片山修のずだぶくろ Ⅰ

経済ジャーナリスト 片山修のオフィシャルブログ。2009年5月~2014年6月

TPPは日本の農業にとって、絶好のチャンス!

2011-11-17 18:47:58 | 社会・経済

TPPをめぐる議論のなかで、反対派の主張の一つが農業です。
「海外から安い農作物が流入すれば、
日本の農業は壊滅状態になる」
と、農業団体は主張します。しかし、この論理には疑問があります。

一つは、安い農作物が海外から入ってきたら、
本当に
日本の農作物は売れなくなるのかという疑問です。
肝心のお米はコシヒカリなど、世界中で高く評価されています。
コシヒカリなど、日本のお米はおいしいと高く評判です。
リンゴ、梨、みかん、メロンなどの
果物は、どれも甘くて大きい。
少し高くても、消費者はおいしいものを選ぶのではないか。

もう一つは、TPPを結ばず、
農業の市場を閉ざして保護し続けたところで、
日本の農業は生きのびられるのかという疑問です。
後継者不足、人口減少による需要減など、
このままでは、
日本の農業はじり貧です。

製造業と比較するとどうでしょうか。
少子高齢化や人口減で、
製造業も農業と同様、国内需要は頭打ちです。
しかし、世界的に競争力のある、
高い技術がありますから、
さらなる成長を目指して、大手も中小企業も、果敢に海外へ進出し、
海外の成長市場の需要を取り込んで、生き残りを図っています。
安い量産品には負けない「高品質」「高付加価値」で勝負しているのです。

日本の農業も、
味や見た目、安全性など、
高品質の作物をつくる「技術」がある。
その「技術」をもってすれば、
海外の安い量産品に負けないのではないか。
高くても、
おいしくて安全なものを食べたいおカネもちは、世界中にいます。
「高品質」「高付加価値」を売りに、
海外の需要を獲得すべく、
攻めの姿勢をとるときです。

まだまだ
少数派ではありますが、幸い、
海外に活路を見出した農家の例を、新聞やテレビでいくつも見ました。
今日の日本経済新聞にも、「TPP攻めの開国」として、
新潟産の米の台湾輸出を始めた「新潟玉木農園」が紹介されていました。
同農園は、新潟は高級品に特化して、
台湾では現地生産にこぎつけたといいます。

以前、ここで、「新世代の中小企業経営者とは」として、
町工場
の三代目が、知的スマートさをもっていることに触れました。
かつての町工場の親父と違い、
大学を出ていて教養があり、
考え方が
合理的で、視野はグローバル。
海外にアレルギーがなく、外国人に抵抗がない。
外部の人間に対しても、フレンドリーで、明るくオープンな性格……。
同じ
「新世代」が、これからの農家の後継者となり、
日本の農業を支えるべきなのです。

もちろん、TPP参加が決まれば、
農家の努力だけでは追い付かないところを、
国が補助することは必要です。
しかし、市場を
閉鎖し続けたところで、日本の農業に未来はありません。
ならば、技術を磨き、「改善」の努力を重ねて、
世界から評価される農業をつくるべく、挑戦するべきです。
その意味で、むしろ
TPPは絶好のチャンスなのです。