中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

貴方には、貴方の立場の語学力!

2010-07-31 20:41:18 | 中国
人には、ヒトの乳酸菌・・・と言う蒼井優さんのCMを突然思い出してタイトル付けをしました。前回の英語の公用語に対する提言をしていたら、ある中国人スタッフから、「英語よりも、日本語でさえできない上司がいっぱいいますよ!」とさらっと言われ、上司って、ま、まさか僕のこと?と蒼くなった、いえ、青くなったところです。

言葉は言霊、人を現すとも言われますが、実際、言葉遣いでその人の価値が決まると言っても過言ではないでしょう。外国語を学ぶ以前に、そもそもの日本語力、表現力が重要になるとも言えます。中国語や英語においても、誰に習ったか?どこで習ったか?誰と話したか?どんな環境で使ってきたか?通じることはまずは重要ですが、学生の冒険旅行でもあるまいし、ビジネスマンの方々には、その方の立場に応じた「外国語」が求められるのではないでしょうか?

よく、日本の中国人留学生と話すと、日本語能力自体は高いのですが、やはり学生言葉が染み付いていたりすることがあります。日本人学生でもそうですから、初めて外国語を学ぶ留学生の環境がキャンバスであれば、当然それなりの日本語になってしまうのは仕方のないことでしょう。逆に、ビジネスマンを中国の大学に短期留学させるケースにおいても、同じ問題が発生します。例えば、没有meiyou(ありません)という中国語は、若い人の間では、米有miyouという風に書いて、流行っているケースがあります。学生仲間では、洒落た表現かも知れませんが、社会人が使っていると、笑い者です。また、お店の女の子と会話をすることも、語学へのモチベーション的には有効なことは否定しませんが、女性言葉などが染み付いてしまった日には・・目も当てられません。

いずれにしても、ビジネスマンの方が中国で中国語を使う場合、やはり立場に応じた「語学力」が必要になります。言い回しや、語彙の種類ももちろんですが、簡単なところでは、2文字ずつゆっくり話すことも一つのスキルです。中国の政治家が、ゆっくり丁寧に話すことは、以前にもコメントしたことがあります。

さらには、このブログでも再三、しつこいくらいに言及している「声調」についても、言葉が人を表すことから考えても非常に重要なことです。流暢なつもりで、早口で中国語をしゃべるものの、声調が滅茶苦茶な人はたまに見かけます。通じればいいという意味では、問題ないのですが、総経理と言う立場だとどう感じますでしょうか?

友達や恋人に教えてもらっても会話力は向上するでしょう。しかし、ビジネスマンにふさわしい表現を教えるためには、教師自体が、社会人としての品格を備えていることも重要です。語学研修会社として、やるべきことは山積み・・・ブログを2本も打ってる場合じゃありませんね。仕事に戻ります。

英語を社内の公用語に・・・ちょっとその前に!

2010-07-31 20:40:10 | 中国
7月の最終日・・・2010年も残すところ5ヶ月。漢和塾の決算は8月末なので、残り1ヶ月で5期目が終了します。お蔭様で、今期も増収増益、中国ビジネスに携わっていれば、もっと急カーブで伸びてもおかしくはないですし、中国語研修のニーズも増えているのは間違いないですが、以前にも述べたように、『いい先生』は簡単には見つからない、育たない・・・地道に歩きながらも、体は上海・東京・名古屋・大阪を転々・・・ま、焦らず急ぐですね!

さて、本題の英語の話です。中国語専門の会社が英語に言及するのもいかがなものかと思いますが、昨今のグローバル人材育成等を考える時、中国語研修の位置づけを決めるためには、まずは英語を解決しなければなりません。英語が万能だからと中国でビジネスができるわけではありませんが、中国でビジネスをしていると英語が必要になる時が多々あります。実際、韓国・中国の若い世代は、高い英語力は普通に有しています。

そんな折に、ある企業が「社内の公用語を英語に」とぶち上げ、社長も英語で話し始めたようです。トヨタ自動車のリコール問題で社長が英語で説明したり、海外の投資家に対して英語でのIR活動が必要になったり、遅ればせながらも小学生で英語が導入されたり、確かに英語の必要性は随分前から叫ばれてきました。

最近の新入社員の方々は、さすがに学生の頃から必要性を理解しているのか、TOEICでも600点平均以上は揃えて入社してきます。今の小学生が入社する頃には、わざわざ強制しなくても英語が社内で飛び交うかも知れません。が、しかし、問題は私も含めた40代、さらにその上の50代の、いわゆる働き盛り、仕事のできる年齢層は、英語ぐらい当たり前でしょう!と言われて、電車の中で涙ぐましい努力をするものの、その英語力だけで、仕事力を判断されてはたまったものではないのでは?そもそもビジネスにおいて、英語をどの場面でどのように使うべきか?語学の目標設定も、場所(国)、業務内容、立場、力関係によって違ってきますし、明確な指示やメッセージを出すべき立場の人間が、不得手な外国語で説明などしようものなら、事業の命取りにもなります。

語学力より仕事力、されど語学が必要なことは、2008年5月10日のブログにも書きました。そもそも、公用語にすると言う事は、ネイティブレベルで意志疎通をする必要があるわけで、TOEICで言えば850~950点は必要なはず、それ以下の語学力で仕事をしたら・・・肝心な仕事が2~3割はレベルダウンするのではないですか?

私の考えですが、日本人として用意しておくべき英語力は、まずはTOEIC600点で十分です。赴任やでミッションで必要レベルが上がっても、このレベルからなら短期で育成ができます。貴重な研修費用を、無謀な英語教育につぎ込まないよう、公用語を叫ぶ前に、世界市場を想定した場合の、仕事力とは何かを分析すべきです。

「中国人富裕層」がらみの詐欺にご注意!

2010-07-29 20:39:01 | 中国
中国の富裕層・・・と言うテーマのニュースは、観光客、不動産投資、企業買収など、様々な分野で日々取り上げられます。実際、今の日本の経済力では、中国マネーに頼らざるを得ない状況の産業も多いのは事実。一昔前は、アメリカの映画会社もロックフェラーも、JAPANマネーが買い尽くしたわけで、ま、いつか来た道ですね。

そんな中、中国とのビジネスに関わる人間の端くれとして、どうしても許せないのが、中国人の富裕層をキーワードにした詐欺!もちろん、詐欺はだまされるほうが悪いと言ってしまえば、警察でもない私に余計なことを言う資格はありませんが、心優しい中国人の友を持つ立場からも、彼らの同胞の中国人をネタにした詐欺は腹立たしい限りです。

実際に私も勧誘を受けた手口がざっと以下の通りです。(騙されなかったので犯罪とは言い切れませんが・・)

・中国のビジネスに興味がないか?御社のような企業こそ中国で成功します・・・などと突然勧誘の電話!

・超有名人の名前や、有名ブランドが後ろ盾にいるかのような壮大な事業計画が登場!

・政治家、資産家、超大金持ちの中国人富裕層のネットワークに参加できる権利を貴方に!

・つきましては、200万~500万のお金が必要。ビジネスが始まればそんなものはすぐに回収できると豪語。

よく似たビジネスがあって、真面目にやっている企業があれば申し訳ないのですが、このような勧誘の窓口は、ホームページも公開していなかったり、壮大なプロジェクトの割りにはマンションの一室が事務所だったり、電話の口調は丁寧なものの突然馴れ馴れしくなったりします。

基本的に、中国では(中国に限らず)、本当の富裕層はリストになんて絶対載りません。リストになった瞬間に一番活用したくなるのが、犯罪者だからです。中国の富裕層は、見かけはお金のないような格好をわざとしたりするケースがありますが、私のようなベンチャー企業に電話をかけてくるような事務局が主催するパーティーになんぞ、絶対参加してくることなどありません。

富裕層と言う、経済厳しき日本で誰もが手を出したくなるようなワードを使って、これからも詐欺は増えていくことでしょう。富裕層のリストあります!と言った瞬間に「怪しい!」と思うべき・・・それが自然な判断だと思います。もちろん、私個人の意見ですので、一攫千金を狙う方には、それぞれの判断もあることでしょう。

多少の危険を承知でブログにしてしまいましたが、真面目にやってる方には読む価値もないブログですね。


「海外で働くのは嫌!」・・・それはそれでいいのでは?

2010-07-28 20:37:57 | 中国
産業能率大学の調査によると、新入社員のうちで海外で働きたくない人は49%、ほぼ半数と言うデータがでたようです。人材のガラパゴス化と言う文字が躍りました。一方で、どの国でも働きたい人は27%、これも4人に1人以上はいると言うことですから、非常に期待が持てます。

今年の春の新入社員向け、上場企業の社長挨拶のほとんどに、「国際化」「グローバル人材」「ダイバーシティ」などの文言が盛り込まれたように感じましたが、前回も書いたようにように、「グローバル」はさておき、「海外」と言う言葉自体が、ある意味、島国日本の特徴的な言葉なのかも知れません。

考えてみると、江戸時代以前は、古くは遣隋使、遣唐使など、頻繁に外国へ渡った日本人は多いわけで、島国だからと言って、決して閉鎖的な国ではなかったと思います。英国じゃないですが、島国ほど海の外へロマンを求めて旅にでる・・・いにしえの日本人はそのようなテンションだったのでは?

ただ、残念ながらと言うか、奇跡的というか、江戸時代の鎖国は300年近く続きました。世代で言えば、6世代も回転してしまったわけで、遺伝子学には詳しくはないですが、さすがにDNAもかなり書き換えられたのでは・・・そのような鎖国が終わるや否や、今度は黒船だ!開国だ!富国強兵だ!そして戦争へと突っ走り、いくつかの勝利を収めたと思いきや、米中に敗戦・・・けっこう傷だらけの近代史です。アメリカへの憧れに似た模倣のおかげで、高度成長期を謳歌するも、21世紀に入り、中国にも抜かれる始末・・・冷静になる暇がありませんね。

鎖国で書き換えられたDNAは、そう簡単に戻るものではないのかも知れませんが、開国からもそろそろ140年は経ち、3世代は入れ替わったわけで、どこの国でも働きたい人が、4人に1人はいるのも頷けます。当然、海外で働くのが嫌な人も、まだ半分ぐらいいてもおかしくない・・・日本の人材を卑下することはないと思います。

海外で働くのが嫌な人は、それはそれで誇りを持って、日本の市場を盛り上げ、技術を高め、世界と対峙していけばいいですし、実際、現在は、海の外へ行かなくても、海の外から多くの人がやってきます。そこでビジネスを育んでいく機会はたくさんあります。何でもかんでも海外に行くのがいいとも思いませんし、むしろ、日本の市場に将来性がないからと、逃げ出すような海外進出をしても、どうせ失敗するような気もします。

急にまとめますが・・・・海外か国内かではなく、そこに「境界線(ボーダーライン)」がなくなっていることに対して、「気づき」、「感じ」、「対処する」・・・ただ、それだけのことなのかも知れません。

和歌山、そして奈良を訪ねてきました!

2010-07-25 20:36:40 | 中国
この週末を利用して、私の地元の和歌山と、遷都1300年で盛り上がる?奈良を訪ねてきました。今回は、本来の中国語研修業務に加えて、主に週末を利用して活動している観光コンサルティングの一環です。和歌山については、2009年12月25日のブログで「和歌山市チャイナタウン計画」をぶち上げたことがあります。

残念ながら現在の和歌山市は、最大の繁華街「ぶらくり丁」もシャッター街と化し、県庁所在地ながら人口は40万人を下回り、この街で18歳まで育った私としては、悲しいばかりです。が、実は関西空港が、和歌山空港と呼ぶべきロケーションにあること、和歌山市からは南紀白浜まで高速道路が延びたこと、白浜空港からは羽田線が飛んでいること、南紀の観光地「熊野古道」が世界遺産に指定されたことなど、メリットはいっぱいあります。

そんな和歌山市を軸に、リピーター向けの観光ルートとして、関西空港IN⇒和歌山市⇒南紀観光⇒白浜空港⇒羽田空港⇒東京で買い物⇒成田(羽田)空港OUTのコースを是非是非お勧めします。さらには、和歌山市に中国企業、中国進出の日系企業も誘致して、ここをアジア(中国)の玄関口にする。。「毎度」と「你好」が飛び交う街・・・中国との共存を図ることで和歌山を活性化する、それが私の「和歌山市チャイナタウン計画」なのです。

現在、日本の観光・レジャー、飲食、百貨店など多くの業種が、内需だけでは成り立たず、海外、特に中国からの観光客に期待しています。漢和塾のある銀座の街角では、常に中国語が飛び交っていますし、各地で大手旅行会社、旅館の代表、観光コンサルティングを名乗る人物が、中国人を取り込む秘訣なる講演をしています。一般的には、中国人は食事を期待していない!買い物に夢中だ!忙しい行程でもより多くのものを見たい!と言った話を耳にしますが、現実は様々です。数%のリピーターでも、総人数に掛け算をすると大きなマーケットになったりもします。和歌山INの羽田OUT・・・一見難しそうなプランも中身を充実させれば、必ずやリピーターの穴場になれると思います。もちろん、その前に、受け入れ体制の充実、市場の細かい分析が必要ですが・・・

日曜日には奈良に向かいました。奈良の観光地を巡るのは、小学校の奈良遠足以来でしょうか?東大寺の大仏殿、興福寺の五重塔、緑が鮮やかな若草山・・・この一角は、寺社仏閣を見飽きた中国人でも、心を動かすものがあると思いました。京都から30分で行けてしまうことも、意外に知られていないのではないでしょうか?

ただ、遷都1300年を記念して設けられた平城宮跡・・・この官製の広場は期待が大きかった分、がっかりでした。炎天下に空き地のような場所を、無愛想な警備員に促されつつ歩くだけ・・・入場無料とは言え、何の工夫もホスピタリティも感じられません。この場所には、外国の観光客をお連れする気にはなれませんでした。有料でもいいので、その対価に見合う成果を出さないと・・・なんだかいつもの仕事の話に逆戻りした真夏の週末でした。