中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

いい加減に気付くべき!日中逆転の現実。

2012-03-29 22:04:01 | 中国
3月3日に中国から帰国して、あっという間に一ヶ月が過ぎようとしています。毎日、地の底からゴォ~と唸るような喧騒の街「上海」と比べると、東京は、時より襲ってくる地震の不安を除いては、まるで何事もないように毎日が過ぎていきます。ニュースと言っても、乗っ取られた民主党の出来レースな政策決定やら、後出しジャンケンの汚染水やら、神経麻痺させたくなるような茶番ばかり。

先週はシンガポールにいましたが、東京以上に洗練された国際都市のパワーを痛感しました。華僑だけではなく、中国大陸からの中国人が、シンガポールに限らず、アジア各地、いや、世界各地に進出していますが、中国は清朝の衰退以来、200年ぶりに世界の中心に返り咲こうとしています。

実際に、その儲け方は別にして、中国人のお金持ちは桁が違いますし、世界でもトップクラスの優秀な学生や研究者も群を抜いています。秋葉原や並の寿司屋など眼中にない人も多く、日本企業も、合弁先のトップや役人を日本に招いたりした時には、接待の次元を見直さなければ失礼になる!そんな時代になっています。高ければいいと言うわけではないですが、「ここでしか食えないもの」下手したら「私しか味わえないもの」など、一晩の食事に50万円使っても痛くも痒くもないレベルのトップも普通にいます。

もちろん、中には褒められたもんではない錬金術(アメリカ人も同じですが)で巨万の富を得た成金もいますが、中国は政府が世界の営業マン、役人のトップはバリバリ資本主義の敏腕経営者だったりします。上から目線で中国を見ている人は今だに多いですが、日本の大企業とは言え、規模、資金力の面に限らず、トップの資質においては人材も足元には及ばない、そのようなグローバル企業が中国で林立しています。

もちろん、時代が四半世紀も過ぎれば、今の中国の80后後半から90后の世代が中核になるわけで、ウルトラ高齢化社会も含めて、その繁栄も怪しいとは思いますが、現時点では、政治のトップ、官僚のトップ、大企業のトップ、研究者のトップまで、日本は中国に到底かなわないほど水をあけられているのが現実。好き嫌いは別にして、このことを認識してこそ、逆襲の手や、防御策が編み出されるはずです。

無防備に中国、あるいはアジア諸国に出かけて行っても、相手の強さや政府の壁を理解しないと返り討ちに合います。これからは海外へ!とグローバル企業を目指す動きに水を指すようですが、足元の日本市場であらためて実力を養う、そのような一見消極的な戦略もあっていいのかも知れません。私ごとですが、2012年、自ら掲げたアルマジロ戦略に、今一度、私も立ち戻りたいと思います。

映画の世界が現実に?再認識すべき大惨事。

2012-03-27 23:16:22 | 私事
今朝は立川から青梅線に乗り、拝島に行ってまいりました。地元千葉の稲毛と比べ花粉の量が多いのか、海外帰りで無防備な目と鼻はぐちゃぐちゃになりましたが、民家の遠く向こうに見える富士山を見て少し穏やかな気分にはなります。まだまだ世界の一部しか行ってませんが、山、川、海、こんな綺麗な自然は日本の誇りです。

今更ながら、ストロンチウム海洋流出のニュースを小出しにしていますが、事故直後から測定しません!と中国もびっくりするような隠匿を宣言して、汚染水を流し続けているのに、マスコミはおろか、民衆の意識の中にも危機感が薄いように感じます。後の祭りとはこのことか、確かに、ここで私ごときが叫んでも、政府だって、東電だって、フランスだって解決のしようもない前列なき大惨事が日本で起こってしまったわけです。

大地震と言う自然災害とは別に、この事故はなんら解決していないのに、復興だ、風評被害だと言って、事故現場海域の海産物や、数値の高いエリアの米を食べて、助け合いなどと綺麗事が踊ります。使えるお金があるならば、事態の把握、決断をした上で、口に入るものの生産、水揚げ、販売を停止、その休業補償をすべきでしょう。

「海は広いな、大きいな~」と言う歌がありました。極論ですが、いつの日か、日本だけが汚染の影響を軽減するためだけなら、すべての放射性物質、施設諸共を海に流すしかありません。何万倍もの危険がある物質もいつか何万倍に薄まる可能性もあるでしょう。そう、いつか!です。現在の状況はあきらかに原子炉の底が抜け、地下にだだ漏れ、地下水の行方は知らず、海洋汚染だけではなく、土壌汚染も進行しながら、日本と言う美しい国土は、半永久的に放射能汚染と向き合いながら生きていくことになるでしょう。今日もM6以上の地震が発生、4号機だってどうなることやら、この状況に収束などは論外として、大惨事が継続していることを認識すべきでしょう。

実際、近隣も含めて世界中からは、汚染水の海洋流出に対して多額の損害賠償が突きつけられるわけで、消費税増税を慌てているのも、内輪の私腹を肥やす話だけではなさそうです。国の運営が崩壊すれば、とりあえず国を司る政治家も官僚も本来は失脚です。それを避ける、いや、先延ばしにするために、国民(税金を払う側)から消費税などで搾取、来るべき他国の追求に当てるのかも知れませんね。あくまで推測にすぎませんが、そんなこととは別に、瓦礫を全国に散らばらせるような利権丸出し、汚染拡大の政策は着々と実行されています。

宇宙戦艦ヤマトはイスカンダルへ放射能除去装置を探しに行きました。様々な映画でも地球滅亡の日が描かれてきました。氷河期説、隕石説、宇宙人侵略説などありますが、どうやら現実味が最もあるのが、核、放射能による地球の滅亡のようです。せめて我が子の代までは、瑠璃色の地球でありたいですね。

外人って誰?シンガポールの無国籍感覚。

2012-03-22 18:41:45 | 国際
月曜日夜に到着して、金曜早朝には出発、実質3日間のシンガポール出張も終わりに近づいてきました。毎日、夕方の4時~5時には、決まって雷雲が広がり、稲妻と雷鳴、スコールが近代的な街を覆います。日中は、シンガポール大学やその関係機関、あるいは街中の語学学校を訪問しました。ふと、わが息子(次男・17歳)も、日本で燻ってるくらいなら、シンガポールに来て、この街で成長し、語学や国際感覚を養ってもらいたいもんだ!と思いましたが、親の仕事内容とは縁遠く、海外に憧れも興味も、さらに危機感もないまま「普通に」暮らしています。

二日目の夜は、こちらの大手金融機関で活躍する日本人のビジネスウーマンの方とお食事をしました。個人的な留学経験も含めてシンガポールで20年以上、素人同然の私に、シンガポールの事情についてご教授いただきました。参入障壁は低いものがあるようですが、家賃含めた物価は高く、単純に進出してきても、確固たるビジネスモデル、資金、人材等がいないと成功は容易くないとのこと。実際、私も数日過ごしてみて、物価は日本よりも高い感じがします。別に日本人ばかりいるような特別な場所にはいなくても、ちょっとした食事や移動など、けっこうかかります。その方からは政府の方向性などの情報もいただき有意義な夜となりました。

三日目の夜は、リクルート時代の後輩の紹介で、シンガポリアンの青年実業家を紹介いただいたので、JUNBOと言うシーフードレストランでご一緒しました。30代と私より全然若く、IT系の会社を興したとのこと。フィアンセも同席していましたが、彼女は彼女でもう10年近く、人材派遣関係の会社を自分で経営していて、オフィスの相場など、この先役に立つと思われる情報をいただきました。食後には、彼の車(アウディのオープンカー)で、シンガポールの夜風をうけながら、遅い時間まで明りのついたビル群を通り抜け、ホテルまで送ってもらいました。

お二方はもちろん英語も堪能ですが、私のまだましな中国語に合わせていただき、延々中国語で会話が続きました。遠い祖先は中国人とのことですが、この国では、あなたは何人だとか、どれが公用語だとか言うよりも、ビジネスにおいてしかるべきパートナーと組み、コミュニケーションにおいて必要とされる言語で会話をする、臨機応変とはこのことだと思いました。英語はもとより、私の中国語もまだまだレベルが低いので、もっと語学力を高めないと、知人、友人の域には達しても、突っ込んだビジネスの展開は難しいとあらためて思った次第です。

日本人がイメージする外国人(外人)は欧米人を連想することが多いですが、この国では「外国人は多いですか?」と聞けば、「外国人って何人のことを指しますか?観光客のことですか?」と言われるでしょう。以前にも申し上げましたが、グローバル人材育成なる研修以前に、この街の空気を感じることができれば、さらに、この街の発展ぶりを見て日本の危機感も感じていただけるなら、そこから世界への旅立ちは始まると思います。

洗練された国際都市、シンガポールの存在感。

2012-03-20 19:52:16 | 国際
私の同僚の中国人は20年前に上海から日本にやってきました。その頃の日本は憧れの的で、日本の位置づけはアジアのドラゴン(龍)と呼ばれていたようです。実際、清朝末期以降は、良くも悪くもアジアを引っ張ったのは日本であり、占領、併合などはありましたが、少なくとも欧米列強のアジア植民地支配から脱却するための一矢を放ったとも言えます。敗戦とともに、その歴史は単純に占領、侵略、軍国主義と負の側面しか伝えられてませんが、敗戦後もアメリカの掌の中とは言え、世界がうらやむ経済発展をとげたことは紛れもない事実です。

その頃、四小龍(四つの小さな龍)と呼ばれていたのが、香港、台湾、韓国、そしてシンガポールです。今やアジアの金融、経済の中心と言えば、上海を思い浮かべるのが普通ですが、20年前は浦東開発が始まったばかりで、日本に次ぐアジアの龍はこの四つの国(エリア)と言われていたわけです。今や、中国の発展とともに、香港は対岸の広州も含めた広東省の巨大経済圏に、台湾も経済面では福建省を含めた両岸経済圏に組み込まれてはいますが、本土の発展の恩恵も最大限に謳歌しているように思えます。韓国は通貨危機以降、政府と財閥一体となった戦略で世界の舞台にのし上がりました。ま、強いて批判すると、富士山や寿司など、日本を彷彿させるような広告手法や看板で、欧米に進出するのはやめていただきたいですが。

そしてシンガポール。日本どころではない面積わずかな都市国家。そこには世界の縮図が反映されているように感じます。昨年の訪問は、ジャカルタの帰り道、多少、物見遊山な側面もありましたが、今回は、シンガポールに明確な目的を持ってきています。同じ便には、日本の私立中学の修学旅行生が乗っていたので、空港で何人かの男の子に「英語は勉強してきたの?」と聞いてみました。「全然できないよ~」とは言っていましたが、日本語もろくにできないうちから英語を学ぶせるより、このシンガポールの環境に触れることで、帰国後に、英語を自ら学んでみたくなる子供は少なくないことでしょう。感のいい子なら中国語にも興味を持つかも知れません。

シンガポールは、単なる自由の国ではなく、政府という社長が国の経営を遂行している国家です。外国人労働者にも厳しい制限をつける反面、外資の受け入れにも比較的寛容、シンガポールの市場と言うよりは、シンガポールをハブにして、中国、東南アジア、インドも含めたアジア全体、さらには欧米へ進出する要となります。また、中国語だけでも生活に困らず、実際に華人も多く、まるで中国にいるようですが、ゴミは落とさない、クラクションは鳴らない、信号は守る、道は譲るなど、かっての日本の良さも兼ね備えた洗練された都市でもあります。

過去にそうだったように、中国が巨龍として復活したとするならば、シンガポールは鋭龍とでも呼びましょうか?アジアにとどまらず、世界経済の発展と調整の鍵を握っている~Keen Dragon~と言ったところでしょうか。

ネット戦略の世界で、価値を失くすもの、価値が強まるもの!

2012-03-16 18:29:24 | ビジネス
ふと道を歩きながら、パソコン教室の看板を見ました。同時に手元のi-Phoneを見つめて、そのうちなくなるものの一つにパソコンがあるなあ~とおぼろげに思いました。当然、ビジネス需要も含めて、打ち込み、入力、管理のツールとしてなくなるわけではないとは思いますが、少なくとも一般人が習ってまで利用するものではなくなるだろうと。最近は名刺にファックス番号を書くのも無意味だなと思いますし、街角の公衆電話も風前の灯です。

考えてみれば、インターネットの普及により、限りなくタダに近づいたのが情報の値段であり、YouTubeなどの出現で、歌手や映画の著作権もくそもなくなりかねない状況。表面上は、世界のあらゆる情報が、掌の上の端末で瞬時に無料で手に入ってしまう。便利になった分、情報提供の価値で収入を得ていた人の多くは消えゆく運命になりつつあります。私に関係するところでは、英会話(中国語も含む)の自主学習のための通信教育などは、何万円も出さなくても、無料から高くても800円くらいでアプリとして手に入り、いずれは、そのアプリを提供する独占的な企業のビジネスモデルに組み込まれ、限りなくタダになるのではないかと思います。

もちろん、中学までの義務教育も含めて、素地のある英語の自主学習と比べて、中国語の初心者の独学は、発音・声調において、個人差が大きくなる危険性はあります。が、正しい音が身に付いたならば、自分で単語量を増やし、日本にいながらでもヒアリングを強化することは、適切なアプリをチョイスできれば実現します。ネット、スマートフォン、テレビ電話などの普及で、こと語学教育サービスにおいては、ただ講師やテキストを提供するだけではお金にならない時代がくると言うことです。

私は講師の方に次のように話します。「貴方がリアルでレッスンをしてお金がもらえる価値は、まずは初心者の発音・声調の習得において、コツを伝授し、より短期間で独学の準備を完成させること。もう一つは、学習経験者、特に中上級者の方が自主学習をする上で、壁にぶち当たった時に適切に指導してあげることです。」と・・・企業研修において、リアルの講師はなぜ必要か、逆に言えば、その価値が提供できないなら、報酬をもらうことなどできなくなるわけです。実践を積むなら、中国現地の放りこめばいいかと言うと、必ずしもそうではなないですが、日本国内で、リアルの講師がやるべきことは限定されていくでしょう。

アメリカ、特にユダヤ人が描く世界戦略に、私ごときは何一つ逆らえないわけですから、この先、何が価値を亡くし、何が生き残るのか?長年続いた英会話教室の崩壊、ネットラーニング、教材の無料化、このような激流の中で、本当に価値のある「人材」を発掘し、学ぶ「技術」を提供していく時代がやって来たわけです。語学学習市場は、ほんの一例。同じようにドラスティックにビジネスモデルが変化する事例をこの先いくつも見届けていくことになるのでしょう。