中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

瀋陽と大連、同じ省でも別の国に来たみたい?

2012-02-28 15:27:44 | 中国
昨日の午後、瀋陽から4時間半ほどかけて、大連駅に着きました。明るいうちに、お取引先を訪れるため、ホテルにチェックインして、風呂に入った後、タクシーで、開発区と言われる日系企業の工場が集積している場所まで移動しました。大連駅周辺と開発区は、タクシーで50分ほどかかり、縄張りが違うためか、運転手はメーターを倒さず、交渉になると、事前にクライアントの方から聞いていたのでよかったですが、初めてだと戸惑ったかも知れません。が、何よりもほっとしたのが、その運転手の話す中国語が、年配のおじさんにも関わらず、かなり標準に近く、言い方が悪いですが、瀋陽の家庭体験の苦労があっただけに、オアシスに思えました。おかげで、助手席に乗ったまま、50分ほどの間、中国語で会話をしていました。

瀋陽で、九・一八記念館を訪ねたこと、名古屋市長の話などになりましたが、ここ大連の方々の日本人に対する好感度は高いのかな?と思えるような発言が多く、必然的に話は弾みました。実際、お邪魔した企業でお聞きしても、大連の若者には、日本語学習熱も非常に高いようで、社内の公用語は日本語とのこと。日系企業にとっては、非常に働きやすい場所なのかも知れません。実際に、そう聞いてはいましたが、わずか1泊2日の滞在でしたが、安心感というか、安定感というか、不思議に落ち着いて過ごせた気がします。

さらに、街並みも、上海の浦東のように近代的なビルが乱立している様子でもなく、欧風の建物もあり、少し日本人的な整然なつくりの街です。夜ともなれば、海産物も想像通り新鮮で美味しく、過去にお邪魔した(と言ってもまだまだ一部ですが)中国の都市の中でも、もっとも洗練された都市ではないかと思います。

以前から、中国人とのコミュニケーションや異文化研修等の大括りに警笛を鳴らし、少なくとも省ごとに分析すべきと言っていましたが、おっとどっこい、同じ省でも別の国ですね。もちろん、歴史的な背景や政治的圧力、国の政策等で影響される部分もありますが、瀋陽と大連は別の国に思えました。ま、考えて見れば、狭い日本の中でも、東京、大阪、名古屋と全然違いますし、名古屋と言っても、尾張と三河も違うわけですから、4時間以上も移動すれば、それぞれの土地にそれぞれの特色があるのは、当たり前でしょう。

ふと、東京マラソンの川内選手が給水ができなかった・・・とのニュースを見て、寒気がしました。おぞましい人間と言うのは、どこの世界にもいるもので、大体はくだらないメンツが巻き起こす陰謀だったりします。証拠もないのに断言するのは変ですが、ここ中国で起こることと同じように、日本でも次元の低い陰謀や隠匿、ごまかしは常に起こってるとあらためて思います。最大の隠匿は福島の事故や、その後の汚染状況ですが、やっぱり世界はミスチルの歌の通り、♪何が起きても変じゃない、そんな時代に僕らは生きてる♪のかも知れません。

ホームステイ体験で思い知った言葉の壁、文化の壁。

2012-02-27 12:35:33 | 中国
土曜日からの2泊3日の瀋陽、一般家庭ホームステイ体験が終わりました。現在は、瀋陽から大連に向かう汽車の硬座(一般車両)に乗っています。昨年秋にも、飛行機に乗り損ねて、北京から山西太原まで硬座に乗り、足の臭いおじさんとやり取りをしましたが、今回はネット環境も用意してきたので、いざ、仕事!とパソコンを開けたら、隣のにいちゃんが延々と話しかけてきて、なかなか仕事にならない・・・と言った中で、先ほどいくつか仕事をメールで片付けました。

今般のホームステイは、さすがに気疲れしました。遠い昔、19歳の頃にアメリカにホームステイした時も、やはり気疲れしましたが、元来、人見知りするタイプの性格にはホームステイは合っていないのかも知れません。さらに今般は、何よりも言葉の壁が辛かったです。一日目は酒と歌で乗り切ったものの、二日目の年配のご両親との観光ツアーの頃には、中国語を聞き取る気力も、話す努力もしなくなってしまいました。シチュエーションだけ想像して、適当に相槌を打つものの、そのうち無口になり、何となく飼い主について行く犬のような気分になりました。そんなこととは関係なく、年配のご両親は、どうやら自らも観光地への道順を知らない様子でしたが、必死で人に聞いたりして、私を予定通りの場所に連れていってくれました。

何かと予定通りに動かないと気がすまない私からすると、一体、いつどこへ行くのかも最初は知らされないこと自体が不安でした。予定がずれたのか、昼ごはんをとらずに観光を続け、夕方の4時にランチとして?「小肥羊」の火鍋を食べたので、家に帰るとあとは寝るだけかと思いきや、また夕食も用意してくれました。広く綺麗な部屋ですが、バスタブ、シャワーは見当たらず、洗面所で洗髪、体を拭いたり、足を洗っているようで、慣れない私は結局、二晩風呂に入りませんでした。彼らのご子息が日本にいますが、一度も行ったことがないとのこと。文化の違いを痛感しました。

今朝は、予定の汽車に乗らないと、お仕事の用事に間に合わないため、一人朝から焦っていました。東京駅に似た奉天(瀋陽駅)まで行くのに、バスで40分とのことでしたが、朝のラッシュはもっとかかると読んで、目の前のタクシーに乗ろうとしたら、遠回りされるからやめろ!と言われ、お二方も一緒にバスで駅まで送ってくれました。案の定、道は大渋滞でしたが、1時間後に駅に到着。列車に乗り込む最後まで見送ってくれたご両親に感謝です。

でも、私の心のどこかで、「そんなことなら自分で計画して、早めに一人で動いたのに・・・」と言う恨み節も聞こえてきます。思い通りにならないこと、思いのままに与えてくれる優しさ、これもまたコミュニケーションの矛盾だと感じました。いや、人見知りな私の度量が狭いだけかも知れませんね。

初めての瀋陽で、初めてのホームステイ体験。

2012-02-26 18:49:08 | 中国
昨日土曜日に北京を立ち、週末を利用して瀋陽に来ています。東北三省には一度も足を踏み入れたことがなかったので、今般は、遼寧省の大連にクライアントを訪ねるついでに、瀋陽にやってきました。が、今回は、ある瀋陽出身の中国人の計らいで、その自宅に泊めてもらえることになりました。ちょっと、不安でしたが、こんないい経験はめったにできないと思い、お願いしましたが、何と、当の本人が瀋陽に戻れなくなり、ご両親しかいない家に泊まることになったのです。さらに、現地の知人夫婦まで紹介いただき、彼ら二人が空港に迎えにきてくれて、そのまま、ご両親の待つ自宅へと向かいました。

家につくなり、今度はお父さんの弟まで部屋に来て歓迎の挨拶。が、問題は、彼らの話す中国語がほとんど理解できないことでした。いわゆる東北なまりと言うのでしょうか、普通話を話しているようにも聞こえますが、まったく聞き取れません。自分が話す言葉も、一度では伝わらず、すっかり自信をなくしてしまいました。知人夫婦の奥様のほうが、普通話が綺麗なので、結局、同じ話を、何人かでリレーしてもらい意思疎通することになりました。私の中国語のレベルが低いからとは思いますが、遼寧省のどこが標準に近いのかとは思いました。

さっそく夕食が始まりましたが、今度はもう一人、やっぱり言葉がうまく通じない男性が増えていて、聞くとお父さんの友達とのこと。総勢7名の東北家庭料理による宴会は、白酒を煽ることで火ぶたが切って落とされました。奥様の作る料理はプロ並みで、酒も進むうちに、理解できるできないに関係なく、一方的にしゃべることにして、うまく話題がヒットすると場は盛り上がりました。最後には、お父さんの弟が、カラオケにいくよ!と言いだして、これまた中国式のカラオケボックスに家族全員で行き、ここでは、水を得た魚のように周傑倫の歌を歌いました。

今日は、ご両親が観光に連れ出してくれて、依然言葉は通じないままで、瀋陽の故宮、張学良の博物館に行きました。最後は、また知人夫婦も合流して、九・一八記念館に行きました。南京大虐殺の記念館と比べると、その表現は軽く感じましたが、子供の頃に、あの記念館(無料)に来れば、そりゃ、日本人に対する嫌悪感は増幅するでしょう。もちろん、一緒にいた中国人全員は、過去の話だからと言ってくれましたが、全員が、名古屋市長の南京事件についての発言を知っていました。1958年生まれのお父様とは、それ以上この件は触れないことにしましたが、江沢民の名前入りの記念館、1931年の出来事を近世になって政権維持のために蒸し返したように感じます。広島の原爆記念館にも皆行ってみればいいと思いますが、戦争と友好は矛盾します。が、最後は、現代に生きる人たちの努力次第ですし、中国の指導者にも、関係改善に努力してきた人も少なくありません。

あっと言う間に最後の夜ですが、やっとパソコンに向かうことができました。こんな貴重なホームステイ体験を無駄にしないよう、ちょっと、脳みそは疲れましたが、明日からまた頑張りたいと思います。

世界でも稀な、日本人の几帳面さを考える・・・

2012-02-24 11:22:44 | 国際
宋文洲氏のメルマガが定期的に送られてきます。彼は中国人ですが、日本人的な発想の中で日本人の問題点を鋭く指摘していると感じることが多いです。今回のメルマガは、日本人の几帳面、細かすぎるサービスについての指摘でした。アメリカのレンタカー会社のアバウトなサービスなどを引き合いに出していましたが、この数年間で、ニューヨークや、ジャカルタ、シンガポールなど中国以外の国にも行ってみて思うのは、日本ほど細かいことを気にして生きている人種は世界にいない!と言うことです。

中国人やアメリカ人を異質なものと考えて、異文化研修などしている事例もあるようですが、そもそも世界において日本ほど異質な国はありません。かく言う私も、昨日から北京に来ておりますが、空港でも列は割り込む、ゴミは放ったらかし、マスクエチケットどころか、あきらかに風邪引いてるのに、眼前でハクション!・・・あり得ないと感じることは多く、昨日はストレス絶頂で、こっちが駅のホームで奇声を上げてしまいました。

が、よく考えると、世界の人は一般的には、本能に忠実に生きているのだと思います。ドイツ人は知りませんが、中国、アメリカ、アジア、きっとアフリカや南米も、人類は本能に近いところで生きている・・・中国人の差不多(=よく似たもん)や、アメリカ人のエンジョイに見るように、いちいち細かいことを気にしていきていないのかも知れません。日本人だけが、理性と言うか、規律と言うか、自らにタガをはめて生きている・・・そんな気がします。

枝葉末節なことに敏感な人も社会人には多いです。コンプライアンスなる言葉だけが独り歩きしている気もしますが、いざ原発事故や自らの保身に走りだすと、急にいい加減なことを言いだすくせに、日頃からチミチミと細かいことを唱える・・・特に「組織」に入ると余計にそれが顕著になります。一人のクレームによってすべてが変わることもありますし、本来人材が不足しているサービス業、特に飲食などでは、少しでも料理の出が遅いと一大事になりますが、従業員もたまったものではなく、日本は息苦しいと感じることは多いです。

逆に、中国では、「まだ来ないぞ!」と先日も三回言って、ようやくビール1本が運ばれてきたりするわけで、超日本人的な私には耐えがたいものがありますが、出張ではなく住みつけば、いつか慣れるのかも知れません。どちらがいい、悪いという問題でもないですが、この異常な人種が生み出す緻密な製品やサービスが、世界で重宝されることもあるわけで、「made in Japan」がもてはやされた事実は忘れてはいけません。グローバルスタンダードなる亡霊に惑わされず、ひたすら緻密に細かく仕事をしていくことは、それはそれで重要だとも思います。人生と仕事、どことなく日本人は直結しているように感じますが、私のような古い世代はやっぱりそれでいいと思ってしまいます。頑張った分だけご褒美がある・・・ま、そんな言葉で、まとまりのない話を終わりにしてみます。

政権交代を前に、調整が続く中国の沈黙。

2012-02-22 22:49:05 | 中国
政権交代と言っても、自民党が民主党に代わるような、政党の交代ではありませんが、現政権から、習近平氏を国家主席とする新たな政治体制がこの秋には生まれようとしています。懸案の首相も、どうやら李克強氏で固まりそうな情勢ですが、中国の熾烈な権力争いは土壇場まで何が起きるかわかりません。それでも、少なくとも、十四億の民を食べさせるために政権は存在していて、一歩間違えば国が荒れる可能性は常に秘めていて、中国の政権運営はまさに綱渡りな経営にも似ています。

ランチをご一緒した日系企業の中国人社員に言わせれば、「政権は誰でもいい。とにかく国を運営してくれ!」との思いがあるようで、さらに「この先20年くらいは今の政権が安泰でしょう。」との推測をしておりました。半ば、期待をこめた言い方に聞こえましたが、中国の現在の政権のトップは、実際に本物のエリートしかなれず、下っ端が汚職などに励んでいるものの、経営ボードに当たる数名はキレ者ぞろいです。日本の政権は、もっとも優秀なはずの官僚の上に、芸人の上司が議員として来てしまうこともあるわけで、同じ権力争いをするにしても、次元が違い過ぎます。ミッションは一つ、国の経営です。

そんな日本のニュースでは、河村名古屋市長が、南京大虐殺はない!と豪語し、ネット上では拍手喝采を浴びているようですが、南京虐殺の記念館にも足を運んだ私の感覚としては、戦争に虐殺、強姦、強奪が当たり前に起こるわけで、虐殺はない!と言うと嘘になります。が、20万人に満たない人口の街で、わずか数カ月で30万人を殺すことは不可能なわけで、記念館の犠牲者とされる名前も、よくぞ30万人分も作ったなあ~と言うのが正直な感想です。いずれにしても、戦争は憎しみを生まないわけがありませんが、歴史は真実を語らず、勝てば官軍、負ければ賊軍で、事実はその時の情勢によって捻じ曲げられることもある・・・ただ、それだけのことです。

30万人かゼロかの議論に何の意味もありません。日本人としては、広島、長崎に、原子爆弾なる決して使われるべきではない兵器を、実験的に使われて失われた数十万の命、東京大空襲だって数十万人単位で、一般市民が殺されているわけで、アメリカには物を言えず、中国からの言いがかりに噛みつく・・・空しいですね。

今回は、中国側が南京問題を問題とせず、との態度をとっているようですが、政権の移行に向けては、波風はできれば立てなくないと言うのが本音でしょう。つまり、江沢民系・太子党と、共産主義青年団系の権力闘争が、一応結論を見たと見ることもできます。経済の減速についても、交代時期までは静観しているようにも思えますし、きっと何かが起こると私も心配する2012年を、できれば何も起こらないでやり過ごそうとするかのように、ここ上海の街にも、微妙な静寂が訪れている・・・そんな風に思えてなりません。