中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

現地化を進めるべき会社、進めるべきでない会社!

2010-06-29 23:05:21 | 中国
今日の新聞にも、大手メーカーの現地化、つまり、中国人を現地法人のトップに据えると言った文字が躍っていました。いつぞやのブログでも、現地化を進めるその前に・・・的なコメントを書きましたが、この論点は、「日本企業がみなそうすべき!」と一括りにしてしまっては、非常に危険なことだと思います。

昨今の中国人社員のストライキの話なども受けてか、現地の社員のやる気を出すために、中国人を社長にする・・・と言った論調もあるようですが、そもそも、日本であろうが、中国であろうが、社員がやる気の出せない仕組みになっていることのほうが問題で、その原因を解明せずして、中国人をトップに据えたからと言って、本質が変わるわけではないと思います。

最近のコメントでもふれたような、300人の中国人を日本人一人でマネジメントしている総経理のように、会社トップとメンバーの信頼関係が築けている場合は、現地から後任を登用しても、思いは引き継がれていくでしょう。やる気が出ない原因は、日本人が管理職だからではなく、その管理職がマネジメントをしていないだけではないでしょうか?給料に見合った働きをしろ!と新人によく言いますが、管理職のそれはもっと厳しいはずです。

現地化が比較的スムーズに行く業態と言うのもあります。例えば、コカコーラの原液は、コカコーラにしかなく、そのブランド力を利用した販売網を確立していけば、外国企業がそのままコカコーラの代理店にもなり得るパターン。あるいは、圧倒的競争力、ブランド力のある商材においても、それを販売するネットワークさえ構築できれば、その会社が日系である必要さえありません。つまり、ブランド力と圧倒的な商品力がある場合です。

ただ、今まで生産管理中心だった企業が、中国を市場と見て販売に切り替えた場合、まずはどのようなマーケティングをするか、信頼してくれる販売代理店などネットワークをどう構築するか、と言った段階においては、日系企業であれば、自社の特性を一番熟知した人材が、時間と熱意をこめて中国人の心をつかまなければなりません。何よりも先に、現地の中国人社員の心がつかめないことには、その先の現地化は多くの危険を孕みます。

いずれにしても、日本ではにわかにグローバル化が叫ばれていますが、この現地化の話も、国内と海外と言う隔たりを前提に議論している気がします。欧米ならまだしも、中国に赴任に行きたいですか?住みたいですか?と問われて肯定する人はまだまだ少ないのが現状ではないでしょうか?世界のどこに拠を置いても、日本の企業である自社の製品やサービスを世に広める・・・まずは、心の鎖国を解かなければならないような気がします。


中国人向けマナー研修・・・ちょっとその前に!

2010-06-27 23:03:20 | 中国
先の北京出張で、レストランの対応のいい加減さを目の当たりにはしましたが、さらにサービス業の競争の激しい上海では、日本料理店に限らず、サービスレベルは向上しているように思います。タクシーの運転手も、当たり外れはありますが、相対的に親切な方が増えた気がします。中国に長く駐在している銀行マンの話によると、最近は、飲食関係の中国人経営者も、サービス向上を意識していて、日本の航空会社を退職したスチュワーデスを講師に招いて、マナー研修を導入しているとのことです。

ところが、帰国の便で、ちょっとやるせない出来事に遭遇しました。搭乗したのは、日系の航空会社。虹橋空港でパソコン作業をして、いよいよ搭乗と言うことで、電源をオフにして乗り込んだつもりでした。機内に座り、離陸前の時間帯に、ふとパソコンの電源が切れていないことに気付き、離陸するまでに何とかしようと操作していましたが、どのソフトが引っ掛かったのか、なかなかシャットダウンできずにいました。(強制終了も避けたくて・・・)

その時です。年配の、多分チーフと思われる客室乗務員の女性が後ろ斜め後方から近づいてきて、「お客様、パソコンは機内では使えません・・・」と始まり、申し訳なく思っていた私が、「ええ、まさに切ろうとしています・・・」と言いかけるのも待たずに、「パソコンは、上空に行きましたら使用することができますし、どうしてもお使いになりたいようでしたら、待合室に戻っていただければお使いになれます・・・」と矢継ぎ早に説教されてしまいました。待合室って・・・もうすぐ離陸でしたし、それは降りろと言うこと?人の様子もろくに観察せず、まるで、初めて飛行機に乗った無知な人間に諭すかのようなその口調は、『丁寧語で侮辱された』ような気分になりました。

しばらく屈辱的な気分でしたが、私にも非がありますし、離陸後は気を取り直しました。ふと、隣の席を見ると、並びで席がとれなかったのか、子供連れの親子のもとに、後ろの席から別のお母さんが子供の様子を見に来ていました。ならばと席を譲り、私は、2,3列後方の席に移動しました。先ほどのスチュワーデスが、作り笑顔でお菓子をその家族連れにサービスしていましたが、移動したことなど気づかぬ様子。さらに、しばらくして私のもとにビニール袋に入ったスポーツ新聞を差し出すので、「何ですか?」と尋ねると、「先ほどお頼みになりませんでしたか?」と言われ、さすがに憤慨して突き返してしまいました。申し訳ないですが、あれだけパソコンの注意をし、子供のお世話をしていた並びの席の面子くらい、サービスのプロなら覚えててもよさそうなものですが・・・

その場で直接意見を言わず、ブログで書いている私もどうかと思いますが、ベテランとおぼしき彼女の顔には、少し傲慢な相を感じてしまい、機内でお互いこれ以上気分を害することもないので、マイケルを見てました。

マナー研修とはなんぞや!と自問自答するいい機会になったとともに、スタッフ一人の態度で、会社全体への印象がこうも悪くなるものかと、自分自身の会社やスタッフのことに置き換え、身が引き締まる思いでした。


周傑倫(J-ZHOU)のコンサートに行って来ました!

2010-06-26 23:00:32 | 中国
河北省、北京から戻り、すっかり仕事の波に飲み込まれて、ブログさえ手に付きませんでしたが、今回の11日の出張は、あっと言う間に終わってしまいました。上海世博会にも行けないままでしたが、そんな中、25日金曜日の夜、かねてから親しい知人に予約いただいていた周傑倫の演唱会に、その方と一緒に行ってきました。

いつぞやのブログで、日中カラオケコンクールのことを書きましたが、その時に歌唱賞をいただいた曲が、周傑倫の「七里香」で、日中問わず、カラオケでは、8割方は彼の曲を歌っています。ルックスは別にして、美しい旋律のバラード、古典的な作品、さらにはラップなど多様な音楽を生み出すアーティストです。

会場は、野外の上海体育場で、地下鉄1号線に乗って会場に到着したものの、入り口がなかなかわからず時間を潰してしまいましたが、無事開演までに入場。入場チェックはありましたが、カメラ付携帯が制限されるわけでもなく、人によっては、けっこう性能のいい動画兼用カメラでひたすら撮影している人もいました。

最初の曲は「龍戦騎士」、お気に入りのナンバーで、胃腸や骨に響くようなベースとバスドラの音で始まりました。チケットは、前から5番目のはずでしたが、なぜかその前に10列もあり、どうやらVIP、関係者の席のようで、その乗りからは、あまりJ-ZHOUに興味のない人が座っている気がしました。そのおかげか、会場は、曲が始まるや、総立ちどころか、椅子の上に立っていると言うのに、私どもの前の空間だけは、皆おとなしく座っていまして、後半以外は、椅子に座ったままでいることができました。開場までは時折強く振る雨模様でしたので、ビニールの河童を5元で買いましたが、ほとんど使わないままに終わりました。

上海に来る機内で、マイケル・ジャクソンの『THIS IS IT』を見たのもあって、バックダンサーにも目がいきましたが、やはり厳しい競争を勝ち抜いてきたプロが完璧な演技を見せていました。Jの曲も声も、もちろん最高でしたが、演出、音響、証明、演奏、ダンス、コーラス、さして混乱もなく誘導していた会場スタッフ、全員の力が結集して最高のステージが出来上がる・・・結局、帰りの機内では、また『THIS IS IT』を見てしまいました。

それにしても、私たちの席は一生の記念にと一番高い1,680元の席をとりましたが、まわりは80后、90后ばかり、ダフ屋等で安く仕入れているとは言え、万単位のチケットが飛ぶように売れる・・・日本の同年代と比べて旺盛な消費欲、もちろん親のお金で来ている人も多いとは思いますが、少し前の中国を知る人なら、「いい時代になったものだ・・」と呟くことでしょう。ちなみに、若い人が多い割りには、カーテンコールは揃わないし、いまいちパワーがなく、結果的に一番声を出していたのは、40代の私たち日本人二人だったのかも知れません・・・・

北京から河北省の保定に入りました!

2010-06-21 22:58:22 | 中国
うだるような暑さの上海を日曜日の朝に出て北京に入り、今日午後に、人生初、河北省の保定に入りました。保定には、現地合弁企業へ赴任したお取引先がいらっしゃって、今回も現場の声を聞くべく訪ねてみました。

北京からは「和諧(新幹線)」でわずか1時間、車だと高速で2時間半程度、河北省と言えば、北京周辺の田舎町のイメージがありましたが、車窓からの一部の風景は別にして、辿りついた保定市は、決して垢抜けてはいませんが、それなりの都会で、広い道に新車が走り、高層ビルこそ少ないものの、大型のマンションが続々と建設されていて、持参したビデオカメラには、春に行った湖南省・株州と、上海・浦西のダウンタウンをあわせたような映像を納めることになりました。2,3年前には渋滞など考えられなかったようですが、今では時間帯によっては道路も混みます。が、信号待ちの車に物乞いのおばあさんが寄ってきて窓を叩いたりする風景にも出会いました。

そんな保定で暮らす駐在員の方に、またまた色々インタビューをしてみました。保定の印象は、まずは思ったより治安がいい、地元の人は素朴な人が多い、日本料理は一件しかないが、料理でそんなに困ることはない、北京と比べると田舎ではあるが、何をするにしても選択肢があまりないだけに、自分を見つめ直すことができる・・・との意見を頂戴しました。特に最後の自分を見つめ直すという意味では、読書に励んだり、語学を磨いたり、自転車を買って町中を散策したり、忙しい仕事の合間を有意義に過ごされていると多くの人がおっしゃってました。

実質、1社グループの駐在員11人程度しか日本人はいない町ではありますが、皆それぞれ工夫していました。困ったことはないですか?との質問にも、水が出ない、タクシーが遠回りする、社員がすぐやめるなど、びっくりすることはたくさんあるようですが、「目の前の出来事を面白いと思えれば、別にどうってことない!」とのコメントもいただき、異文化理解などを語る以前に、これこそが海外赴任の大前提だとあらためて思いました。

前日の北京では、王府井から前門までのワンメーター程度を、30元払うなら行ってやる!とタクシーに言われて逆上したり、あきらかにやる気のない定員ばかりの「桂林人」と言うお店で店員を睨みつけてみたり、日本と違う、あるいは自分の価値観と違う出来事に発狂しそうになっていた自分自身を深く反省しました。トラブルをトラベルだと楽しんでみたり、ひどい態度の人には、きっと悲しいことがあったんだと慈悲の心で接してみたり、何よりも自分自身の人生が少しでも前に進んできることさえ実感できれば、どの国でも、どの仕事でもやっていけるのかも知れません。上海とはまた違う北京の問題点が発見できただけで、この出張は楽しいものに違いありません。

明日は北京から上海に戻ります。駐在員の方の貴重な言葉を胸に、疲れた体を労わりながら頑張ってみます。

あらためて感じる・・・「早送り」の上海!

2010-06-20 12:56:27 | 中国
もう土曜日です。水曜日の夜に上海に入り、あっと言う間に週末になりました。

日中は32~34度の暑さ、梅雨入りした上海のようですが、雨が降る以前に夏が到来しています。この暑さの中で、スーツにネクタイを締めて歩いている人はほとんどが日本人ですが、それはそれでビジネスモード全開になったりして、道行く中国人がたまに不思議そうな視線をくれることがあります。

上海にはこの1年で10回、100日程度は来ていましたが、いつも嘆くように出張族はただのお客様、観光客みたいなもので、今回も2ヶ月強、間があいてしまうと、この街の空気に慣れる間もなく、時に流されていきます。久々に見た上海、世界博覧会にも行けてませんが、一時は空いていた会場も、端午節には1日55万人くらいの来場者があったとか・・・会場には入れるものの、パビリオン一つ見るのも難しいと言った話もききます。「上海万博」のネタをブログ(博客)で書いておきながら、1回も入場していないのもどうかと思いますが、今からは北京、保定に移動したり、26日までの日程で、どう考えても行く暇は見つかりそうにありません。

こちらでは、引き続き上場企業の方(赴任者)を訪ねては、現地の方ならではの悩みや意見をお聞きしています。中国語を使う場面と言うのは、日系企業で日本語の話せる社員を採用している場合は極端に減るようで、ここ中国ではありながら、中国語でのコミュニケーションはまだまだ一部に限られる企業も多いようです。が、ある駐在員の方は、そんな環境の中、夜のお食事(カラオケ?)でさえ、大事なスピーチの練習を中国語でしていましたし、信頼関係の構築と言うレベルにおいては、最低限の中国語は誰しもが必要でしょう。

また、あるマネージャーは、300人強の中国人スタッフを、日本人たった一人で束ねている(表現が悪いか?)のですが、中国人管理職には非常に厳しい態度で、「仕事」の要求をして、何度も泣かせたとの話をお伺いしました。されど辞める人はほとんどなく、理詰めのマネージメント理論に加えて、日頃の信頼関係の構築ができているのが秘訣のようです。ある会社では、「日本人がこう言っています・・・」と報告した中国人の部下がいたそうですが、「総経理が言ってます・・・ならまだしも、日本人が言っていますなどと言われた時点でマネジメントになっていない!」、との指摘もいただきました。中国人マネジメントについては、別途、文量を割きたいと思います。

私においては、中国語研修会の代表のくせに、半端な会話ぐらいしか話せない有様で、仕事の合間に勉強するぞ!と来週日曜日に迫った中国語検定試験の過去問題集まで、スーツケースに詰め込んできたのですが、まだ一度もそのページを開くこともできません。現地に来たのに現地のスタッフとの時間もままならない・・・この文章もネット環境にあるわずかな朝の時間を使って書いていますが、早送りのような中国の生活の中ではありますが、まずは落ち着かないと!落ち着かないと!と焦っています。ん、飛行機に間に合うかな?行ってきます!