川雷蔵が出ているというだけの1960年の映画ずら。

ガビチョウが中国渡来と知るまでは絶えなる美声と褒め称えたり 蝶人
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蝶人葉月映画劇場その1

2020-08-07 13:15:33 | Weblog


闇にまぎれてtyojin cine-archives vol.2237~46



1)森一生監督の「ある殺し屋」
増村保造がシナリオを担当したいわゆるフィルムノワールだが、市川雷蔵、野川由美子、成田三樹夫が出ているというだけでどうということはない。それに私は野川は嫌いだ。

2)深作欣二監督の「いつかギラギラする日」
1992年のアクション映画だがまんず漫画だね。ショーケン、木村一八、千葉真一、石橋蓮司、荻野目慶子などが出て深作がメガフォンを取って、いつギラギラするのかと待っているうちに終わっちまいやがった。

3)溝口健二監督の「噂の女」
1954年に製作された田中絹代、久我美子、中村雀右衛門主演の素晴らしいドラマ。舞台の京島原の遊郭の大広間を大勢の藝者を大移動させながら、キャメラもまた大移動していくときの眩暈こそが、溝口独自の映画的快楽である。衣裳も美術も素敵だ。

4)溝口健二監督の「あに いもうと」
室生犀星の原作を溝口が1953年に京マチ子、森雅之、久我美子、渡辺粂子、山本礼三郎、船越英二で映画化。ここでは京マチ子は好調で渡辺粂子はうまく、久我美子は相変わらず楚々としている。なんにでも顔を出し、いつもそつなくこなす船越は立派だ。

5)溝口健二監督の「楊貴妃」
玄宗皇帝を森雅之、楊貴妃を京マチ子、安禄山を山村聡が演じる一風変わった1955年の恋愛政争ドラマだが、さっぱり面白くない。

6)田中重雄監督の「東京おにぎり娘」
可愛い盛りの若尾文子主演の1961年のラブコメディ。若尾の父中村鴈治郎の背広仕立屋は遠い親戚の上口愚朗の中等洋服店を思い出す。

7)三隅研次監督の「とむらい師たち」
1968年に勝新太郎の主演で映画化されているが、途中から喜劇が妙な深刻味に濁されて、どんどん詰まらなくなっていくのは、野坂昭如の原作のせいだろう。それにしてもデスマスクを製作するのにあんな乱暴を働くとはけしからん。

8)三隅研二監督の「女系家族」
山崎豊子原作を依田義賢の脚本で見事に(映画化。いじめにいじめられた若尾文子が最後にあっと驚く逆転ホーマーを放つところで夏の嵐のようなカタルシスが押し寄せる。

9)成瀬巳喜男監督の「稲妻」
林芙美子の原作を1952年に成瀬巳喜男が映画化。高峰秀子が孤軍奮闘するが、悪役の小沢栄太郎に犯されやしないかと心配ずら。

10)木下恵介監督の「破れ太鼓」
小林トシ子がでている1949年の作品。脚本は小林正樹で主演は伴妻だが、ちっとも面白くない。木下忠司がしゃしゃり出て、下らない歌をうたっているのも気に喰わない。


   感染なんかいくら増えても大丈夫森羅万象野郎がアンコン 蝶人
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聖書協会2018年版旧約聖書で「ヨナ書」を読んで

2020-08-06 15:37:56 | Weblog


照る日曇る日第1438回



ピノキオが鯨に飲まれたように、巨大な魚に呑み込まれて奇跡的に助かったヨナの話が書かれています。

聖書に登場する預言者たちの殆どが、万軍の主の言葉に忠実なのに、ヨナはそうではありません。最初から顔を見るのも嫌だと背けてしまい、あろうことかニネベを離れてタルシシユに逃走しようとします。

なぜかというと、賢いヨナは知っていたんですね。主がヨナに向かって、腐敗堕落したニネベの民草に向かって、「悔い改めなければ人口12万人の一族郎党を全員亡き者にするぞ!」と警告せよと命じられることを。

そしてそのように警告すると、他の都市の民草とは違って、ニネベの連中がいともたやすく悔恨し、主もまたあっさりと許されてしまうことを。だからヨナはニネベになんていたくなかったんです。

ところが意地悪な天上の主は、ヨナが乗った船に猛烈な嵐を吹き付け、船長をしてヨナを海中に投ぜしめます。これがほんとの「天網恢恢疎にして漏らさず」ですね。

けれどもここでも優しい万軍の主は、急遽巨大な魚を出動させてヨナを呑み込み、陸地まで安全に運ばせてしまうのです。メデタシ、めでたし。

ところが主は、ニネベに戻ったヨネに、「悔い改めよ!」と云えとヨナの予想通り命じ、ヨナがその通りにするとニネベの民はいともたやすく悔悟し、主はヨナの予想通りあっさり許したものですから、ヨナ選手は「主よ、どうか今、私の命を取り去ってください。生きているより死んだほうがましです」と激しく怒り狂います。

主は「もうやってらんない!」と完璧にキレたヨナ選手に対して驚くほど優しい。刑罰を与えるどころか下手なたとえ話をいくつも持ち出し、理屈に訴えて冷静に説得しようとするのが面白い。

神人対等ともいうべき両者の奇妙な関係が不思議です。

「ウオッカを飲めば大丈夫」と豪語せしべラルーシのルカシェンコ大統領感染す 蝶人
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石井妙子著「原節子の真実」を読んで

2020-08-05 13:03:04 | Weblog

照る日曇る日第1437回


コロナ禍の夏にこの本を手にすると、

原節子の恋人は小津ではなく、清島長利であったこと。
小津作品には終始冷淡で、彼女の義兄熊谷久虎の演出で「細川ガラシャ夫人」を撮ってもらうことを終生望んでいたこと。

情人に擬せられたほど心服していたその義兄には、映画のみならず政治思想にも大きな影響を受け、彼の「九州独立政権構想」にも共鳴していたこと。
元は進歩史観を信奉していた義兄が国粋的な右翼思想にかぶれていったのは、「新しき土」ドイツ公開から帰国する途次、NYの横断歩道でぶつかった女性から罵られ唾を吐きかけられたからであること。

熊谷は戦争映画を2本しか撮って居ないにもかかわらず、大量に撮った山本嘉次郎など26人の監督から人身御供としてただ一人GHQ戦犯リストに挙げられ、「東宝」から追放されたこと。

原節子の代表作は「東京物語」とされているが、彼女は小津と小作品なんて歯牙にもかけていないこと。「細川ガラシャ夫人」は無理にしても黒沢の「羅生門」に出ていれば彼女の代表作になったろうこと。

軍部と最も癒着していた東宝の要請で黒澤や山本嘉次郎、宮島義男は兵役を免れたが、小津、山中貞男、山本薩夫は兵隊に取られ、地獄を見たこと。
よって小津は黒澤を憎んだが、その「麦秋」のラストシーンは親友山中への挽歌であること。

戦後高峰秀子はアーニ・パイル劇場の売れっ子になって、米兵からもらった箪笥の中のチョコから蛾が飛び出すほど贅沢をしていたが、原節子は占領軍の残飯を食べ、満員電車で買出しをしていたこと、

等々の興味深い事実に接することができるが、個人的にもっと興味深いのは、彼女と同い年の私の義母が、原が育った保土ヶ谷の家で赤いオベベを切り刻む彼女の母親の姿を見たことがあり、原節子が長い晩年を過ごした熊谷家のお子さんとうちの息子が幼稚園で同級生だった!ことかしら。


小津監督の『東京物語』みておれば笠智衆になりて「ありがたう」と言う我 蝶人
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「夢は第二の人生である」或いは「夢は五臓六腑の疲れである」第89回

2020-08-04 17:43:41 | Weblog


西暦2020年弥生蝶人酔生夢死幾百夜


山頂に辿りつくと、そこはマイカーで登ってきた大勢の60年代の若夫婦で渋滞して、身動きできないほどである。よく見ると、そこには一本の桜の大樹があって、幹にとりついた2匹のセミが、誰かがカメラを向けるとポーズするのである。3/1

私は先輩方の要請に几帳面に応えながら、少しづつ自分の役得を増やしつづけていたが、その地道な積み重ねが、立身出世につながると確信していたのであった。3/2

大学の正門前に大勢の学生が、一団の黒い影となって佇んでいたので、私は、自分の広告作品が掲載されている小冊子を、自転車で通り過ぎながら、バサリバサリと投げ入れた。3/3

脳障害を持つ息子は、マシラのように機関車に飛び乗って、スロットルを握りながら、速度や方向を自在に調整している。これはヤバイと思った私は、笑いながら見物している機関長に頼んで、やめさせてしまったが、障害児の楽しみを奪ったのではないかと、苦に病んだ。3/4

友人たちは、もうとっくの昔に出発してしまったので、焦りまくって電車に飛び乗ったが、切符を家に置き忘れていまったので、行き先が分からない。確か西湖なんとかに宿泊するはずだ、と思いだして、西湖なんとか駅を見逃さないように、必死に目を凝らしている。3/5

「そうだ。ケータイで家に連絡すればいいのだ」と思いついて、番号をプッシュし始めたら、押された数字が、ボロボロと下に崩れ落ちてしまうので、ものの役に立たないのだ。3/6

「いいかい、何の特徴も無いボリュウム商品を貸し出したって、ブランドイメージは上がるどころか、下がってしまうから、その辺はよーく気を付けようね」と、私はプレスルームのサッチャンに注意を与えた。3/7

アランドロンの遺作のその映画のラストシーンでは、ハイテクを駆使したヘアメイクが登場する。最新技術が生み出したその薬品を、お腹の中に注入すると、毒キノコのような小さな粒粒が誕生して、主人公の顔貌を一変させるのだ。3/8

逗子で横須賀線に乗って、鎌倉に着いたところに、「ブルータス」のバイトの学生が乗り込んできて、「これ、大至急校正してください」というのだが、なんで私が分かったのだろう。3/9

全集にどの作品を入れるか迷いに迷っていると、起きているのか、眠っているのか、夢を見ているのか、醒めているのか、さっぱり分からなくなってくる。3/10

北鎌倉の名刹の住職の話では、パタンナーのワタヌキさんが、商品企画室で悪質ないじめに遭っているというので、「義を見てせざるは勇なきなり」と、勇躍私は救助に赴くことにした。3/11

町内の銭湯を10日間ほど借り切って、身内に秘蔵映像やアート作品を見せたり、うまい料理を食べさせたり、熱いお湯に入れたりしたので、みんな新型コロナウイルスのことなど忘れて、普通の暮らしを楽しんでいた。3/13

私がバカダ大学の国文科の学生だった頃、卒論は西村健次の「ここでともかく手掴み踊」を題材にした「作品はタイトルで決まり」という趣旨の駄文だったが、担当教官の前で「手掴み踊」を披露したら、さすがバカダ大学でなんと「優」だった。3/14

三鷹から中央線に乗ったら、どの車両も「不思議少女アリスの部屋」とか「ピンクハウスの部屋」とか「アンゴラウサギの部屋」などの、様々な意匠を凝らした特別装飾が施されており、私はそれらのどれにも乗るのを躊躇したほどだった。3/15

地球人の外でとくしてのマスオ、エヒランスという音入れてゐた。3/16

フィリピンの大学で、現地人の学生が、日本からの留学生の身代わりを演じているのに、総長も、学長も、教授も、事務長も、それを知りながら、口を噤んで、大学の国際的なアルバイトに協力していた。3/17

彼女が、私の全身にヒシとしがみ付いて、身動き一つしないで、息を凝らしているのは、隣の部屋の様子を窺っているからなのだろうが、私は、そこで雁首を揃えている物凄いメンツのことを、彼女に伝える訳にはいかなかった。3/18

社長の私が身体検査を受けていると、「商品AとBではどちらがいいか答えなさい」という問題が突然出てきた。「誰が発案したか」と第Ⅰ秘書に電話すると、営業部長だというので、私はすぐに首にした。同じ質問を第2秘書にしたら、商品部長だというので、また首にし、第3秘書に聞いたら、社長ですというので私は私を首にした。3/19

さらさらと流れゆく水の上に、上からポツンと真っ赤な椿の花が落ちたけれど、私は、別に何も悟らなかった。3/20

ともかく、困った時には、遠くの空の上の方に、真っ黒な「第8の十字架」が姿を現して、いつも私を見守ってくれるのだ。3/21

その伊太利人の家主が、どうでもいいことにイチャモンをつけるので、頭に来た我々は、一同団結して店子組合を作って、家賃不払いストライキに突入した。3/22

宮廷の旧弊を大改革する話を聞いているうちに、酷く疲れてきた私は、またウトウトしてしまった。この節は、意欲的な人が積極的に前向きの話をしていると、その泡立つ口角を見ているだけで、急に何もかもが嫌になるのである。3/23

春休みの小学生新聞のトップ記事は、町内随一のラブラブ夫婦の夫の浮気を知った若妻が、その仕返しに、夫の情人を刺殺したという、現場血塗れカラー写真付きの特ダネだった。3/24

私は、村の金持ちのこの娘を、若い衆みんなが狙っていることを知っていたので、この部屋から出してはなるまいと眦を決して、しかし、そのためにはどうすればよいかも分からず、ただ右往左往していたのよ。3/25

私が道楽で始めた連続講演会の開始時間が迫っていたので、私は、例のL字型の抜け道を駆け下りて、会場に向かおうとしたのだが、なんといつもは無人のその道に、無数の黒人が犇めいており、中には昼寝している奴までいる。さあて如何したものか。3/26

私は超難病を治す特効薬を発明したのだが、それを他人に知られるとヤバイので、懸命にひた隠しにした。3/28

八難よ起こりうる世の中地震のお前ではないと互いに乗った出なう。3/29

真正ではなくガセウイルスに過ぎなかったのだが、それでも60人中3人が昇天してしまった。3/30

最近成田空港づくりに反対の人が減ってきたので、心配だ。3/31


  歩けなくなった人が歩かないと歩けなくなるというので歩いている私 蝶人

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すべての言葉は通り過ぎてゆく 第82回

2020-08-03 13:17:18 | Weblog

西暦2020年文月蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第345回



光陰矢の如し。一寸の光陰軽んずべからず。されどコロナ、コロナと大騒ぎしているうちに今年の半分が過ぎてしまった。あとの半年しャ寝て暮すか、ヨイヨイ。7/1

東京感染者107名なんて朝飯前のアタリ前田のクラッカー。金科玉条の経済最優先に楯突く目障りな専門家会議を解体し、「夜の街は恐ろしい!」とうわ言のように呟くだけのド素人政治家が、自らコロナ第2波の来襲を招き寄せている。7/2

トランプといい、習といい、プーチンといい、安倍といい、金といい、ミドリタヌキといい、西村キツネといい、いつから国内外の政治家、指導者は酷く劣悪な連中ばかりになってしまったのだろう。7/3

「夜の街&夜の街」と差別連呼して悪者扱いにしているが、昼の街も夜の街もありゃせん。西村キツネやタヌキ婆が解禁したから、客が喜んで通ってくるだけの話だ。悔しかったらキツネとタヌキのお似合いカップルで歌舞伎町に行って通せんぼでもしてみろ。7/4

羽根もボロボロで、死が間近に迫っているクロアゲハが、長い口吻を精一杯伸ばして、一心に百合の蜜を吸うておるのを見ていると、なにか胸に迫って来るものがある。7/5

公約をまったく果たさず、コロナ対策で迷走するミドリノタヌキより宇都宮か山本選手の方が、遥かに都知事にふさわしい政治家だと思うのだが、東京都民は人を見る目がないなあ。それにファッショ維新の小野某に61万も投票するなんて信じられないずら。7/6

混迷するコロナ禍を嘲笑うように九州全域に来襲する集中豪雨と洪水浸水。去年の台風も酷かったが、10年前はこれほどの局地的被害はなかった。これも急激に進行する地球温暖化の悪魔的副産物に違いない。7/7

どういう訳だかこの国では死亡率が低いので、このまま感染者が増えてもどうせたいしたことにはなりゃせん。どんどん規制を緩和して経済を再生させよう。というのがキツネ男と猪八戒の不敵な料簡ずら。7/8

妻君と家の前の小川を覗いていたら、アユとモズクガニの他に、なんとなんとウナギがいたので、大喜びでウナロクロウと名付けた。これまでに見つけたウナタロウからウナゴロウまでの5匹は家から離れた場所だったが、これからは身近で可愛がってやれるなあ。7/9

昔の邦画をみていると、役者が白い息を吐くシーンによくお目にかかる。中には真冬なのに真夏の半袖を着た(着せられた)確か黒澤の初期の映画などもあって興を殺がれ、物語に没入するどころではなくなるが、昔はそれほど寒かったのだろう。7/10

トランプやブラジルの大統領にならって「命より経済」という固定観念に取りつかれているので、「GoGoGo強盗作戦」などに夢中で、第2波感染者が爆発的に増加しても見ざる聞かざる知らぬ存ぜぬの安倍蚤糞ども。7/11

嗚呼、短歌の巨星、岡井隆墜つ、92歳。この歌人の選に入った日は、終日嬉しく、何がなしに誇らしかったものだ。合掌。7/12

政治家の知性や個性は、顔に出る。関東地方の知事で、まっとうだと思うのは埼玉県の大野知事くらい。神奈川のオッサンは何を考えているのか分からないが、腹に一物ありそうだし、東京都は、千葉県と違って莫迦ではないが、極めて陰険で油断も隙も無いタヌキだ。7/13

第2次感染の爆発期寸前にもかかわらず、1億総地獄行きのGoToキャンペーンを撤回しないとは開いた口がふさがらない。安倍蚤糞、ニシムラキツネ、ミドリノタヌキの無責任な無為無策は、犯罪的ですらある。7/14

免許証を持っている妻に「アクセルとブレーキを同時に踏んだら、どうなるの?」と尋ねたら、「今のクルマは、そんなバカなことはできないようになってます」と答えたが、あに図らんや、「しっかり感染対策をやってます」とキツネ男がいう味噌糞一緒の今のニッポンが、その姿だ。7/15

「コロナが終息したら発動する」と閣議決定した「ゴオ!ゴオ!フリント強盗作戦!」を、収束どころか拡大しているのに、全国民の反対を押し切って強行する理由は何か?二階堂、電通への忖度か?朝三暮四内閣最後の面子か?いずれにせよこれで安倍蚤糞は完全に詰んだな。7/16

「天下に己れ以外のものを信頼するより果敢なきはあらず。而も己れ程頼みにならぬものはない。どうするのがよいか。森田君君此問題を考へた事がありますか」(明治39年2月13日森田草平宛書簡) 夏目漱石 7/17

「僕が二十三四に書きかけた小説が十五六枚残って居た。よんで見ると馬鹿気てまづいものだ。あまり恥ずかしいから先達て妻に命じて反古にして仕舞った。勿論今でも御覧の通りのものしか出来ぬが然し当時から比べると余程進歩したものだ。夫だから僕は死ぬ迄進歩する積りで居る。」(明治39年2月13日森田草平宛書簡)夏目漱石 7/18

「例えば猫を一節書くとこの次にはもう書くことがあるまいと思ふ。然しいざとなると段々思想も浮かんでくる。まず前回位なものは出来る。すべてやり遂げて見ないと自分の頭のなかにはどれ位のものがあるか自分にも分からないのである。君抔も死ぬ迄進歩する積りでやればいいではないか。作に対したら一生懸命に自分の有らん限りの力を尽くしてやればいいではないか。」7/19

「僕の旋毛は直き事砥の如し。世の中が曲がって居るのである。猫は苦しいのを強いて笑ってる許じゃない。ほんとに笑って居るのである。此手紙に対して別段返事はいらない。只奮って勉強し玉へ。以上」(明治39年2月13日森田草平宛書簡)夏目漱石 7/20

GoToだか強盗だか知らないが、そんなに死ぬほど旅行に行きたい奴は、安倍蚤糞なぞの世話にならずに、全国どこでもジャンジャン出かけていって、コロナに感染したり、しなかったりすればいいだけの話だと思うずら。7/21

嗚呼嫌だ嫌だ、世の中なんもかんもやになっちまったよお、と、最近自殺した若手の人気俳優も思ったのではないかしらん。7/22

もはや第2次感染真っ盛りだというのになんら防止対策をするどころか平然とウイルスばら撒きGoGo大作戦を開始し、トランプ仕込みの狂気の経済第一主義のエンジンを全開し始めた安倍蚤糞。トランプ同様お前さんの政治生命は短いぜ。7/23

すでに第1波を超える感染者が出ており、2波が激増しているというのに能天気な強盗作戦しかやらない安倍蚤糞。いまこそ東京のみならず全国で外出自粛と補償金付きの休業依頼をするべきだろう。7/24

プーチンのロシアが「領土一体性の侵害」に罰則を法制化。これで北方領土は戻らなくなってしまった。北朝鮮の拉致問題解決の無為無策と並んで、これも「外交に強い安倍蚤糞」のお手柄のひとつと言えるだろう。7/25

香港の自由を根こぎにしようとする中国のろくでなしと、その中国を叩こうとする米国のろくでないと、その2つの巨人のはざまにあって、なすすべもなくたちずさむ日本の、どれが一番のろくでなしか。7/26

2週に亘ってNHKが地方オケの特集を放送した。駆け足のダイジェスト版ではあるが、広上の京響、小泉の九響をはじめ意欲とレベルの高さを実感した。「皆様の公共放送!」なのだから、相変わらず官僚的なソナチネを奏でるN響の放送は半分位に減らして、これら地方オケと在京民間オケによる刺激的なライブをジャンジャン放映してほしい。7/27

哀悼!山本寛斎、白血病で死す76歳。昔々リーマンになりたての私が、教育テレビの「若い広場」とかいう寛斎氏や森顕氏も出るトーク番組に社命で出されたとき、収録が終わるや否や私に向かって「私の会社に来ませんか?」といきなりスカウトされたことを懐かしく思い出した。7/28

NHKを筆頭に日テレ、フジなどの放送局、産経、読売などの新聞社の政治報道は、ジャーナリズムの基本が権力批判にあるという正道を投げ捨てて、ひたすら最高権力者の意向を迎え入れ、その威光に取り縋り、翼賛崇拝し、あまつさえ奴隷のように拝脆 するという無惨な体たらくだ。7/29

戸田ツトム死す69歳。昔々南青山の事務所を訪ねて時を過したものだ。或る時「佐々木さん、煮詰まってますね」と言われたので、脳髄に思想が渦巻いているのかと自負していたが、家に戻ってよく考えると「行き詰まってますね」と言い当てられたのだった。合掌。7/30

奇跡の復活を遂げた新入幕の照ノ富士が、新大関の朝乃山を破り、その勢いで見事初優勝を遂げる。のではないだろうか。7/31


 「コロナから命を守る」どこへやら「経済を回す」一色となる 蝶人
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なにゆえに第78回~西暦2020年文月花鳥風月狂歌三昧

2020-08-02 13:45:40 | Weblog


ある晴れた日に第616回


なにゆえに中国は香港をにする独裁者は自由を憎む

なにゆえに両手使いの指揮者が嫌か みみッちくてけたくそ悪い

なにゆえに小池も西村もなーんもしない東京感染が3桁になったぞ

なにゆえにモザールの後でバルトークモザールだけのプログラムにし給え

なにゆえに球磨川氾濫に雀躍すコロナ報道には飽きちゃいましたあ

なにゆえに人差し指が痛むのか悪しき者らを指弾し過ぎて

なにゆえにミドリノタヌキを支持するや366万の魑魅魍魎

なにゆえに今なおPCRを押さえている感染爆発をひた隠しつつ

なにゆえに政府見解に「批評」をしないアヘ広報の公凶放送

なにゆえに「バックウオーター現象」などという「逆流」という日本語があるじゃないか

なにゆえに感染者が増えても何もせんコロナなんかブラジルのはなし

なにゆえに岡井隆は世を去ったこの世と歌に見切りをつけて

なにゆえに株はまたもや高値をつける民はコロナで半死になのに

なにゆえに「圧倒的に東京」と決めつける圧倒的な無責任男が

なにゆえに歌会始選者にあこがれる「学問のすすめ」を読んだ歌人が

なにゆえに看護師さんにボーナスが出ない河井夫妻にはドーンと出たのに

なにゆえに藤井七段の顔を見たい安倍や小池や西村ではなく

なにゆえに株が下がれば嬉しくなる秘かに希む資本の破綻

なにゆえに「旅行をしても感染しない」オミ会長は気違い専門家

なにゆえにタイタニックは沈没した石炭火災による隔壁損傷

なにゆえに毎日タヌキが顔を出す感染者数は広報でよろし

なにゆえに感染拡大を放置する森羅万象ノーコントロール

「なにゆえに感染が増えてもなんもせん」「もうどしたらいいのか分かりましぇん」

なにゆえにメイド・イン・チャイナで家電が溢れる「政経分離」と割り切っているから

なにゆえに麻雀店「高尾」はつぶれたかコロナに加えて政治の冷酷

なにゆえに西村キツネは在宅勤務をぐちゃぐちゃぐちゃ強盗キャンペンを止めればいいのだ

なにゆえに天青が30も咲く「早くコロナ梅雨が明けますように」

なにゆえに夜もおちおち眠れない夜毎の夢を記録している

なにゆえに安倍蚤糞は何もしない第2次感染が爆発している

なにゆえに西村キツネが御託を並べるお前は経済回し者に過ぎない

  その昔令和令和と騒いだが今ではみんなコロナだコロナ 蝶人

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