片山修のずだぶくろ Ⅰ

経済ジャーナリスト 片山修のオフィシャルブログ。2009年5月~2014年6月

スマートグリッドは日本を救うか①

2011-11-21 18:54:32 | インポート

ご存じのように、「スマートグリッド(賢い電力網)」
という言葉が流行語のようになっています。
私は、今後、
スマートグリッドは一大産業になると考えています。
なぜか。また、日本は「スマート大国」
「スマートグリッド立国」になれるのか――。


①スマートグリッドの必然性
3月11日以降、福島原子力発電所の事故を発端として、
日本は電力不足に陥りました。
関東を中心に、夏季には、電力の需給量の予想が毎朝ニュースで流れ、
店頭には節電グッズが並びました。
これから、冬に向けてまた節電ムードが高まりそうです。
そんななか、
「スマートグリッド」が注目を集めています。

最近、私は何カ所かのスマートグリッドの実証実験を
見学する機会がありましたが、そのなかで気付いたことは、
3.11以降、
スマートグリッドの実現が急進展すると考えられることです。
1年前には、10年後といわれていたことが、
いまでは、
5年もしないうちに、一部実現するのではないかとさえ思います。

スマートグリッドは、
住宅、工場、都市交通、オフィス、
病院、学校
など、社会全体を巻き込む、大きな構想です。
日本では、経済産業省が、
横浜市、豊田市、京都府(けいはんな学研都市)、
北九州市
を「次世代エネルギー・社会システム実証地域」に選定し、
スマートシティの実証実験を行っているところです。
このうち、私は二カ所を取材しました。
このほか、
企業が行っている実証実験も取材に出かけました。
たとえば、
横浜市では、アクセンチュア、東芝、日産自動車、
パナソニック、明電舎、東京電力、東京ガスと共同で、

再生可能エネルギーの大規模導入、
4000世帯のスマートハウス・ビルの導入、
次世代自動車普及、消費電力などの可視化による
ライフスタイル革新などに取り組んでいます。

スマートグリッドの構想は、もちろん、日本だけではありません。
2006年ごろに、オランダの
アムステルダム
アラブ首長国連邦からはじまり、
いまや、
米国、フランス、スペイン、中国、シンガポール、
マレーシア、インド
など、主要プロジェクトだけでも、
35カ国400件以上にのぼるといわれています。
つまり、いま、スマートグリッドをめぐって、

ホットな開発競争が世界的に繰り広げられているのです。

というのも、現在、世界では、大きく、

①資源高、②化石燃料の枯渇、③環境問題の、
3つの観点から、
省エネが叫ばれます。
かつて日本が高度経済成長を果たしたときのように、

電力を使い放題にできる時代では、もはやないのです。
日米欧の
先進国に加えて、BRICsはじめ、これから伸び盛りの新興国も、
急増する電力需要をまかなうことは、喫緊の課題です。

いかに、
効率よく発電し、送り、ため、使うか。
つまり、エネルギーマネジメントが問われているのです。
必然的に、
世界中でスマートグリッドが求められています。
そのなかでの
日本のスマートグリッドは、どこまで競争力があるのか。
明日から、報告します。