中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

荒れた日中関係・・・備えあれば憂いなし?

2010-09-28 15:25:16 | 中国
日本のメディアには、中国批判的な論調があふれ出しました。昨晩のニュースバラエティ?では、関西系の司会者が、「釈放していいんですか?許せないですよ~」的な発言で、怒りを露にし、素人視聴者に訴えていましたが、年輩のゲストコメンテーターが、彼を落ち着かせるように冷静な分析をする始末・・・ニュースなのかバラエティなのか?まあ、大新聞もテレビ局も、所詮はビジネス。スポンサーもついています。新聞が正しい!テレビに出たら偉い!的な発想はいい加減にやめないと、日本の将来はさらに暗いものになります。

チャンネルをNHKに変えると、今度は、大阪地検の不祥事について、逮捕された検事を非難するコメンテーター(江川紹子氏)に対して、元検察の人が言い訳ともつかない独り言を放ち、かみ合わない番組になっていました。江川氏の論点は、そもそも「シナリオを作ってから捜査をする検察の体質は、今に始まったことではない!」と言う至極まっとうな指摘ですが、元検察は、今回逮捕された検事だけに罪を被せて闇に葬ろうとしているように映りました。古くはロッキード、新しいところでは陸山会、政治家が誰も清廉潔白だなんて、口が裂けても言えませんが、不思議なことにアメリカの意向に逆らった政治家には、必ずや「事件」が起きます。要は「誰を挙げるか?」を決めて捜査する・・・・制限速度で走っている車はめったに見かけませんが、捕まればもちろん犯罪ですね。

すっかり政治関連に偏った最近のブログですが、たかが10数年前から関わったばかりとは言え、中国の存在は、日中関係だけではなく、世界に良くも悪くも大きな影響を及ぼしているわけで、グローバル人材を語る前に、世界の経済、政治で起きていることに興味を持ち、ほんの一部でも理解することが重要な時代だと思います。

私のように、月1回程度で日中を往来している出張者の方なら、それぞれの国で、同じ事件、あるいは取り上げる事件の趣旨や中身が、こうも違うものかと実感しているはずです。今回の漁船事故も、中国政府の判断としては、政治的には強行策を取ることは間違いありませんが、国民市民レベルで、感情を煽るようなことはなく、むしろ抑制しています。日本の政治家も建前と感情論で非難していても埒があきません。国家と国家のホットラインもないような間柄では、国交のない国と一緒で、経済界がこれまでにしてきた努力も吹っ飛びます。中国のカントリーリスクを嘆く評論家は多いですが、嘆くべきは、日本政府の政治力、交渉力のなさだと思います。

冷静に考えると、日本人は中国を再度見つめ直す良い機会かも知れません。この半年ぐらいで、観光客だ!市場だ!と急に中国になびいたかのように、猫も杓子も中国進出、これからは中国語と盛り上がっていることは、以前のブログでも指摘しました。が、中国、中国ビジネスに対して、一体どこまでの知識と備えをしているでしょうか?備えあれば憂いなし・・・憂うことばかりが多い最近の私は、備えができていないと言うことです!はい!

中国の百貨店に見る・・・バーゲン商法!

2010-09-27 15:23:41 | 中国
すでに、中国在住の方には珍しくもないことかも知れませんが、たまの出張や観光で上海の百貨店を訪れてみると、「300元購、300元送」と書かれた赤札があったりします。これは、300元分の買い物をすると、もれなく300元分の金券(商品券)をお渡ししますよ!と言う意味。え、なんで同じ金額の商品券をくれるの?と不思議に感じるかも知れませんが、冷静に考えると単純に半額で物が買えると言う意味です。

これだけなら、別の店でも多く見られる割引セールと変わらないように思えます。バーゲン時期かどうかは別に、街の衣料品屋、装飾屋では、5割引は普通にあるとして、9割引まで存在しています。じゃあ、元の値段は一体何なの?と思ってしまいますが、さすが「討価還価(価格交渉)」の国と言ったところでしょうか?

今回見た値引き手法のメリットは、300元の品物を買った時にもらえる300元の商品券は、その日のうちに使用しなければなりません。つまり、当日の売上として、当初の300元ではなく、600元の物を300元で売ることができるわけです。買い物の仕方を心得ている地元の方なら、最初から600元の品物をイメージして訪れることができます。が、私ども外国からの観光客はもちろん、中秋節で上海に繰り出した地方の中国人からすると、急に得した気持ちになるものの、さて何を買ったらいいものか一瞬悩むこともあります。その瞬間、店員とはまったく違う身なりの怪しい男性が登場します。商品券は当たり前ですが、商品と交換するもので、現金化はできません。が、彼らは、清算を終えて商品券をもらったばかりの客と交渉、現金を握り締めたまま、本来300元の商品券をどうやら200元の現金で交換、商品券を手に入れました。余計な物を買いたくないお客は、思わぬ現金収入に。

何件かが成立した模様・・・すると今度は、その商品券を手にした男性たちが、来店したばかりのお客と交渉。これから買い物をするお客に、300元の商品券を250元程度で交渉しているのでしょうか?これも何件かが商談成立した模様です。つまり・・・百貨店側は、当日限定商品券を発行することで、単純に値引きするよりも、総売り上げを倍にできる。怪しい男性は、差額の50元を何の元手もなく手に入れられる。その男性から商品券を買ったお客も50元ほど得する。商品がいらないお客は、商品券を現金化できる・・・四方良しのように見えますが、結局は、半額セールスに過ぎないのに、余計な出費を増やしたお客が損をしているのかも知れませんね・・・

一つ勉強になったのは、同じ店内でも、日本のコーセーは商品券が使えますが、資生堂も含むいくつかのブランドは、このキャンペーンに一切参加しておらず、商品券は発行も使用もできません。成功へのアプローチは各社様々ですが、さすがに資生堂のブランド戦略はブレがなく、中国人の肌に合わせて商品開発は中国流にしていても、販売戦略においては、日本のトップブランドであることを店先でアピールしているかのように感じました。

富士山で初雪・・・今年の暑さは異常でしたね!

2010-09-25 15:21:44 | 中国
日記みたいなタイトルになってしまいました。午後の飛行機で上海を発ち、夕暮れに羽田、そして夜に自宅(千葉)に戻りました。半袖のシャツを着ていたこともあり、それはそれは肌寒く感じました。メールのニュースでは、富士山で例年より早い初雪が観測されたとか・・・あの暑い夏は何だったんだろう?と思ってしまいます。

世界のあちこちで異常気象のニュースが流れていますが、特に多いのが、洪水!何年か前から日本でも、ゲリラ豪雨なる短時間の集中豪雨の被害が出ていますが、何事も極端に暑くなったり、寒くなったり、干ばつになったり、洪水になったり、日中関係さながらに安定せず、両極に振れてしまってるような感じがします。

天気と政治の話を無理やり結び付けましたが、久々に戻った日本のニュースが、中国批判一色。中国嫌いの妻も、さらに中国に批判的な顔色になっていました。好きか嫌いか、釈放か断絶か、白か黒か、あまりにも短絡的な発想でマスコミも騒ぐので、素人政治家にはとても外交などできそうにありません。そもそも、国と国の付き合いは、人と人、企業と企業でも大変な信頼関係と利害関係の調整が難しいわけで、アメリカと中国が、人民元問題、資源戦争、軍事覇権などで、あれだけ批判、攻撃し合っておきながらも、大枠のところでは、お互い重要性を認め、会談、会合は表面、水面下ともに続けている・・・嫌な言い方ですが「大人の国家付き合い」と言えます。

一つの事件で関係が壊れてしまう原因は、そもそも、根底のコミュニケーション、人付き合いによる関係構築ができていないことにあります。相互理解などと綺麗事を言う前に、喧嘩をするにしても、言いたいことが言える距離や関係が必要なわけで、今の日本の政権中枢には、中国のトップと話せる人さえいないような気がします。もちろん、アメリカ父さんからは監視されてる息子みたいなもので、中国政府から見ると、「これじゃあ、付き合うに値しない」と思われているのかも知れません。宋文洲氏がテレビ番組で、「日本は中国と付き合う前に、アメリカかから自立してくださいよ!でないと話相手にならないですよ!」的なことを言っていた記憶があります。

中国の日系企業の社員採用の問題なども同じですが、賃金問題において、契約や査定をガラス張りにすることは事務的には必要ですが、それ以前に、総経理が「好人haoren=いい人」かどうかが重要なわけで、それは決して優しくすることでも、甘い顔をすることではないですが、少なくとも腹を割って話せるか、明確な方針や理念があるか、最後には、明るいかどうか・・・人間関係の下地、化粧で言うなら、ファンデーションがしっかりしていないのに、綺麗な口紅・頬紅を塗りたくっても、すぐに化けの皮が剥がれてしまうようなものです。

よく知らない人のことは好きになれません。好きでもない人からは好かれることもありません。国際関係も恋愛と同じかも知れませんね。

涼しくなった上海・・・日中関係は冷えないで!

2010-09-23 15:20:14 | 中国
私が中国語関係の会社を起業したのは2005年、当時から2008年のオリンピックの頃には、日本では中国語や中国が大ブームになると経営の素人の私のみならず、プロの投資家の方も予想していました。が、この5年の間にも、反日デモ、餃子問題、靖国問題などがひっきりなしに発生し、日中の関係は一向に改善しませんでした。

一般市民として見た場合、やっぱり中国は問題がある!と日本の報道を通じて思い込んでしまいますが、その背景には結局、国対国、政府対政府の関係、方向性が影響していることは明らかです。国民的人気の高かった小泉政権も蓋を開ければ米国依存、中国との関係は悪化したまま終わりました。短かった鳩山内閣の数ヶ月、自民党から民主党への政権交代の本来の価値は、アメリカの属国から、中国も含めたアジアでの日本の存在感の復活にあったわけですが、政権内のアメリカ閥とマスコミの巻き返しで、元の木阿弥になってしまった・・・再度の巻き返しが前回の代表選でしたが、結果はご覧の通りです。この1年のわずかな政権の方向性の変化により、日中の関係は大幅に改善するかに見えましたが、今や東アジア共同体声明などはどこかに吹き飛び、前原外務大臣の起用によって、ほぼ日本政府の方向性は世界に示されたわけです。

今回の問題は、一漁船の事故の次元ではなく、政治の大きな流れの中で必然的に巻き起こった日中の亀裂です。中国では、レアアースの対日輸出禁止など、一部の報道が先走りしている感もありますが、実際に日本の企業に対しては強硬な姿勢に転じることは避けられません。しかも、影響の大きい大手企業よりも、中小企業を中心に様々な規制や検査も入る可能性がありますし、日本が大歓迎の観光客についても、しばらくは厳しい締め付けも考えられます。専門家の情報によると、中国政府としては、それでも11月いっぱいでこの問題を収縮させていこうと、すでにデッドラインまで引いた上で、今しばらくの厳しい態度を徹底しているようです。

悲しいのは、今回の問題で、日本にとって被害は大きくなる可能性がありますが、中国にとっては、特に失うものがないことかも知れません。資本もいらない、人材もいらない、どうしても欲しかった技術も追いついてきた・・・中国政府は、アメリカとの関係は一触即発の中でも妥協点を見つけて維持する方向性は明確ですが、日本に対しては、そのままアメリカの属国でいるのか、私たちと付き合うのか、貴方たち次第ですよ!と剣先を突きつけているようなもの・・・ちょっと過激なことを書いてしまいましたが、実際そのように感じてしまいます。

そんな中でも、大手企業を中心にした経済の絆は、そう簡単に壊れるものではないはず。キャンペーンが11月までだと考えて、焦らず、騒がず、目の前の中国人、中国企業と冷静に付き合っていくことは可能です。政治と経済は別物とはいかないでしょうが、最後は、一人一人の理解と努力から世界は変えられると思います。


中秋節に、日中関係の今後を憂う・・・

2010-09-22 15:17:59 | 中国
今回の漁船の衝突事故は、民主党代表選挙の最中に発生し、新内閣発足後に事件が大事になりました。魚釣島(釣魚島)をめぐる領土問題は、小平氏もあきらめたくらい、20世紀のうちには解決できず、21世紀も10年を過ぎましたが、対話の糸口もつかめない状態です。さらに油田開発の問題にも飛び火して、日本から見ると中国憎し・・・の世論が徐々に形成されていくことでしょう。

今日は、久々の中国での休みだったので、南京に一人で行く予定でした。が、疲れた体を言い訳に、予定を自然消滅させて、のんびりすることにした自分がいます。上海にいる限り、また、年配の学校関係者と食事をして、事件について感想を求める限りでは、ある小さな事故といつもの領土問題でしかないという印象を持ちました。テレビでは、定期的に抗日戦争を描いたドラマがひっきりなしに流れていますが、日本のドラマも流れています。若年層の間では、私も知らないような新進気鋭の日本人俳優が有名になっていたり、今回は延期になってしまったSMAPなど、ジャニーズの人気は絶大なものがあり、残念がる中国人も多いことでしょう。

ただ、日中の近代史には、簡単に片付けられない複雑な「過去」が横たわっています。私の妻が上海まで電話してきて、「一人でウロウロしてる場合じゃないわよ!」と余計な世話を焼いていましたが、彼女は日本が中国にしてきたひどい過去については率直に認めていました。もちろん、私や彼女の世代には直接関係のないことですが、苦い過去はなかなか消えるものではありません。戦争に正しいも悪いもありません。勝てば正しくなりますし、負ければ犯罪者です。人命第一とか言いながら、戦争になると何百万人殺しても勝者は正当化されます。

さらに自国の過去はできる限り消し去ろうとしますが、他国に抱いた恨みについては未来永劫引き継がれて、忘れた頃にも必ず恨みのキャンペーンが始まります。中国は、日本の過去を、自国の政治の安定にうまく利用しているような気がしますが、自国の文革と言う苦すぎる過去については、自然消滅してほしいとも願っていると思います。日本も中国への侵略については、一部の政治家が正当化してきたり、第二次世界大戦はアメリカとだけ戦ったかのような教育も受けてきました。太平洋戦争と言う言葉は知っていても、日中戦争があったこと、日本が中国に負けたことは、あまり認識がないのかも知れません。原爆まで落とされたアメリカに対して寛容とも思える日本人の態度も世界の七不思議かも知れませんが、過去は過去、されど現在に繋がっていて、あるいは、政治的に利用され、いつまで経っても消えないものなのかも知れません。

あ、テレビで温家宝首相が船長の釈放を要求するニュースが流れてきました。穏やかな彼の顔は心なしか強張っているように見えます。が、わずか2分で別のニュースに切り替わりました。アジアの一員でありながら、米中の狭間で、日本はどうやって独立していくべきでしょうか?お月様は今日は見えないかも知れませんね。