中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

優秀な中国人は、組織でも実力を発揮する!

2012-04-29 23:47:04 | 中国
中国人は起業家が多いと言うのは誰しも聞いたことがあると思います。起業家と言うと、組織に属さない人間で、今までにない新しいことを創造し、上場などで巨万の富を得るみたいなイメージがあるかも知れません。実際に、現在の大手企業でも、松下幸之助氏、盛田氏と井深氏、本田宗一郎氏も創業時は皆ベンチャーで、私の所属したリクルートの江副氏も起業家の一人、新しいところでは、ホリエモンや楽天の三木谷氏もそうでしょう。

ただ、人ごみで「社長!」と叫ぶと何人もが振り返る!と言う冗談があるくらい、世間には私も含めて、自分で会社を経営している人間が星の数ほどいるのも事実で、日本が中国よりも起業家が少ないとは思いません。が、日本の扱いとしては、自分で会社をしている人は「自営業」と言う括りになり、パパママストアの流れで呼ばれてきたのも事実。ITブームで起業家が持て囃されましたが、どこか怪しい?と思われているのではないでしょうか?そもそもベンチャー企業と言う名前自体、「私は別に冒険をしていません!」と反論したことがありますが、大企業がまるで昔からあったかのような論調もいただけません。

が、実際会社を起こすことと、企業に育てることの差は大きく、上場できる会社はほんの一握り。大きな組織をマネジメントすることは、小回りの利くベンチャーとは違い、並大抵の努力ではありません。また、企業が大きくなると動きが鈍くなる会社もありますが、大きな組織では、社長以下のメンバーの重要性も増し、大企業ならではの大きな仕事をまかされ、それを貫徹することことも、優秀な人にとってはこの上ない喜びでしょう。

今日は、銀座、上海に店を持つ中華料理店の中国人女性総経理とお食事をしましたが、彼女の会社の母体は日本でも多くの店舗を持つ飲食チェーン企業。その中のいくつかのお店を任されている彼女に対して、「自分で起業はしないんですか?」と幼稚な質問をしてしまいました。「自分でやるのは大変だし、実際、責任も権限もあるので、本当にやりたいことは今のままのほうができますよ!」とおっしゃってました。

中国人の起業家も、よく見れば、パパママストア、あるいはアムウェイのようなネットワークビジネスの主宰に過ぎなかったりしますし、起業をした人のほんの一握りが上場するに至りますが、起業しなくても、大企業でさらに大きなスケールの仕事を動かす人もいるわけです。起業家の端くれの私なんぞより、はるかに輝いた目をしていた中国人女性にお会いして、中国人は起業家が多いなどと安易に言ってはならないとあらためて思いました。

上海で二日目の夜。一滴のアルコールもなしに、有意義な会話ができたことにホッとしていますが、組織を動かす力が最も必要なはずの自分自身の能力のなさを痛感するばかりです。いい刺激になりました。

視界を広げるには、教育と経験が必要ですね。

2012-04-29 14:26:14 | 中国
今朝もホテルの近くの公園をジョギングしました。雨上がりの日曜日は、労働節三連休の初日とあって、いつもに増して多くの人が集まっていました。70歳以上と思われる方が多く、若い人を足しても平均年齢は60歳は超えてるでしょうか?太極拳を凌ぐモダンダンスのおばさん達、今日のBGMは洋楽のロックになっていました。

このような公園をスローペースでジョギングをしていますと、これは中国の街中でも感じることですが、彼らが正面から来るならまだしも、斜め向かい、あるいは横から現れた時、ほとんどの人が私の存在を意識していません。人間の視界というのは、何となく90度くらいあるように思いますが、彼らの場合は、45度か、下手すると30度くらいではないかと思うほど、わが道をそのまま進んできます。当然、ぶつかりそうになるのを避けるため私が停まったり、よけたりすることになります。車で言えば、どう考えても私が先に交差点に入っているのに、横から突っ込んでくるみたいな?うまく表現できませんが、気を発しているほうが勝ち!それが暗黙の掟のようです。

以前に、中国語で気を遣うと言う言葉が見つからないと書いたことがありますが、これだけの人口、しかも様々な価値観や次元の人が一緒にいると、いちいち他人を気にしていては生きていけないのでしょう。ジョギングルートにもなっている通路の脇で、ダンスを繰り返すおばさんの団体は、音楽に乗って後ろにステップする際、通路を歩く人のことなどおかまいなしにバックしてきます。確かに後ろに目がついていませんからね。

ふと、日本で90度どころか、車の右折時にバックミラーを見て、後続の車が何台あり、この右折矢印信号で何台曲がれるか?などと後ろを気にして運転をしている自分に気付きました。日本ではよく、前から来た人と譲り合って、どちらも同じ方向に避けて右往左往している光景を見かけます。無駄な動きのように見えますが、どちらかと言うと他人が主役になってるからこそ起きる現象です。

中国の豊かさは紆余曲折ありながら、この10年くらいで得たもの。文革を過ごした世代には、かりそめの一瞬なのかも知れません。誰でも自分が中心ではありますが、様々な人間関係を通じて、他人のことを思いやる気持ちを持つようになるには、教育と経験が必要です。これは、世界の中の中国にも言えることで、13億の大国が、米国の一部の人みたいに自己中になっては世界が滅びます。英米人に見られる選民思想と中国人の中華思想、世界はユダヤ人と華人の争いだとは以前に述べましたが、気遣いや謙虚さにおいて、先を競ってもらいたいです。

視界の話を偉そうにしてみましたが、最近はスマホ片手に、視界が0になっているにも関わらず、「私だけは周りが見えてます」的な態度で、駅構内を歩く私がいることも思い出しました。正すべきはわが身ですね。

今更ですが、中国エリアスタディと世代分析の必要性!

2012-04-29 01:09:02 | 中国
4年ほど前からでしょうか、漢和塾では「中国のエリアスタディと世代分析」をテーマにしたセミナーを企業研修として実施してきました。中国人を知ろう!中国人とのコミュニケーション!なる異文化セミナー流行りのご時世ですが、どんなに優秀な講師の方でも、移り変わりの早い中国の今を語ることはできませんし、現地に10年いたから中国がわかるかと言うと、それはその人が見た中国、その人がいた中国、もっと言えば、たまたまその人が付き合ったことのある中国や中国人の情報でしかありません。面白おかしく中国と日本の違いを話すだけで、軽く本になったり笑いを取れますが、それぞれの企業が中国のどこの、誰と、どのようにビジネスを進めていきたいか?そのための基本的な情報収集も成されないまま、とりあえず上海へ!みたいな進出も後を絶ちません。

空港で見かけた日経ビジネスには、「徹底予測!中国ビジネス2012年」なる特集号が並んでいたので購入しましたが、政治の方向性の予測や、経済の可能性、日本企業の苦戦の原因、中国人と組んで世界へ出ると言った内容で、すでにこのブログでも発信してきた情報を網羅してくれてはいます。もちろん、企業の中でも感性が高く、現場に強く、権限とスピードのある方なら、その先の対策もすでに打っているとは思いますが、私が日本で200社、中国でも50社くらい、1年間に訪問させていただいている企業の中には、本社の経営陣や現地赴任者が中国の基本的なデータや感覚が不足しているケースも決して少なくはありません。

そもそも、中国は一つではありません。エリアスタディと聞くと地理の勉強のようですが、ヨーロッパの国々がすっぽり入るほどの規模、また歴史的に多様性満載の国を、一つに括ることは到底無理な話です。中国ビジネスどころか、上海ビジネス、遼寧省ビジネス、内モンゴルビジネスであり、さらに細かく分ければ、遼寧省でも大連と瀋陽が別の国、上海でも浦西と浦東でやり方が違ってくるかも知れません。中国進出と言って、北京、上海、大連にお店を出そうものなら、それが無名なブランドだとすると、いきなり欧州制覇だと言って、ローマ、パリ、ヘルシンキに一店舗ずつ出すベンチャー企業みたいなものではないでしょうか?最低でも、一つの省で一つの国と考えるべきだと思います。それに加えて、世代による生き方、考え方の差も尋常ではありません。セミナーでは文化大革命の影響に言及してきましたが、文革世代より下の親を持つ90年代生まれも市場に参加してきます。それでも、過去の強烈な感覚を引きずった消費者も圧倒的に多いわけで、貴社は、どこの中国人、いつの中国人、さらにどの階級の中国人を相手にビジネスをするのか、原点には何度でも立ち戻ってみるのも大事だと思います。

最近は私も含めて担当講師が多忙を極めておりますが、機会を見つけて私どもと一緒に「中国のエリアスタディと世代分析」を体感してみませんか?セミナーの最後には「自己紹介の中国語講座」もあり、赴任者だけではなく、本社の社長、役員、管理職にも是非身につけていただきたいスキルです。