中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

日が沈まない・・・ウルムチの将来はまだまだ明るい?

2012-04-30 21:07:21 | 中国
中国、あるいはアジアの地図を眺めれば簡単にわかることですが、昨日までいた上海と、ウルムチの時差は本来は2時間以上あります。ウルムチ時間ではなく、基本的には北京時間で動いているので、時計はもう夜の7時でも、お日さまはまだ高い場所にあったりします。夏場は夜の11時にならないと日が沈まないとか。ちょっと得したような気もしますが、さしたる予定も下調べもせずに来た私にとっては長い夜になりそうです。

ホテルを出て、まずは近くの人民公園に行ってみました。公園自体は普通の公園ですが、そこに行くまでの街の景色は、開業準備中らしき洗練された高層ビル群や、綺麗な花が並ぶ歩道。行き交う人も、ウイグル族の衣装の女性が時に混じりながらも、ごくモダン(?)なファッションでカップルや女性同士が腕を組んで通り過ぎていきます。ウイグル族の顔は、漢民族とはあきらかに違うのですが、ニューヨークやシンガポールで、いちいちどの人が何人と考えることがなくなるように、民族の隔たりも感じさせないまま、街は賑わっています。

ウイグル虐殺事件などが報道されましたが、ジャカルタで見たような、中国系の人が富裕層を独占しているようには見受けられず、お金持ちのウイグル族もいれば、貧乏な漢民族もいる、もちろんその逆もありです。民族の対立と言うよりは、ある事件をきっかけに暴力団の抗争が日本でも起こるような・・・喩がいまいちですが、そのような事件は常に起こる可能性はあるわけで、日々の暮らしにおいては何の対立もないと私は感じました。もちろん、わずかな時間の感覚でしかありませんが、デモや暴動は、諸外国が仕掛けているケースも多いでしょう。

人民広場の後は、紅山に行き、その大都会が見渡せるてっぺんまで階段を登ったりしました。市の人口が250万、中心部で130万程度のようですが、街にあふれる人の数の影響か、名古屋あたりよりも都会に見えてしまいます。実際、GDPが15%近く伸びているエリア。鉱物資源の恩恵も手伝って、今しばらく著しい発展を続けるでしょう。日本企業の影はまだまだ薄いエリアですが、すでに先見の明で進出、成功している大阪の企業もあるとのこと。私自身がこの街でビジネスをするかどうかは微妙ですが、「これからは中国!」と勢い込んで上海に進出しようとするくらいなら、中国の別の省、ある意味、別の国とも言える市場に着目してはいかがでしょう?もちろん、ウルムチなどは主府であり、すでに注目されていますし、欧米や韓国企業に、中国国内企業との競争も熾烈には違いないと思いますが・・・

ふと、このような都市の成長性ばかりに目がいきますが、規模が小さく、成長が鈍化しているとは言え、日本の市場は、まだまだ洗練された普通の人がたくさんいます。もちろん、海外を見てこそ、日本の良さに気付くわけですが、まずは日本で価値のあるサービス、商品を提供する努力が大事だとあらためて思いました。




大都会・・・新疆ウルムチにやって来ました!

2012-04-30 16:49:47 | 中国
新疆ウイグル自治区の首府ウルムチにやって来ました。空港について2時間しか経過していませんが、市内中心部に入り、たった今、ホテルの部屋でPCを開いたばかりですが、20階の窓から見える高層ビルの景色も含めて、まさに「大都会」と言う表現が言い過ぎではないと思います。自治区の大半が砂漠でもある新疆ですが、ウルムチ周辺は、緑と水にも恵まれているようで、ラスベガスのように砂漠に突然現れた街とはイメージが違います。

今回は、わずか1泊2日の旅程。本来、ここまで来るなら、トルファンや足を延ばしてカシュガル、甘粛省の敦煌あたりもセットで観光ツアーと行きたいところですが、かれこれ3日以上の休みをとったことがない生活では、Door to Doorならぬ、Airport to Airportで24時間しか時間がとれそうにありません。それでも、決行したのは、常々、セミナー等で、ウルムチが大都会であることをデータ上で説明していたものの、見たこともない!と言うのは心苦しくて、労働節に思い切ってチケットとホテルを予約しました。百聞は一見に如かず、もちろん中国のすべての省や気になる都市にお邪魔するだけで寿命が尽きてしまいそうですが、西北エリアの要所ウルムチは外せません。

上海虹橋空港で、同じウルムチ行の便に乗るおばさんから、荷物が多いので一部を私が代わりに預けるよう頼まれたので快諾したのですが、彼女は69歳(中国では70歳)で、息子がウルムチで働いているとのこと。飛行機の座席は一人を挟んで同じ列でした。その間に入った男性と言うのが、これまた問題で、後ろの列の3人と友達のようですが、とにかく落ち着かない!40代半ばと思われますが、まるで子供のように後ろを向いてしゃべったり、奇声を上げたり、隣に座ったものですから、肘は出っ張り、真ん中に座った状態で足は全開・・・このまま4時間半のフライトが続くかと思うと憂鬱になりました。が、トイレに行って帰ってくると、彼が私の座っていた窓際に移動していて、一瞬びっくりしたのですが、先ほどのおばさんが交渉したようです。間に変な人を挟むよりも、彼女との会話の機会を得たことは渡りに船、早い段階でそうしとけばよかったと思いました


彼女は70歳の上海人なのですが、とにかく標準語が綺麗で聞き取りやすく、聞いてみると、なるほど、職業は言語の教授とのこと。飛行機が中国語教室に変わりました。私の発音については綺麗だと褒めていただきましたが、久々に中国語オンリーでしゃべるものですから、最初は緊張しました。そのうちウルムチの話や、中国の政権の話、尖閣諸島問題の話にもなりましたが、中国では、フィリピンとの関係の悪化も懸念されているようです。さらに元重慶市長薄熙来が、同じ太子党なのに習近平と仲が悪かったことなど、70歳になっても日頃からインターネットで情報を取っているようで、詳しく話してくれました。こういう出会いは嬉しいものですね。

博物館が月曜日休館と出鼻を挫かれ、ホテルの部屋で落ち着いてしまいそうですが、今からまたバスの乗って街に出てみたいと思います。一つではない中国のまた違う一面を体感できれば幸いです。

優秀な中国人は、組織でも実力を発揮する!

2012-04-29 23:47:04 | 中国
中国人は起業家が多いと言うのは誰しも聞いたことがあると思います。起業家と言うと、組織に属さない人間で、今までにない新しいことを創造し、上場などで巨万の富を得るみたいなイメージがあるかも知れません。実際に、現在の大手企業でも、松下幸之助氏、盛田氏と井深氏、本田宗一郎氏も創業時は皆ベンチャーで、私の所属したリクルートの江副氏も起業家の一人、新しいところでは、ホリエモンや楽天の三木谷氏もそうでしょう。

ただ、人ごみで「社長!」と叫ぶと何人もが振り返る!と言う冗談があるくらい、世間には私も含めて、自分で会社を経営している人間が星の数ほどいるのも事実で、日本が中国よりも起業家が少ないとは思いません。が、日本の扱いとしては、自分で会社をしている人は「自営業」と言う括りになり、パパママストアの流れで呼ばれてきたのも事実。ITブームで起業家が持て囃されましたが、どこか怪しい?と思われているのではないでしょうか?そもそもベンチャー企業と言う名前自体、「私は別に冒険をしていません!」と反論したことがありますが、大企業がまるで昔からあったかのような論調もいただけません。

が、実際会社を起こすことと、企業に育てることの差は大きく、上場できる会社はほんの一握り。大きな組織をマネジメントすることは、小回りの利くベンチャーとは違い、並大抵の努力ではありません。また、企業が大きくなると動きが鈍くなる会社もありますが、大きな組織では、社長以下のメンバーの重要性も増し、大企業ならではの大きな仕事をまかされ、それを貫徹することことも、優秀な人にとってはこの上ない喜びでしょう。

今日は、銀座、上海に店を持つ中華料理店の中国人女性総経理とお食事をしましたが、彼女の会社の母体は日本でも多くの店舗を持つ飲食チェーン企業。その中のいくつかのお店を任されている彼女に対して、「自分で起業はしないんですか?」と幼稚な質問をしてしまいました。「自分でやるのは大変だし、実際、責任も権限もあるので、本当にやりたいことは今のままのほうができますよ!」とおっしゃってました。

中国人の起業家も、よく見れば、パパママストア、あるいはアムウェイのようなネットワークビジネスの主宰に過ぎなかったりしますし、起業をした人のほんの一握りが上場するに至りますが、起業しなくても、大企業でさらに大きなスケールの仕事を動かす人もいるわけです。起業家の端くれの私なんぞより、はるかに輝いた目をしていた中国人女性にお会いして、中国人は起業家が多いなどと安易に言ってはならないとあらためて思いました。

上海で二日目の夜。一滴のアルコールもなしに、有意義な会話ができたことにホッとしていますが、組織を動かす力が最も必要なはずの自分自身の能力のなさを痛感するばかりです。いい刺激になりました。

視界を広げるには、教育と経験が必要ですね。

2012-04-29 14:26:14 | 中国
今朝もホテルの近くの公園をジョギングしました。雨上がりの日曜日は、労働節三連休の初日とあって、いつもに増して多くの人が集まっていました。70歳以上と思われる方が多く、若い人を足しても平均年齢は60歳は超えてるでしょうか?太極拳を凌ぐモダンダンスのおばさん達、今日のBGMは洋楽のロックになっていました。

このような公園をスローペースでジョギングをしていますと、これは中国の街中でも感じることですが、彼らが正面から来るならまだしも、斜め向かい、あるいは横から現れた時、ほとんどの人が私の存在を意識していません。人間の視界というのは、何となく90度くらいあるように思いますが、彼らの場合は、45度か、下手すると30度くらいではないかと思うほど、わが道をそのまま進んできます。当然、ぶつかりそうになるのを避けるため私が停まったり、よけたりすることになります。車で言えば、どう考えても私が先に交差点に入っているのに、横から突っ込んでくるみたいな?うまく表現できませんが、気を発しているほうが勝ち!それが暗黙の掟のようです。

以前に、中国語で気を遣うと言う言葉が見つからないと書いたことがありますが、これだけの人口、しかも様々な価値観や次元の人が一緒にいると、いちいち他人を気にしていては生きていけないのでしょう。ジョギングルートにもなっている通路の脇で、ダンスを繰り返すおばさんの団体は、音楽に乗って後ろにステップする際、通路を歩く人のことなどおかまいなしにバックしてきます。確かに後ろに目がついていませんからね。

ふと、日本で90度どころか、車の右折時にバックミラーを見て、後続の車が何台あり、この右折矢印信号で何台曲がれるか?などと後ろを気にして運転をしている自分に気付きました。日本ではよく、前から来た人と譲り合って、どちらも同じ方向に避けて右往左往している光景を見かけます。無駄な動きのように見えますが、どちらかと言うと他人が主役になってるからこそ起きる現象です。

中国の豊かさは紆余曲折ありながら、この10年くらいで得たもの。文革を過ごした世代には、かりそめの一瞬なのかも知れません。誰でも自分が中心ではありますが、様々な人間関係を通じて、他人のことを思いやる気持ちを持つようになるには、教育と経験が必要です。これは、世界の中の中国にも言えることで、13億の大国が、米国の一部の人みたいに自己中になっては世界が滅びます。英米人に見られる選民思想と中国人の中華思想、世界はユダヤ人と華人の争いだとは以前に述べましたが、気遣いや謙虚さにおいて、先を競ってもらいたいです。

視界の話を偉そうにしてみましたが、最近はスマホ片手に、視界が0になっているにも関わらず、「私だけは周りが見えてます」的な態度で、駅構内を歩く私がいることも思い出しました。正すべきはわが身ですね。

今更ですが、中国エリアスタディと世代分析の必要性!

2012-04-29 01:09:02 | 中国
4年ほど前からでしょうか、漢和塾では「中国のエリアスタディと世代分析」をテーマにしたセミナーを企業研修として実施してきました。中国人を知ろう!中国人とのコミュニケーション!なる異文化セミナー流行りのご時世ですが、どんなに優秀な講師の方でも、移り変わりの早い中国の今を語ることはできませんし、現地に10年いたから中国がわかるかと言うと、それはその人が見た中国、その人がいた中国、もっと言えば、たまたまその人が付き合ったことのある中国や中国人の情報でしかありません。面白おかしく中国と日本の違いを話すだけで、軽く本になったり笑いを取れますが、それぞれの企業が中国のどこの、誰と、どのようにビジネスを進めていきたいか?そのための基本的な情報収集も成されないまま、とりあえず上海へ!みたいな進出も後を絶ちません。

空港で見かけた日経ビジネスには、「徹底予測!中国ビジネス2012年」なる特集号が並んでいたので購入しましたが、政治の方向性の予測や、経済の可能性、日本企業の苦戦の原因、中国人と組んで世界へ出ると言った内容で、すでにこのブログでも発信してきた情報を網羅してくれてはいます。もちろん、企業の中でも感性が高く、現場に強く、権限とスピードのある方なら、その先の対策もすでに打っているとは思いますが、私が日本で200社、中国でも50社くらい、1年間に訪問させていただいている企業の中には、本社の経営陣や現地赴任者が中国の基本的なデータや感覚が不足しているケースも決して少なくはありません。

そもそも、中国は一つではありません。エリアスタディと聞くと地理の勉強のようですが、ヨーロッパの国々がすっぽり入るほどの規模、また歴史的に多様性満載の国を、一つに括ることは到底無理な話です。中国ビジネスどころか、上海ビジネス、遼寧省ビジネス、内モンゴルビジネスであり、さらに細かく分ければ、遼寧省でも大連と瀋陽が別の国、上海でも浦西と浦東でやり方が違ってくるかも知れません。中国進出と言って、北京、上海、大連にお店を出そうものなら、それが無名なブランドだとすると、いきなり欧州制覇だと言って、ローマ、パリ、ヘルシンキに一店舗ずつ出すベンチャー企業みたいなものではないでしょうか?最低でも、一つの省で一つの国と考えるべきだと思います。それに加えて、世代による生き方、考え方の差も尋常ではありません。セミナーでは文化大革命の影響に言及してきましたが、文革世代より下の親を持つ90年代生まれも市場に参加してきます。それでも、過去の強烈な感覚を引きずった消費者も圧倒的に多いわけで、貴社は、どこの中国人、いつの中国人、さらにどの階級の中国人を相手にビジネスをするのか、原点には何度でも立ち戻ってみるのも大事だと思います。

最近は私も含めて担当講師が多忙を極めておりますが、機会を見つけて私どもと一緒に「中国のエリアスタディと世代分析」を体感してみませんか?セミナーの最後には「自己紹介の中国語講座」もあり、赴任者だけではなく、本社の社長、役員、管理職にも是非身につけていただきたいスキルです。