11日の日本経済新聞「経済教室」の執筆者は、
神戸大学教授の忽那憲治さんです。
「日本再生のための企業論 下 創業期に外部資本導入を」
と題する論文で、すこぶる興味深い記述がありました。
「これまでの『小さく産んでゆっくりと大きく育てる』
という姿勢では限界がある。
『大きく産んで急いで大きく育てる』という姿勢に
転換する必要がある」というのです。
日本企業は、「小さく産んで大きく育てる」ことを得意としてきました。
例えばホンダは、かねてから「小さく産んで大きく育てる」を、
モットーとしてきました。
これは、町工場から発展したホンダのDNAといっていいでしょう。
ところが、グローバル企業は、いまや、いきなり莫大な投資によって、
新事業を大きく産み出し、その後、あっという間にもっと大きく育てる。
つまり、ドンと設備投資し、ドンと生産し、
ドンと儲けて競争相手をあっという間に駆逐する。
大きければ大きいほど、規模の経済で、生産効率は向上します。
サムスンの半導体事業や液晶パネル事業は、
まさに好例といっていいでしょう。
せんだって、ソニーセミコンダクタの
長崎テクノロジーセンターにいってきました。
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※ソニーセミコンダクタ 長崎テクノロジーセンター外観
CMOS(シーモス)イメージセンサーの製造ラインを稼働させました。
CMOSセンサーは、近年、スマートフォンに搭載されるカメラ用に、
需要が急拡大しています。“スマホ特需”です。
11日の日本経済新聞によると、
アップルの「iPhone4S」には、暗い場所でも鮮明な映像を撮影できる、
ソニーのCMOSセンサーが用いられています。
CMOSセンサーこそ、国際競争力の高い、ソニーのキーデバイスなのです。
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※スマートフォンに搭載されているレンズモジュール
ソニーは、総額1400億円以上を投資して、
熊本の拠点と長崎テックにおける、CMOSセンサーの生産能力を
来年3月までに、10年12月比で倍増させる計画です。
ただ、ソニーのCMOSセンサーも、
コンペティターのサムスンが「大きく産んで急いで育て」れば、
それこそ、あっという間に逆転されかねません。
いまのところそうなっていないのは、
ソニーが競争力を維持しているからです。
CMOSセンサーは、他社に比べて「2年以上」技術が先行しているのです。
「小さく産んでゆっくり大きく育てる」時代から、
「大きく産んで急いで大きく育てる」時代への流れは、
おそらく、今後、変わらないでしょう。
この動きに対抗するのには、日本企業は、ただひたすら技術の優位性を
確保し続けなくてはいけないことは、指摘するまでもありません。