中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

日本の強さは組織力?されど指導者不在では・・・

2011-03-31 20:58:41 | 国際
明日から4月1日。3月11日の震災から早くも月が変わってしまいますが、震災の傷跡はまだ全容も完全に把握できていませんが、毎日の関心は福島原発のその後になってしまっています。政府とマスコミでは、意図的に事故の露出を少なめにして、復興のメッセージを流していますが、確かに、地震災害であれば、日本全体、あるいは世界も助け合って、復興への道を急ぐべきでしょう。

ただ、今回の問題点は、日本だけではなく、世界が注視せざるを得ない大事故が、未だ解決策も見出せないまま、最悪のシナリオを先延ばしするだけの対処に追われていることです。当初は、枝野官房長官が政治主導を演出するかのように、率先して歯切れのいいコメントをタイムリーに出していましたが、「現時点では問題ない」とのコメントのオンパレードになり、結局、何が問題で、どのような対処策が最終的にあるのか?最善のケースと最悪のケースでどのような準備が必要なのか?国民をパニックにさせないために下手に報道しないのは理解できますが、このような重大な事故に対して、誰が本当にリーダーシップを発揮できるのか検討もつきません。

東京電力のせいにしたところで、これは日本という国家存亡の危機です。前から申し上げているように、日本は社長のいない会社のような組織ですから、首相、大臣は素人、さらには電力会社とて、実際の現場を理解しているのは、東芝と日立の技術者の方々です。保安委員会は天下り、結局はそのまた下請けの社員が、危険な場所に出向くことになりますが、明確な戦略も指示もない状態ですから、被害は広がるばかりです。

会社の存続に関わるような不祥事、あるいは大事故が起きた時、まずは初動が重要です。それを決めるのはリーダーシップのあるトップ以外にできないことです。日本の組織力の強さをセミナー等で中国の社員の方々に紹介することが多い今日この頃ですが、大きくなりすぎた企業、競争のない大企業では、組織力どころか、複雑な構造があざになり、責任者不在の状態に陥ってしまいます。

ここで組織の分析をしても仕方のないのですが、中国を共産党の独裁と非難してきた日本の政治家や有識者ですが、少なくとも現政権においては、中国は集団指導体制を維持しながらも、明確なトップダウンの政治ができていると思います。何人かの中国人の方から、今回の日本の事故対応には失望させられたと聞かされました。客観的に見ていると、誰も何も決められない、誰がリーダーなのかもわからない・・・とのことでした。

強力なトップダウンがあってこそ、組織は成り立ち、その上でボトムアップを図る・・・随分前に書いたブログを思い出してしまいました。 ※参照 http://ameblo.jp/kanwajuku-zenkyu/entry-10500812512.html

風評被害とイメージが怖い・・・世界が日本産を検閲?

2011-03-27 21:01:10 | 国際
すでに、日本でも○○県のほうれん草は出荷するなとか、牛乳が危ないだとか、農作物を中心に原発事故の影響は出ています。首都圏の水道水も、二転三転しながらも、放射性物質が含まれていることがわかり、乳幼児への制限を発表していましたが、親心からすれば高校・大学生であろうと、子供の体のことは心配になるでしょう。千葉に住む私も、ご多分に漏れず、今朝は近所の大型スーパーに、お一人様、2リットル×2本限定のミネラルウォーターを手にいれるべく、妻と二人で、朝から長蛇の列に並んできました。一家総出で4~5人、つまり、8~10本を手に入れるために並んでいるご家族もいました。冷静に見える日本ですが、事故処理、あるいは被害拡大の真相がわからない中で、先の見えない不安に苛まれている・・・ここ数日は、そんな感覚です。

ふと、中国のサイト(雅虎)を見てみましたが、中国に限らず、欧米、オーストラリア、アジアのあらゆる国が、日本からの輸入作物について、一部検閲を実施しているとの記事がありました。国によって違いますが、対象エリアが、福島県と周辺3県としている国もあれば、周辺5県と設定している国もあります。日本にいると、そのような世界の動きがあまり報道されていないので実感がなかったのですが、考えてみれば、外国、特に中国、ロシア、アメリカ、オーストラリアなど国土の広い国から見ると、日本の福島県で起こった事故は、狭い日本列島の少なくとも本州くらいには影響しているように感じてしまう恐れもあります。

中国の広さについては、別のテーマでも述べたことがありますが、日本の25倍の面積。各省が日本の人口に迫るくらいの規模感です。もし、中国でこのような事故が一つの省で起きた場合、中国人なら、多分、その省全体に放射能の影響があるとイメージするのではないでしょうか?日本人とて、中国のあの省は危険だ!と通達するのではないでしょうか?

日本国内にいると、東京の人には、東北で起きてる事件だと感じる向きもあり、実際、そう信じたいのかも知れません。が、世界から見ると、東北も関東も一緒、下手すると日本列島全体を一纏めにして、危機感を持たれます。このようなイメージ先行の風評被害を防ぐためにも、さらに情報が見えてこなくなった原発事故の進捗、取組を世界に明確に発信する必要があると思います。日本人だけ知らなくても、アメリカは全部知ってるのかも知れませんが、冷静さを促すだけの報道よりも、事故対応のシナリオや計画が一番知りたいと思うのは私だけでしょうか?もちろん、過去に体験したことのない事故だけに、対処療法も含めてあらゆる手を現場で講じていると思いますが、震災の復興を急ぐにも、やはり日本経済を世界の中で没落させないことが重要です。

防護服を着て現場に行くわけでもない私が言うことでもないですね。足元のホットカーペットの電源を切ることから貢献したいと思います。



青春は戻らない!声調もなおらない?

2011-03-25 21:03:37 | 中国語
平日の昼下がりに突然、またもや声調の話で恐縮です。

先週も上海にいたわけですが、最近は、まずは中国に来て、本場の中国語を習うべく、地元の大学の短期コースに入学する社会人も増えています。これからは中国語・・・と言われて久しいですが、以前のブログにも述べましたように、本気で中国市場を相手に販売を仕掛けていくのなら、ある程度の中国語力、フォロー言語としての英語、洒落で使える地元の方言での挨拶くらいは用意したほうがいいと思います。

ただ、中国語の発音について気になることがあります。普通に考えると本場のネイティブに教えてもらうのが一番いいと思いがちですが、地元で勉強し始めた方の発音を聞いてみると、「声調」の間違いが目立ちます。特に多いのが、『三声+二声』の組み合わせ。「女王」「起床」「本来」などが例になりますが、これが、『二声+二声』に聞こえてしまうケースが多いのです。これは、「三声」の語尾が上がってしまうことが原因です。

実際、本場中国のテキストにも、三声の語尾は上がると書いてますし、最近こそ「半三声」と言う概念が説明されるようになりましたが、当のネイティブ講師自体が、「三声」だけを教える時に、つまり一番最初に初心者が習う時に、三声の語尾を上げて教えてしまうのです。これも以前に述べましたが、「一声」の高さが限りなく高い位置にあれば、三声のの語尾が多少上がっても、高低差が出せるので大きな問題にはなりませんが、男性で、元々音域の狭い人にとっては、三声の語尾を上げてしまうと、二声との違いがはっきり出せなくなるのです。

ここで、文章を割いても、うまく説明できないとは思いますが、一声と三声は高低の対称軸にあり、救急車のピーポーです。極端に言えば、三声は、低い低い短い点のような音なのです。現実的には、一文字で「好!」と言う時と、三声+三声が続く時の前の三声が、語尾の上がる三声だと考えたほうがいいでしょう。

こんな話は、最近は参考書にも書いてあるのかも知れませんが、音や耳が大事な中国語、一番最初に教える講師がどこまで概念を理解し、コツをうまく説明できるか・・・実際に、一度変な癖のついた受講生の方の声調はなかなかなおりません。青春も2度と戻らないかも知れませんが、間違った声調も2度と戻らない・・・それくらいの覚悟で、講師の方も意識して欲しいですし、初学者の方も最初が肝心ですので、先に先にと単語やフレーズを習得する前に、三声を中心に声調を極めてください。いや、極めるというほど大そうなものではありません。

「女王」「起床」「本来」がちゃんと発音できれば、まずは没問題です!

日本人の冷静さ!見習うべきか?不可思議か?

2011-03-24 21:05:01 | 中国
昨日、羽田空港に降り立ちました。10日以上も、地震直後の日本のニュースを上海で見ることになったわけですが、日本のテレビ番組では、すでにバラエティも復活。電車の中の女子高生は黄色い声でおしゃべりをし、沈黙の通勤電車は、いつものように押し黙ったサラリーマンを確実に運んでいました。

節電の関係で、銀座はまるで裏びれた繁華街のように真っ暗。電車も本数が減っているとか。ただ、一番影響があるのは、やはり企業の工場でしょう。ある部品メーカーでは、中国からの需要も旺盛で、フル生産したいところが、計画停電とは別に、停電になることも多いようで、まったく生産ができない状態だとか・・・私の会社もそうですが、各企業の経営者、経営陣は、この先の予測が立てずらい原発のその後を気にしながら、それでも事業計画を練り直し、前に進まなければなりません。

中小零細企業が苦しいかと思いきや、逆に多くの人員がいる大企業でも、事態の悪化と方向性によっては命取りになりかねません。中国にいる時に、「これからは、日本の企業はもっとたくさん中国に進出してくる!」と、手ぐすねを引いていたコンサルタントもいましたが、以前にも申し上げた通り、何の準備も、人脈も、資金も、中国で戦えるビジネスモデルもないまま、競争激しい上海に乗り込んできても、恐らく惨敗でしょう。

未だに白い煙が立ち上る原発のニュースは不安ではありますが、日本の未来は、このような事態でも冷静にいられる日本人がいる限り、大丈夫な気もしますが、海外からの見方からすると、あまりにも楽観的にも見えなくはないです。この春先からにわかに勢いを増した「グローバル化」の掛け声。そんな事を、何十年も前から実践している企業ならば、今回の大事件でさえ、一つのリスクとして解決できると思います。が、今が起点の企業では、中国を含めた、世界中のタイトルマッチには予選突破さえおぼつかない可能性があります。

ま、そんな中でも、会社の特色、体力に応じて、中国の地方都市も含めた、市区単位に照準を絞り、局地戦を展開することで活路も見出せる可能性はあります。もちろん、日本人も少なく、不利な条件ばかりですが、それを克服することで、未来が開ける。特に、地方の有力者との人脈は大事です。

言葉で言うのは簡単ですが、中国人の友達を作るのにさえ四苦八苦している私の感覚ですが、やはり、中国語はネイティブと対等に話せるくらいにならないと、その先のビジネスの広がりはないと痛感しています。慌しい日々の中でも、とにかく中国語力を上げる努力を、この後、電車の中でもしてみたいと思います。

洋鬼子は、やっぱり戦争が大好きですね!

2011-03-23 21:07:23 | 国際
日本鬼子と呼ばれたこともあるだけに、このような差別的な表現はどうかと思いますが、今、上海のテレビ番組では、かなりな割合で、リビアへの多国籍軍の侵略攻撃のニュースが流されています。カザフィ大佐を、イラクのフセイン大統領に見立てれば、いつか来た道、どこかで見たようなシナリオです。

よその国の政治体制に首を突っ込み、民主化などと正当化するふりをしながらも、結局は、石油利権や、各国の影響力を競うだけの戦争は、今日も、明日も、来年も、未来永劫続くことでしょう。この映像は、日本でどこまで流れているのか・・・毎日毎日、被災地に流したら、画面を見た人はむなしさを感じるでしょう。

何も、人間自ら人口的に街を破壊しなくても、自然の驚異はむごいまでに故郷も家屋も家庭も大事な人も消し去ってしまうわけですから。このような分析は、かなり身勝手ですが、米英鬼畜と昔の人が言ったのは、けっこう的を得ていると思います。英国は、そもそも海賊の島みたいなもので、そのような国だから余計に、自らを「紳士」などと呼んだりします。その国からさらに流れていったのが、アメリカであり、自由の国は、原住民の制圧、奴隷制度と南北戦争、米ソ冷戦、さらには資源国への侵略戦争と、たかが200年強、戦争の歴史しかありません。

もちろん、心優しいアメリカ人も英国紳士も実際にはいるわけですが、最終的には国のトップはその国の鏡とも言えますので、この極端な指摘は当たっているかも知れません。ふと、わが国のトップを思いだしてみて、アメリカのワンちゃんや、保身に走る大臣もいますが、国会議員選出の時点で、やはり国民の程度がそのまま反映されているのかも知れません。震災や放射能に対して冷静な対応が世界で賞賛されたのかも知れませんが、見方を変えれば、平和ボケ、あるいは危機感の欠如と感じることもなくはないです。

こんな時期に批判的なことを・・・と罵られそうですが、明日から日本に戻ります。海外、中国から見た日本と世界のニュース、日本との温度差がどこまで違うかも少しは理解できるのかも知れません。情報の少ない福島原発のその後ですが、とにかく冷却装置も復活が待たれますが、漏れてしまった放射能については、隠しても仕方ないかも知れません。ま、総理や中枢部の人物の家族が東京に留まっているうちは、ただただ、全力を尽くす現場の方々の成果を信じていきたいところです。

実は、中国の北京あたりでも、普通に放射能の数値を測定するとけっこう高いとの噂をききました。内陸部の砂漠で、核実験も行われてきたわけで、偏西風と黄砂に乗って、ある程度の放射線物質は漂っているかも知れません。そんな爆弾、この先何に使うのでしょうね?今日はなんだか世界全体が歪んで見える夜です。