中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

今日の一冊! 『中国市場戦略』~グローバル企業に学ぶ成功の鍵~

2011-11-27 00:21:53 | 中国
5週間ぶりに中国は上海にやってきました。土曜日だからか、喧騒と混沌のイメージのある街ですが、最近は、電車内の静けさ、無言で家路を急ぐ人の群れなど、東京と変わらない雰囲気にもよく遭遇します。かなりの大企業でも、「これからは中国」と言う掛け声のもと、中国への意識が高まったと言う会社も見かけますが、上海はおろか、2級、3級の都市でも、この数年で同時並行的に商業化、近代化、都市型消費が拡大したわけで、日本のニュースばかり見ていてこの国で成功できる人は仙人ではないかと思います。

また、そんな企業の情報ソースとして、専門家、OB、学者先生方が、「中国人とのコミュニケーション」「中国ビジネスで成功する秘訣」などと講演をされていますが、以前から申し上げたように、どこの中国人、いつの中国人、どの階級の中国人と接するかでマーケティングはまったく変わってきます。2,000万を超える大都市、上海でも、単純計算で、中国の総人口の1/65に過ぎず、上海を見て中国を語ることは検討違いと言えます。

かと言って、中国全土をすべて把握するには寿命が尽きてしまいます。日本国内での事前研究と仮説を立てた上での現地入りが重要で、さらに、過去からの流れ、現在の事実、固定観念に縛られない予測、この3つを常に出し入れしていかなければ、中国を軸にした世界経済に船出するのは難しいでしょう。

私自身も悩める淵にいますが、今日、成田空港で、あらためて中国に対する考え方を整理できそうな書籍に出会いました。日本語タイトルは、「中国市場戦略」~グローバル企業に学ぶ成功の鍵~(エドワード・ツエ著)、ありふれたタイトルで、日本も含めた外国が、どうやって中国を攻略するかの戦略本に見えますが、英語の原版は、The China Strategy (Harnessing the Power of the World's Fatest-Growing Economy)と言うもので、世界の凄まじい成長経済のパワーに紐づいた中国の戦略、となりますでしょうか?中国と言う国自体が、世界進出・制覇の段階であることに言及した本と言えます。

もちろん、欧米企業の成功事例など、過去から学ぶことは歴史上の出来事の分析と合わせて重要ですが、何よりも、既存のマーケティング、欧米の方程式などが当てにならない、複雑かつ劇的で、矛盾を孕んだ国とどう付き合うかを考えさせられる内容になっています。グローバル人材や企業を語る前に、世界で何か起きているかに興味を持たずして、本社理屈の海外戦略は何の意味も持たなくなるでしょう。

日本の市場が縮小するから海外?中国は利益が出ないからインドやロシア?以前から私がブログなどで指摘してきたことを、この書籍は、客観的かつ理論的に説明してくれていると思います。社長はもちろん、本社の幹部こそ是非読んでいただきたい一冊です。

日本人の中国嫌い!中国人は気にもせず?

2011-11-20 10:50:25 | 中国
先の新聞の調査によると、中国人の日本に対する好感度は上がっていますが、日本人の中国嫌いは今だに顕著との記事がありました。出元はともかく、このデータの感覚は現実に近いとは思います。

先日もブログのある読者から、私の論調が中国に甘い、あんな悪いことをする国はない!と言った指摘をいただきました。確かにあの中国のいつのどこの何を誰をすべて見たわけではないので、目が曇っていると言われれば、そうかも知れません。バイアスがかかっているとすると、日本報道の偏りに対する反論であり、数多の悪い部分は理解しつつも、その合理性など、利点も評価していきたいとは思います。

日本人の中国嫌い、過去に中国駐在を経験したことのある方なら理解できますが、私の妻のようにほとんど中国を知らない人が大の中国嫌いだったりします。実際、出張や赴任したばかりの人でも、街角に限らず、ビジネスや政治の場でも、何てひどい国だと感じることは日常茶飯事です。ただ、中国は、億単位で凄まじい変化をしている部分と、教育が欠落した近代史を引きずっている部分、さらには四千年の戦乱と悠久の歴史、様々な背景の延長線上に今が流れています。百聞は一見にしかずですが、駐在員とて百見は一部に過ぎません。

まともな企業ではないことが明らかになった読売新聞を筆頭に、この先もアメリカ隷属、中国敵視のキャンペーンは続くでしょう。当のアメリカは、軍事も含め、中国を軸にしたアジアシフトを明確にしてきたわけで、アメリカに組み込まれた日本は、アジアを裏切り、日中韓+ASEANの枠組みを自ら放棄したわけです。

片や、中国にいると感じるのは、個別の日本ブランドや製品、漫画、芸能などを除けば、もはや日本と言う国への関心は、憧れではなく、あきらめに近い同情の域に達しています。それならまだましで、独立国とも見なされず、そのうち意識もされなくなるでしょう。

中国と仲良くなれとは言っていません。繰り返しになりますが、日本は、まずは暴君アメリカからの独立を掲げながら、難敵中国と対峙していかなければならないのです。友好を築くには、言いたいことが言い合える距離感が必要です。属国のままでは、発言権がないようなもので、政治的には相手にもされません。

最近、下手な文章で、こんなところでブツブツ言っている自分が悲しくなってきました。ネット社会のおかげで、ツイッたーやブログ等で、個人の意見を吐き出すことは容易になりましたが、結局は、リアルの世界で行動し、理解者を増やし、出るべきところで戦わないと何の意味もない・・・今後は、中国事情でお役に立てる情報に限定していきたいと思います。



だれも言わない?・・・アメリカからの独立!     .

2011-11-11 01:29:20 | 政治
TPPは、消費税10%とともに、サラリーマン政権のなし崩し戦略で現実のものとなりそうです。ま、親会社の意向に逆らう理由もない保身社員みたいなもので、ドジョウ演説以来、すっかりその存在を消した野田総理は、まさに消極的な安全運転をする子会社出向社長にはうってつけ!その人気や実力の無さとは別に意外に長期政権になりそうです。過去にロン康の中曽根総理、ブッシュベッタリの小泉総理が長期政権になった理由をしっかり認識しているようですが、オバマ大統領はそう長くないので、ヒラリーと話をつけておいたほうが得策でしょう。

アメリカも変化を求めてオバマ大統領になりましたが、結局は世界の金融を牛耳る黒幕や、兵器が最大の特産品である軍事産業の意向には逆らえないわけで、アメリカこそ何も変わらなかったわけです。まあ、戦争をやめようとすると暗殺される国ですから、そりゃ大統領は大変ですわ!

それにしても、最近びっくりするのは、いっぱしの社会人でも、TPPについて、世界の枠組みに参加すべきだとか、農業や医師会が悪いとか言った低次元の意見をfacebookなどで見かけますが、この人達は、どうして単純な物事の流れと矛盾に気付かないのでしょうか?農協や医師会は自民党時代に甘やかしてきた遺産ですが、選挙では大事な票田だったので仕方ないわけですが、業界団体以外がちゃんと選挙にいけば変わるもので、実際、民主党への政権交代は既得権へのチャレンジだったわけです。さらに、アメリカ支配へのチャレンジでもあったわけで、本来は小沢一郎と言う人物が仕掛けた国民主権の復活と、アメリカからの独立運動だったのです。既得権を手放したくない官僚、特にお金を握っている財務省は、アメリカが握っているだけに、隷属マスコミの喧伝も手伝って、変化を求めた政権をぶっ潰してしまいました。同じ民主党なのに、中身はすっかりアメリカのサラリーマン議員に衣替え。詐欺です。

そんな私も、郵政民営化選挙の時には、劇場型の演出にまんまと嵌められました。郵便局の古い体質を既得権益者と想定した場合、それを改革することは望むところなわけで、正義の味方、小泉総理と、悪代官、亀井静香氏と言う構図は、誰が見ても亀井が悪い!となります。が、実は、郵政民営化で何がどうなるのか?誰の要望で誰が得するかを考えていたなかったことがいけないわけで、雪崩を打つように、自民党は大勝!自民党をぶっ壊すと言うスローガンの生贄が亀井氏も含めた郵政民営化反対論者だったのですが、この時も誰もその戦略はアメリカが仕掛けたものだから反対する!とは言いませんでした。論点がずれるってやつです。

先の民主党の圧勝こそ、普通選挙の恩恵で、既存の勢力に素人も含めてNOを突きつけたわけですが、素人のほとんどはマスコミに操作され、アメリカ、官僚の支配はそっくりそのまま継続する政権に指し変わったのです。TPPの論点は、日本の内政問題ではありません。独立国家、いや、独立を模索するための試金石のようなものなのですが、農家がデモしたりする映像ばかり流れ、誰も本音を叫びません。叫んでも大メディアには出ないわけですから、どうしようもないですが・・・

新聞お化け!テレビお化け!アメリカお化け!

2011-11-08 20:49:00 | 政治
巨人、大鵬、玉子焼きと言ってわかる世代も少なくなってきていますが、私の世代でも大鵬は現役で見たことはなく、大相撲は輪島、北の湖、貴乃花でした。さらに古くは力道山の空手チョップが炸裂する街頭テレビに見られるように、日本のメディアは、娯楽とスポーツを通じて庶民の絶対的な支持を得てきたわけで、紅白歌合戦の勝ち負けに固唾をのみ、レコード大賞は本当にその夜の審査員の投票で決まると信じて疑いませんでした。

当然、そこで流れる政治のニュースや、世界のニュースも、これも疑いもなく正しいものだと、ほとんどの愚民は今も信者のごとく信じています。昨今のTPP報道に至っては、それに反対する勢力を、お化けと呼んだり、狂信者のごとく報道しますが、それを言うなら、新聞お化け、テレビお化けで、本当は事実でもないことも書き立てるのに、実在してると勘違いしているようなものです。さすがに、多少視野の広いビジネスパーソンの方は、その論調、見出しを見ただけで、まやかしには気付きますが、多くの信者は、今だTPPは開国だの農政改革の第一歩などと信じさせられてしまうようです。私のようなへそ曲がりは、裏読みし過ぎて、山田農水相の反対意見さえ、票田の農家向けのパフォーマンス、デキレースに見えます。彼が騒ぐほどTPPは、農業の改革が論点になり、医療、保険分野も含めたアメリカの自国産業の日本市場侵略だとは気づかなくなります。

もちろん日本のどの産業も世界で戦わなければなりません。いつまでも国、あるいは既得権団体の傘の下で保護されるものではありません。が、その話と、今回の日米の不平等条約の恐喝とは次元が違う話しです。環太平洋と言う枠組みでまやかされ、国際社会の舞台であるかのように喧伝されていますが、アメリカ父さんの強権発動に過ぎません。

ただ、このような指摘も叫びも日本の上層部(アメリカ)には届くわけもなく、取り巻きを形成するマスコミと、売国奴政治家、官僚によって、ずるずると日本の実質的な解体は進んで行くことでしょう。消費税しかり、国民に主権などないも同然、日本人が日本人を裏切っているように思えてなりません。ま、いつか天罰が下るでしょう。

政治がどうであろうと、これまでの日本の経済は、優秀なビジネスマンや、護送船団方式が良いかは別にして、経済界が引っ張ってきました。が、実はそれも、アメリカの傘の下を出るわけにはいかず、ちょっと頑張り過ぎると、貿易摩擦だ!電機系統が不具合だと言いがかりをつけられてきました。この先は、有望と言われる中国市場でも、政治的、法律的に日本への圧力は強まることでしょう。中国とせめて対等になるために、アメリカからの独立は必須・・・そうでないと、今回のTPPに組み込まれ、気がついたら米中が組むべきところでは手を組んで、日本が置き去りにされる可能性も十分にあります。日本の未来を憂うことしかできない一人の事務所でした。


中国ビジネス・・・経営陣に、感性なくして成功なし!

2011-11-06 02:09:37 | 中国
ニューヨークの時差の影響がまだあるのか、日付は11月6日、日曜日の未明に目が覚めてブログなどしています。季節外れの大雪の中を、秋ものの装いでブルブルと震えていたこともあり、帰国前から風邪を引いてしまいました。風邪は気から・・・と言いますが、根性の問題とは別に、体力・抵抗力は年々低下しているようです。

日本に戻って実質3日目。昨日土曜日は、久々にまた新聞の切り抜きをしました。が、最近はどうも紙面に刺激がありません。ニューヨーク出張中の1週間ばかりたまった記事でさえ、新鮮なネタは乏しく、政治面では、日経新聞もTPPを煽る記事や御用学者が登場、国際会議を口実に消費税10%を宣言し勝手に既成事実化してみたり、また経済面でも、引き続き、企業の中国強化、進出、拡大と言った記事が出ますが、よく読んでみるとどれもこの先の目標数値ばかり・・・一部の企業を除いては、捕らぬ狸の皮算用に過ぎないのでは?

グローバル人材育成の掛け声や安易な短期留学などが盛んに報じられますが、急に騒いで変わるものでもなく、私どものあるお取引先のように、四半世紀も前から中堅社員を海外に出して育ててきた企業で、ようやく仕事も国際的なセンスも身についた人材の層が重なるわけで、新入社員も含めた若手に力を入れることも長期的には重要ですが、世界のスピードに追いつくには、日本でもバリバリ仕事のできるエースに更に武器を持たせる必要があります。さらに言えば、もっとも武器が必要なのは、経営陣とマネージャー層ではないでしょうか?

企業によっては、欧米はまだしも、中国と聞くとマイナスなイメージを持っている方も少なくないはず。確かに、今までの日本式なやり方、考え方では通用しないことも多く、リスクだらけの理不尽な国と感じることもあるでしょう。それで投げ出し、現地まかせにしてみたり、あるいは意地になって日本式を押し付けたり、バランスがとれていないケースも見受けられます。現場に権限を委譲することも重要ですが、その企業の本来の強みに拘ることも必要です。一見、矛盾とも言えるこのさじ加減は、机上の会議で結論が出るものではなく、それこそ、責任者の感性の問題です。感性を磨くには、少なくともその国に興味を持ち、自ら推論も立て、実際現地に赴いて検証する・・・このような過程が必要です。少なくとも経営ボードを握る人材は、感性なくして成功なしだと思います。

とある企業で、中国式か日本式か?と言った議論がありました。私はその商材のプロではありませんが、その課題を見た瞬間に、販売手法は中国式を採用、例えば中国全土で展開するより、あるエリアに集中する。つまり局地戦を局地に強い現地に委ねるべきですが、品質の維持・向上は、今まで積重ねてきた日本式を絶対譲ってはならない・・・私が社長なら、そのような二つの考えで事業を進めます。日本企業は社長でさえ、一人で大きな決定がしずらいだけに、より多くの感性を持った人材を育成、いや抜擢する必要があると思います。