中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

2011年1月1日は、今日の翌日でしかない・・

2010-12-31 11:29:08 | 中国
新暦で、新しい年が始まるまで、あと10時間あまり・・・2010年は、もうすぐ終わろうとしています。

日本人でもある僕の感覚の中では、大晦日と元旦は、まるで新しい世界でも始まるかのような気分で過ごしてきました。元旦から禁酒を宣言したり、突然10キロもジョギングを始めてみたり、今年は中国語勉強するぞ!と張り切ってみたり、自分の中での変化を暦に託してきたのかも知れません。※ほとんどが三日坊主ですが・・・

2010年の印象としては、日中関係があらためてクローズアップされた年ではないでしょうか?昨年の政権交代で、東アジア共同体なる新たな世界の枠組みを模索する動きが出たのも束の間、結局は、以前と変わらない官僚主導、アメリカ依存の体制に戻ってしまいました。街頭インタビューなどで、「民主党になっても何も変わらない・・・」などと批判する市民がいますが、自民党同様に、民主党には2つの勢力、方向性があることを理解していないので、政権ばかり入れ替わり、官僚も含めた裏の権力の筋書き通りに動きます。派閥争いと言った低レベルの話ではなく、本来は、この国の「自主独立」を左右するような大きな政治闘争なのです。

中国は独裁的だ!民主的じゃない!と言って責めるのはいいですが、選挙があったところで、マスコミの作為的な報道に疑問を持たない有権者が投票する選挙など、ただの魔女狩り、あるいは人気投票に過ぎません。

この国を憂い、テレビに文句を言っていても何も始まりません。そんなこととは関係なく、世界は中国、そしてインドと言う、実は歴史上のほとんどの時代に世界を席巻していた大国主導に何百年ぶりかで戻ろうとしています。当然、歴史の節目には、醜い戦いも起こるでしょう。2011年からの数年間は、今までの延長線上や、固定概念では理解できないようなことも起こりうると思います。

中国の年越しは、元旦を除き、普通の週末に感じる向き多いようです。旧正月と呼ばれる中国の新年「春節」は、来年の2月3日。最近は日本の企業もそのカレンダーを意識せずして仕事の計画が立てられなくなりつつあります。CHINABAL(中国を軸にした世界経済)などと申し上げたのは、もう4年近く前になりますが、日本で想像する以上に、世界の大きな潮流が変わりつつあります。国際化、海外進出を急ぐその前に、冷静に世界を分析し、現場にも足を運び、日本の問題点を点検する・・・いつもと同じフレーズで今年のブログは終わりそうです。

私としては、この数年間は、中国各地はもちろん、インド、シンガポール、ロンドン、ニューヨーク、ブラジルにも足を運びたいと思います。ん?本業に関係ないじゃないか?って・・・いえ、必ず関係します!では、よいお年を!

相変わらずの日本の中国報道・・・

2010-12-29 11:25:02 | 中国
26日に上海から戻ってきて、ブログに向かう暇もない状態が続いていますが、あくせくしている私の周りは、すでに年末モード・・・2010年はもう終わってしまいますね。今年は、上海世界博覧会が開かれた年。テーマソングの盗作騒ぎから始まって、秋口の尖閣諸島問題まで、日本テレビを中心にしたメディアは、相変わらずの中国ネガティブ報道を続けてきました。

久々に見た日本のテレビでも、今更のように、偽i-Padの取材などをして、コメンテーターが、「何でもありの国ですね~」と大げさなコメント。実際、中国にいても、何でおもありだな~とは思いますが、その現実も背景も受け入れてこそ、よその国のことが語れるのではないでしょうか?唯一、テレビ東京だけが、国家公務員の公募のニュースに対して、「ある意味、日本も学ぶべき点がありますね。」とゲストがコメントしてましたが、彼はこの先、日本テレビには出演できないかも知れませんね。

相変わらずと言えば、政治の猿芝居もそうで、脱小沢!政治と金!と念仏みたいに唱えていますが、一連の対立の行動は、親米VS反米の構図であることを、テレビを真に受ける善良?な国民とやらはいつになったら理解できるのでしょうか?日本の置かれた状況で、もし独立国として戦略を練るなら、私は「対米・対中戦略」を唱えます。つまり、世界の2大勢力のアメリカと中国に、アジアの一国として、対等な関係に持っていく努力をすることです。アメリカからの対等は、軍事的な独立なしには有り得ないわけで現状は不可能に近い・・・されど「独立したい」と言う方向性がなければ100年経っても変わりません。また、中国とは良くも悪くも、とことん喧嘩も議論もできる政治的素地がないと、対等な関係にさえなれません。国と国との距離もとれないまま、軍事的な独立などと口走ったら大変なことになります。

今日もクライアントの担当者の方から、中国の情勢はどうなんですかね?と質問されましたが、反日離中キャンペーンが続く日本の報道統制下にいる限り、中国の進化した点はもちろん、膨大な問題点や困難の背景さえわからなくなります。日本の本社のトップが中国を理解していないことで、現場では混乱をきたしていることは、別のサイトのコラムでも書きましたが(下段参照)、何が正しいかは別にして、どのような可能性があるのか、もう少し自分の判断でテレビや新聞のニュースを検証してみる努力が、組織も個人も必要だと思います。

年の瀬にはなぜか批判的な政治談議になってしまいますが、2011年の世界の変化は、2010年とは比べ物にならないくらい大きな変化、あるいは困難が待ち受けているように感じます。

※参照「中国ビジネスヘッドライン」 http://www.chinabusiness-headline.com/author/kanwajuku/

中国語は現地に行ってから・・・ちょっとその前に!

2010-12-21 11:21:09 | 中国
久々のメール、また、久々の「ちょっとその前に!」シリーズです。先週金曜日に上海に入り、日曜から月曜にかけては北京に出張で行っていました。動き慣れつつある上海と違い、北京はまだ方向感覚がわかりませんが、タクシーに乗るのは多少ストレスがあります。上海では、○○路ー○○路と通りの名前さえ言えば、とりあえずその一角に辿り着きますが、北京では通りや番地よりは、有名な建物を指示しないと辿り着きにくい気がします。有名な建物ならまだしも、今回私が宿泊したホテルのように、無名な場所に辿り着くにはちょっと苦労しました。

また、北京首都空港から、市内までの高速道路は、基本的に渋滞がひどいようですが、その夜は日曜日とあって比較的空いていました。が、上海と違い、車は至って整然と車線通りにゆっくり走り、友人との待ち合わせもあり、「快一点児~」と運転手に言ったら、ちょっとむっとされてしまいました。以前に「東京のような北京」とブログで書きましたが、首都のプライドなのか、喧騒の上海と比べると、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

さて、表題の「中国語は現地に行ってから・・」と言うタイトルですが、昨今、私のお知り合いのベンチャー企業の方が、中国語要員育成のために、上海のとある大学に社員を短期留学させました。学生さんで少なくとも2年くらいのお時間があるならまだしも、いきなりの大学での短期留学はいくつかの問題点があると私は考えます。まずは、そもそも2年はかかるものを数ヶ月のカリキュラムで速成したところで、学力が速成できるわけではないこと。ならば、ビジネスマンの中国語ニーズが把握できているかと言うと大学には無理な相談、さらには、欧米人と机を並べるクラスレッスンに至っては、漢字の学習も含めて日本人にはロスが多いことなどがあります。

発音や声調は、ネイティブだからきっちり教えられるか?と言われるとそうでもありません。方言の影響で個人差があったり、三声の教え方が違っていたり、耳ですべてを解決する子供や若者ならまだしも、時間のない大人のビジネスマンには、「慣れるより習う」的なアプローチのほうが結果的に近道になることもあります。

とにかくネイティブの世界に飛び込もう!的な短絡的な考えより、少なくとも学習の優先順位、声調のコツなど言語の特徴ぐらいは、日本でしかるべき研修を実施してこそ、現地の環境を早い段階で活かせることができます。もちろん、中国・上海でも、日本語での説明能力のある老師は存在していますが、いずれにしても、闇雲に留学させる前に必要な準備と言うものが存在します。また、仕事しながら現地で通え!と言う方針の企業もあるようですが、赴任者はビジネスをしに来ています。もし、仕事上での中国語力も求めるのであれば、ある一定期間、日本と現地それぞれにラインからはずしてでも、集中的にトレーニングをしたほうが絶対効果があります。



つべこべと、まとまらない話になりましたが、業務に戻ります。

グレーゾーンがポイント?中国ビジネスのさじ加減!

2010-12-18 11:18:19 | 中国
10日ぶりに上海に戻りました。赴任者でもないのに、戻りました!は大げさですが、基本は中国主体で生きていこうと、まずは部屋まで借りたわけですし、10日間の遅れを取り戻すべく、慌しく喧騒の街に合流しました。

昨晩は、上海日本商工クラブのサービス部会と言うのがあって、野村総研やJTBの総経理の方にもお会いすることができました。そもそも商工クラブは、上海に進出している日系企業のコミュニティで、領事館の方とも協力して、ビジネス上で、法律面などの改善を要望したりしていますし、貧困地域の学校建設は古くから力を入れています。私の会社ごときも、そのクラブに入会させていただいておりますが、先輩方から提供いただくことは多くとも、私が提供できることが少なすぎる・・・中国ビジネスにおいて、自分がいかにヒヨコか?を痛感します。

そんな中である先輩から、グレーゾーンについて貴重なアドバイスをいただきました。中国の法律は、どこまでがOKで、どこまでがNOか、これはけっこう微妙な問題です。過去の、あるいは現在の法律で認められていたものも、ある日突然、禁止になってしまう・・・これはすなわち、即、倒産を意味します。基本的に外資系企業の投資は歓迎する方向ではあっても、別に外資系に是非儲けてくださいとは誰も言っていないわけで、ま、中国に限らず、日本でも保護主義的な政策は続けてきて外資を排除してきたわけで、これはお互い様です。

が、別の観点から見ると、現在の法律では認められていないものでも、緩和されたり、最終的にOKになることもあるわけです。白黒はっきりつけたい日本人にとっては、グレーゾーンでビジネスをすることは、コンプライアンス上も問題だ!となるわけですが、60%ぐらいOKなら進む、それ以下なら控える!的な融通も必要になってきます。さらには、中国、中国政府、中国人にとって有益になるものであれば、地道な努力や働きかけで、グレーが白になる場合もあるようです。このあたりは、まだ中国の法律事情に詳しくない私には語れませんが、現場を知る専門家の方から学びたいと思います。

つまり、他国でビジネスをする場合、根本的には、その国にメリットがあるサービス、製品を提供すること。さらには、その提供や営業の仕方においては、中国人とのパートナーシップを重要視し、雇用も生み出すことで貢献しつつ、政府関係者とも「生きたコネクション」を築くこと。当たり前ののようで難しいことが大事だと思います。

以前にも申し上げましたが、日本の新聞紙上を賑す「中国を開拓!」「中国で拡大!」と手前勝手な計画を立てる前に、ここ中国では、国が、政府が、個人が、何を求めているのか?外資に何を期待しているのか?どんなサービスがあればいいと思っているのか?海外の何に憧れているのか?と言った感性を磨くべきだと思いました。今回は短い滞在になってしまいますが、新しいアンテナを張って生活してみたいと思います。

あらためて「日本の品質と市場」を考える!

2010-12-12 20:42:53 | 中国
12月7日火曜日に帰国して、あっと言う間に6日間が過ぎました。東京・銀座の街はすっかりクリスマス、歳末モード。深夜の電車は忘年会帰りの喧騒でいっぱい。それでも、バブル時代を知る私からすると、静かな年の瀬には感じてしまいます。上海でも、クリスマス商戦はすっかり定着したようで、飲食店の店員さんもサンタの帽子をかぶっていたかな?たかが1週間前のことですが、はるか昔のことのように思い出してみました。

さて、日本のニュースは、どこも「海老蔵」一色です。私には関係のないことですが、歌舞伎界に税金を投下していることは自覚していただければ・・・。それ以外に、EUとのEPA(経済連携協定)の締結に向けた動きが前途多難とのニュースがありました。韓国はすでにEUとのEPAを締結、10~14%の関税が撤廃され、欧州市場で液晶テレビなどは、同じ品質だとしても、価格面では日系製品を大きく引き離しています。韓国市場にも、EU製品が安価で流れ込むわけですが、よく考えてみると、韓国の人口は4,900万弱で、日本の38%程度。得るものよりも、失うものが少ないからこそ打てる手かも知れません。

さて、日本はどうすべきか?グローバル戦略と簡単に言いますが、高品質で、俊敏かつ柔軟な発想のある一部の企業は別にして、多くの企業は、規模では、欧米や中国・韓国の巨大企業に圧倒されたり、低価格競争に巻き込まれて疲弊する・・厳しい現実が待っています。

同じニュースでは、日本の新幹線のブレーキシステム等を外資(EU)に開放せよ!的な主張が紹介されていましたが、その前に「日本の品質」についてあらためて考えてみたいと思います。日本の製造業のトップ企業は、その品質管理において、やはり世界にライバルは少ないと思います。ISOのように品質管理をいくら規定や国際標準化しても、最後は「人」の意識がポイントになります。日本人の心にいまだ残る職人気質、気遣いや配慮、金や名声にこだわらず自らを高める向上心・・・多少の低下は否めませんが、「日本の強み」とは、人の意識と、それが生み出す品質なのではないでしょうか?

さらに、1億3千万の日本市場についても、中下流層でも購買力は高いものはあります。目や舌の肥えた日本人に向けて、地道で厳しい努力を続けていけば、まだまだ日本市場は宝の山だと思います。中国に少し長くいたこともありますが、あらためて日本のこと、日本人のことがやたらに気になります。政治は現状では期待できませんが、日本を見捨ててはいけない・・・洗練された真面目で繊細な日本を復興させたい!と強く思う次第です。貴重な日本滞在の間で、感じるべきことを感じて、この金曜日からまた中国に戻りたいと思います。