20期の大井です。
この連休に家の片付けをしていたところ、とても懐かしいものを見つけました。高校時代に使っていた山川出版社の世界史の教科書です。私は理系でしたが、実は世界史が一番好きな科目で、数学や物理より得意という変わり者でした。ちょっとうれしくなり久々に目を通してみました。
世界史の教科書といえば山川というくらいのトップブランド。その分量はわずか384ページ。ここに、東洋・西洋・中東その他もろもろの地域の3000年を超す歴史が書かれています。1ページに数十年分の歴史が詰まっています。実はすごい書物です。今、あらためて読むと、わかりやすく間違った解釈に導かないよう、一文一文簡潔に要点がまとめられ、論理構成が正しく書かれていることに気付きました。また、書き方のトーンも一貫しています。学生当時はこんな文章の作法まで全く考えが及びませんでした(ま、普通は考えないですよね)。
例えば、ルネサンス文化の一節。これで半ページ。
15世紀にはいると、貧富の対立を背景として、多くの都市に新しい型の独裁者が登場するが、かれらはしばしばルネサンス文芸の愛好者であり、学者や文人・芸術家を養ってその権力を誇示した。フィレンツェの富豪メディチ家はその代表的な例で、ブルネレスキはフィレンツェのサンタ=マリア大聖堂の円蓋を設計したほか、りっぱな宮殿を同家のために建て、ドナテルロ・ボッティチェリらが彫刻や絵画で宮殿の内外をかざった。15世紀以来フィレンツェでは独裁者メディチ家とこれに対抗する共和派との争いが激しくなり、外国軍の侵入もあって政権は一時共和派に握られ、文芸の中心はローマに移った。政治を宗教や道徳から切りはなし、政治における謀略の必要を説いたマキャベリの「君主論」は、この混乱期の産物である。
(出典:『再訂版 詳説 世界史』、山川出版社、1988年)
どうでしょう?メディチ家、ボッティチェリ、マキャベリ。見事にこの時期の重要キーワードが論理的に散りばめられていないでしょうか。一文がちょっと長いきらいはありますが、読点の入れ方も絶妙です。
著作者・執筆協力者は総勢10名です。大御所と呼ばれる方々で、当然ながら個性もおありでしょう。普通に原稿を集めたら、いくらプロフェッショナルとはいえバラバラな書き方だったはずです。各著者が担当部分を執筆し、相互校正を繰り返し、1つ1つの表現を吟味し、膨大な労力でレベル感を合わせたことが伺えます。選ばれた単語1つ1つが研ぎ澄まされている感覚がします。それが長年トップの教科書ブランドの品格を作り上げていることに気付きました。
「企業診断」の執筆企画が先日ようやく校了しました。大昔に1度だけ専門誌に技術解説を書いたことがありますが、本格的な執筆は初の体験です。足掛け約4カ月の作業、ここまでチェックされるかと思ったこともありました。しかし、今回の特集は集団でのワークです。振り返ると、特集の全体感や求められるレベル感も踏まえ、広い観点で捉えて取り組む必要性があったことが理解できます。しかし、実際は自分自身の原稿でいっぱいいっぱいでした。ここが反省点です。
世界史の教科書を読み直しながら、あらためてその重要性に思いを馳せました。ご指導くださった鴨志田さん、亀田さん、関係したみなさまにあらためて感謝いたします。
左側が、掘り出されてきた私の30年以上前の教科書。
右側は、大学生の娘が最近買ってきた英語版。英語版もあるんですね。
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