新学期の前に北京に立ち寄った。メディアで仕事をしている卒業生への激励が主な目的で、古い仲間とも会った。
この夏卒業したばかりの学生もいる。新聞、テレビといった伝統的なメディアが急速に地盤沈下する中、北京などの大都市を中心に新たなネットメディアが勃興している。新聞学院の卒業生は、AIの導入など激変するメディア業界の中で、ジャーナリズムの理想を求め、奮闘する。取り巻く環境は厳しいが、だからこそ理想を堅持する必要がある。そういう若者は将来、間違いなく有為な人材となる。今、追い風を受けている業界がこの先何十年もその地位を守っている保証はない。歴史はむしろその逆を教える。
予測の困難な時代だからこそ、自分がやりたいこと、自分が興味を持つことに身を投じればよい。そうすれば後悔はない。人生はだれのものでもなく、自分がそれを受け入れ、楽しむものだ。そういって彼女たちを励ます。
学歴競争は激化し、いい仕事に就こうと思えば大学院卒が最低条件だと言われる。大学院に進むのも、多くは研究を続けたいからではなく、経歴を飾るための手段でしかない。ただその一方、そうした道を選ばず、学部卒で記者を志す若者たちがいる。豊富なインターンの経験を積み、強い職業意識を持っている。
この春、京都奈良取材ツアーに参加した学生のうち一人、付玉梅もまたその一人だ。北京の有力メディアに就職が決まり、休みも返上して頑張っている。面接のときに、日本で取材した記事を掲載した新華社隔週誌『環球』を手に、自分の成果と情熱を語った。競争相手はみな大学院生だったが、その戦列に唯一、学部生として加わり同じ待遇での一席を勝ち取った。
『環球』には5月末から8月末にかけ学生の原稿が計6本掲載された。中にはアクセス数が60万を超えた記事もある。同誌は新華社の海外特派員が寄稿する国際関係誌だ。内容に求められる水準は極めて高いが、学生たちは入念な準備と深い洞察、周到な取材、的確な表現によって質の高い記事を完成させた。多くは在中国日本大使館のミニブログ・微博にも転載され、同じく高い評価を得た。
北京での集いでは、『環球』の劉娟娟編集者も参加して、プロの記事にも引けを取らない作品だと学生たちへの激賞があった。
各記事のタイトルは、
第11期「京都“京町家”再生记」付玉梅(京町家の再生記)
第13期「唐招提寺的“不老”妙方」李梓毅(唐招提寺の老いない秘密)
第14期「日本和歌曲水宴」蒋楚珊(和歌を伝える曲水の宴)
第15期「无缘社会里的日本寺庙」郭瑞嬋(無縁社会における寺院経営)
第16期「“玩”西阵织的日本青年」董柴玲(西陣織の革新に取り組む若者たち)
第17期「女将的日式待客之道」付玉梅・蒋楚珊(女将が体現する日本のおもてなし)
私が2017年から汕頭大学で始めた日本取材ツアーが、多くの人々に支えられていることはこれまで何度も触れた。学生たちにはその縁を大切にし、支援と協力に感謝し、責任感とチームワークによってしかるべき成果を残すようにと教える。単なる取材活動だけでなく、異文化との交流を通じた全人格教育を目指す。そのうえで、取材の成果が学生たちの将来に向けた自信と基盤になればいいと思う。
来年は2020年東京五輪に関する取材テーマとなる。大きなイベントなので従来以上にしっかりした準備が必要となる。大学の同級生が都内の自宅を学生たちの宿泊施設として提供すると申し出てくれた。五輪期間の宿泊費高騰に頭を痛めていたので、なによりもうれしい朗報である。メンバーの人選は通常より半年早く、今学期に面接を行って決める。どんな顔ぶれになるのか。楽しみだ。
この夏卒業したばかりの学生もいる。新聞、テレビといった伝統的なメディアが急速に地盤沈下する中、北京などの大都市を中心に新たなネットメディアが勃興している。新聞学院の卒業生は、AIの導入など激変するメディア業界の中で、ジャーナリズムの理想を求め、奮闘する。取り巻く環境は厳しいが、だからこそ理想を堅持する必要がある。そういう若者は将来、間違いなく有為な人材となる。今、追い風を受けている業界がこの先何十年もその地位を守っている保証はない。歴史はむしろその逆を教える。
予測の困難な時代だからこそ、自分がやりたいこと、自分が興味を持つことに身を投じればよい。そうすれば後悔はない。人生はだれのものでもなく、自分がそれを受け入れ、楽しむものだ。そういって彼女たちを励ます。
学歴競争は激化し、いい仕事に就こうと思えば大学院卒が最低条件だと言われる。大学院に進むのも、多くは研究を続けたいからではなく、経歴を飾るための手段でしかない。ただその一方、そうした道を選ばず、学部卒で記者を志す若者たちがいる。豊富なインターンの経験を積み、強い職業意識を持っている。
この春、京都奈良取材ツアーに参加した学生のうち一人、付玉梅もまたその一人だ。北京の有力メディアに就職が決まり、休みも返上して頑張っている。面接のときに、日本で取材した記事を掲載した新華社隔週誌『環球』を手に、自分の成果と情熱を語った。競争相手はみな大学院生だったが、その戦列に唯一、学部生として加わり同じ待遇での一席を勝ち取った。
『環球』には5月末から8月末にかけ学生の原稿が計6本掲載された。中にはアクセス数が60万を超えた記事もある。同誌は新華社の海外特派員が寄稿する国際関係誌だ。内容に求められる水準は極めて高いが、学生たちは入念な準備と深い洞察、周到な取材、的確な表現によって質の高い記事を完成させた。多くは在中国日本大使館のミニブログ・微博にも転載され、同じく高い評価を得た。
北京での集いでは、『環球』の劉娟娟編集者も参加して、プロの記事にも引けを取らない作品だと学生たちへの激賞があった。
各記事のタイトルは、
第11期「京都“京町家”再生记」付玉梅(京町家の再生記)
第13期「唐招提寺的“不老”妙方」李梓毅(唐招提寺の老いない秘密)
第14期「日本和歌曲水宴」蒋楚珊(和歌を伝える曲水の宴)
第15期「无缘社会里的日本寺庙」郭瑞嬋(無縁社会における寺院経営)
第16期「“玩”西阵织的日本青年」董柴玲(西陣織の革新に取り組む若者たち)
第17期「女将的日式待客之道」付玉梅・蒋楚珊(女将が体現する日本のおもてなし)
私が2017年から汕頭大学で始めた日本取材ツアーが、多くの人々に支えられていることはこれまで何度も触れた。学生たちにはその縁を大切にし、支援と協力に感謝し、責任感とチームワークによってしかるべき成果を残すようにと教える。単なる取材活動だけでなく、異文化との交流を通じた全人格教育を目指す。そのうえで、取材の成果が学生たちの将来に向けた自信と基盤になればいいと思う。
来年は2020年東京五輪に関する取材テーマとなる。大きなイベントなので従来以上にしっかりした準備が必要となる。大学の同級生が都内の自宅を学生たちの宿泊施設として提供すると申し出てくれた。五輪期間の宿泊費高騰に頭を痛めていたので、なによりもうれしい朗報である。メンバーの人選は通常より半年早く、今学期に面接を行って決める。どんな顔ぶれになるのか。楽しみだ。