はじめに
前回は、日下のヒノシタ・ヒノモトの意味を書いたが、少し説明が不足していると後で気がついた。
ニギハヤヒを「ヒノシタ」と言ったのは、尊名を避けて、「日の神の下」、と言ったのであり、これは、ニギハヤヒが「日の神(天照大神)の代理」の意味である。
また、「ヒノモトも、日の元(=高天原=宇摩郡)から来た方」であり、天下って来たニギハヤヒを意味する。ヒノモト=ニギハヤヒ=日の下は同義なのである。
クサカについて
谷川氏の解説は、草香の文字説明だった。また、この説明は、日下・草香を特定する内容ではなく、何処に置き換えても成立するものだった。
クサカは草香と書いているが、転換すると、草加・久坂・日下と書く地もある。全国にクサカと呼ばれて地が幾つかある事を示している。そして、字は草だけでは無い事も判る。
クサカの語源は何か?
宇摩説では、クサは人々を意味する。三種の神器にクサナギの剣がある。ナギはイザナギのナギであり、海の潮の穏やかな状態をいう。つまり、「クサナギは人々が穏やか」の意味だ。
クサカの「カ」は、著書1で、神は最初、見え難いもの「か」と言われ、強まって「かか・かが」になり、神(kami・kamu)になったと説明している。
ミが付いたのは、尊敬をしたからである。ムは神産巣日神の産むであり、人々の生活向上の指導者を意味する。
なお、カから変化の時に、神聖な意味を含む「サ(差・唆・早)」を付けた。つまり、神を「さか・さが」とも言った。地名のサカ・サガは、神話時代の神に関係した地域の検討が必要である。
サカ・サガには、坂・阪・酒、佐賀・嵯峨などが当てられて、漢字の意味が優先して、本来の意味を失っている。だから、クサカは、ク・サカとも切れて、「来・神(さか)」ともなる。
以上の事から、「クサカとは、人々の所に来た神」、または、「天降る地域の神」である。そして、この神の居る地域もクサカと言うようになり、地名となった。
したがって、ひのもと・ひのした・にぎはやひ・くさかは全て同じ事を別の視点で言い変えたものである。つまり、どの字を書いても、天降りの神を意味し、居るのはクサカだった。
以上が宇摩説の解明である。
なお、地名に当てられた漢字は伝承を含む漢字もあるが、迷彩するための漢字もある。字義の解釈だけでは大変危険だから、語義を中心に解いて、字義と一致していれば使える。
草の補足
忍者が偵察のために、下忍を何年間も地域に送って、地域に馴染ませていた。これを、「クサ(草)」といった。カが付かないのは指導に行ったのではないからだ。
これは、伊賀などの忍者が高天原の方法を利用した偵察である。このために、古語の人々を意味した草が残る。