あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

都美術館で「プーシキン美術館展」をみて

2018-05-11 16:00:47 | Weblog


蝶人物見遊山記


天気が悪いので止めようかと思ったのですが、せっかく上野に来たんだからと足を運んだら、宝物と出会いました。セザンヌが亡くなる年に描いた「サント=ヴィクトワール山、レ・ローヴからの眺め」です。
彼はこの題材を繰り返し描き続けましたが、最晩年のこの油絵は、それまでの具象的なアプローチがほぼ解体され、色彩が怒涛のように氾濫する一種の抽象画と化しています。
しかしもはや写実も成形も古典的秩序も完全に放棄し去ったその絵はあまりにも美しく、なによりも瑞々しい生命力に輝き渡っています。

それは自らが築き上げたセザンヌ的キュビズムをぶち壊してかち取った、セザンヌ独自のフォヴィズムという新境地のかもしれませんが、そんな下らない名辞を超越して、そのキャンバスだけが光輝いているのでした。

その他、私の好きなクールベの「山の小屋」、ボナールの「夏、ダンス」、大好きなアンリ・ルソーの「馬を襲うジャガー」、モネの「草上の昼食」(登場人物はみな死んでいる!)、おっといけない忘れるところだった、素晴らしい、素晴らしいルノワールの「庭にて、ムーラン・ド・ラ・ギャレットの木陰」も深く心に留まりました。

なお本展は来る7月8日までパンダが騒ぐ東京上野公園内で開催ちう。


 宝くじに当たってからは伸び伸びと風景画を描いたアルマン・ギヨマン 蝶人

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