中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

百聞は一見にしかず!されど、百見は一部に過ぎず!

2010-05-30 12:44:14 | 中国
書店で本の衝動買いはよくしますが、久々にある本を買って読んで後悔し、日曜だと言うのに、かなり気分が悪くなっています。米中と日本の今後の関係を述べた書籍で、著者は、1930年生まれの論客と、1969年生まれのネット専門家。世代の対比で対談形式は悪くないですし、そもそも書籍で、誰が何を言おうと関係はないのですが、それなりの権威に弱い風潮のある今の日本では、それなりの権威の人はもう少し勉強して欲しいです。

中国を語る「いわゆる専門家」は、今年に入ってさらに増殖したように思えます。年に1度しか中国に行かないような大学教授が中国異文化論を語り副業にしてみたり、ネットの情報を鵜呑みにして「中国では実は大変な事件が起きている!」とリークする人など。もちろん、中には講演を依頼したら、「私は年間できるだけ多くの機会を、学生と一緒に中国に行くことに費やしたいので、講演は遠慮したい!」と言った大学教授がいましたが、これこそ本分と言えるでしょう。

この書籍でも、ネット専門家とやらが、中国は100円でタクシー乗り放題、偽札が6割と平気で活字にしています。ゴシップ誌なら、面白おかしく誇張するのはいいでしょう。ただ、日本の今後を語るくらいの大きな話を世に出している割には、あまりにも勉強不足ではないでしょうか?もちろん、経済や金融などそれぞれに秀でた人が、外交やましてや変化の激しい中国の今を把握することは難しいでしょう。1度でも見たり聞いたりしたことが、「貴方にとっての中国になる」ことは、以前、私の妻の中国嫌いでコメントしましたが、このような稚拙な分析に対して権威あるはずの論客も一緒になって「中国は日本にすがるしかない・・」的なことをおっしゃてますし・・・

かく言う私も専門はビジネスマンの中国語スキルアップであり、中国ビジネスにおいては専門家ではありません。昨年は結局、10回の出張で100日以上は中国を見てきたつもりですが、語学の研修会社としては、現場も見ずに文法だの聞き流すだの言ってるよりは、語学を何のために使うべきかを目の当たりにして、実用的なご提案ができるかと思います。が、こと実際の中国ビジネスで成功できる糸口も、中国で今何が変化しているかも、たまの出張では何一つ理解したうちに入らないと焦っています。ゆえに情報収集をまめにして、しかもその情報を鵜呑みにせずに、自分なりの仮説を立てる・・・年に100日の出張は、その検証のためなら多少役に立つでしょう。

一度も見たことがないのはさすがに論外ですが、100回見ても中国のたった一部でしかない・・・

さらに、上海にいるからと言って、中国全土のことが逆にわからなくなることもあります。が、ろくに検証もせずに決めつけの情報を垂れ流すのはいかがなものでしょうか?また、中国ビジネスのことを知りたい素人(私も含めて)に、ろくに今の中国を見たこともない人が講義などするのはいかがなものでしょうか?

これから、数年ぶりのライブのリハーサルだと言うのに、熱くなってしまいました・・・・

退路を断って・・・中国に乗り込む企業戦士!

2010-05-27 12:39:43 | 中国
いつもお世話になっているクライアントの課長が、この夏から中国に赴任することになりました。彼は、5年以上前にも中国駐在の経験があり、現在でも月に一度の出張ベースで中国には行っておりましたが、今回の辞令は、中国のある子会社の社長として乗り込むのですが、「退路を断って・・・」と強い覚悟を語ってくれました。

上記の例のように、大企業の課長クラスでも、現地の社長、つまり経営者になることはよくあることですが、彼の場合は、中国への留学制度、駐在、出張の経験があり、課長と言えど、こと中国ビジネスについては、社内でも抜きん出た実力の持ち主。もちろん「仕事力」のある方です。これくらいのキャリアを持ってしても、中国での経営、つまり「総経理」を任されることは、「覚悟」のいる話なのだとつくづく思いました。

過去を指摘するつもりはありませんが、一般論として、今までの中国赴任と言うと、会社の命によって、突然白羽の矢が立ち、「聞いてないよ!」と言ってる暇も、語学や中国ビジネスの準備の暇もなく、「とりあえず3年」と言われて赴任した人も少なくありません。1年目は異文化の嵐で混沌、慣れた2年目には課外活動に没頭、3年目には帰るべき本社のポストが気になる・・・と言った笑い話も、現地中国人社員の口から出てきたりします。実際、「どうして日本は使えない上司ばかり送り込むの!」と激昂していた女性社員も・・・

最近こそ3年が5年になり、また、前述のような「いわゆるエース」が中国に送り込まれるようになりましたが、日本では課長・リーダークラスの立場から、現地ではいきなり総経理、つまり経営者になるわけです。起業してたかが5年の私の経験からも、「社長」の大変さは尋常でなく、ましてや競争激しい中国で・・・身震いがします!

ある企業では、残念ながら中国赴任に自ら名乗りを上げる人が少ないとのこと。そもそも赴任や、任期と言う考え方がそぐわないほど、日本の会社であっても、いったいこの先、どの国で自分の給料を稼ぐかを考えれば、中国やインドを拠点に活動する日本企業、そして日本人はどんどん増えていくことになります。この課長のように、熱い思いと、しかるべきそれまでの準備と経験があれば、必ずや成功して、近いうちに中国発で日本企業を世界に発信する人物になるのかも知れません・・・

さてさて私は・・・?上海現地法人のスタッフに冗談で、「社長は月の半分以上、バカンスみたいですね!」と言われ、現地でも経営者であるにも関わらず、たかが100日、10回程度しか中国で活動していない事実を思い知らされました。中国進出2年目が終わるこの秋、私もそろそろ退路を断つ時期がやってきたようです・・・・




政令指定都市「岡山市」と湖南省「株州市」

2010-05-25 22:15:40 | 中国
突然、なぜ岡山かと言うと、現在は、岡山は水島からの帰り道。新幹線の中で、缶ビールと竹輪などをほおばり、パソコンに向かっています。東京の事務所に着くのは22:30過ぎ、今日は自宅(千葉)に帰れるでしょうか?

ふと、思うことですが、700系のぞみの電源はありがたいのですが、窓際に一つしかコンセントがありません。さてさて、これは誰の権利なのでしょう?予約する時は、仕事がら30分遅くとも、700系の窓側を予約します。となれば、当然、窓側のコンセントは俺様のもの、誰かが使っていようものなら、「これは私のコンセントだ!」と叫びたくなります。が、逆に、急ぎの用事で通路側しか予約できなかった時はどうか?「いったい誰が、このコンセントは窓側のものだと決めたの?ん?追加で料金でも払ってるの?」と抗議の姿勢にもなります。JRの規約など細かいことはわかりませんが、ここは一つ、譲り合いの精神が必要なのかも知れませんね。

話は脱線しましたが、岡山へはクライアントの水島工場でも中国語研修のニーズが高まり、今回ようやくこれは!と言う人材(中国語講師)にめぐり合えたので、研修のアテンドにいってまりいました。地方都市では、確かに中国人で日本語を話せる人は多数住んでいますが、東京周辺でも大変な「優秀な講師」には、なかなか出会えません。が、地方拠点とて、しかるべき教育水準は必要なわけで、日本横断で発掘に駆け巡っています。

前泊した岡山の夜は、遅くに到着したにもかかわらず、久々に街に繰り出してしまいました。もう、9年以上前になりますでしょうか?リクルートの「じゃらん」の仕事で、岡山拠点に、鳥取、島根、広島、四国4県の旅館、ホテル、ペンションを、月~金ほとんど出張で駆け回っていた頃が懐かしかったのもあります。飲み屋街も忘れてしまい、乗り込んだタクシーの運転手に案内をしてもらいましたが、ふと「政令都市岡山」の話になりました。

日本の政令都市はすでに19市になりますが、てっきり人口100万人以上は必要と思っておりました。が、近年制限が緩和され、岡山は70万人でなった模様。「何か変わりましたか?」と運転手に尋ねたところ、「議員の給与が増えただけですかね!」とポツリ。月曜日と言うこともあり、繁華街の人手はポツポツ。「景気が悪い・・」と言うフレーズは、ここ数年、日本各地のツイート(つぶやき)みたいになっています。

ふと、この春に訪れた湖南省は「株州市」を思い出しました。十数年前3万人だった人口が、90万になり、街には人が溢れ、ライトアップに花火まで・・・中国の100万都市は、300に迫る勢いですが、日本のそれは制限緩和・・中国資本の外資系が増えるのも道理ではあります。ここはひとつ、「量より質」と言いたいところですが、サービス面で誇りであった日本も最近はレベルが落ちているかも・・・私自身も襟を正して生きたいと思います。

「貴方の上司は中国人?」中国企業のM&Aが加速・・・

2010-05-23 21:15:31 | 中国
日本の上場企業が中国企業の傘下に・・・・と言うニュースが飛び込んできました。すでに大手家電量販店が中国企業の傘下になっていたり、中国企業のM&A、つまり合併(Mergers)と買収(Acquisitions)は、今後も増加の一途を辿ることでしょう。明日あたりからまた、大マスコミを中心に、「中国資本の脅威・・・」的な報道が展開されるのでしょうか?

ただ、ここで思うことは、中国企業であれ、欧米企業であれ、外資には違いないのに、欧米資本の外資系に入社することのほうがステイタスになっていたりします。が、世界経済の軸が欧米から中国にシフトした現在、中国資本の「外資系企業」がどんどん増えても不思議ではありません。経済のパワーバランスの問題なのです。

最近、このブログでマスコミ批判的なコメントが多くなっていますが、日本がアメリカの植民地かと思えるほどの偏った報道をする局は、世界地図の上で大きな変化が起こっている事実を認めたくないかのように見えます。ある中国人がロンドンオリンピックのマスコットを見て、「どう見ても鬼太郎の目玉おやじにしか見えないのに、ロンドンだからあまり騒がないのね。きっと、中国のマスコットがあれだったら大騒ぎね!」と言っていました。

戦後のアメリカとの関係を前進させることは至難の業です。されど、世界の潮目を読み取る能力も必要です。日本の企業同士でさえ、体力、競争力強化のためにM&Aを加速しているわけですから、中国を軸にした世界経済(CHINABAL)において、中国企業や中国人が、パートナーや投資家であっても、何ら不思議ではありません。重要なのは、現実を受け止めること、分析すること、理解すること、そして行動することでしょうか?

異文化コミュニケーションだとか、グローバル人材の育成が叫ばれていますが、男女においても、世代においても、異国においても、現実を受け止め、分析し、理解し、行動することができるかどうかが必要な資質だと思います。日本で仕事ができる人は中国でもできますし、日本で売れない人が中国で売れるようにはなりません。

また、「理解」を語る上で、最低限、相手方の言語を理解しようとする姿勢が結果的に重要になってきます。

海外赴任、出張だけではなく、日本国内にいながら中国人、中国企業との接点が増えていく中で、中国語の必要性が高まるのは間違いないでしょう。ただ、言葉以前に、物事の本質を見極めることが重要だと思います。意図的に偏ったネガティブ報道に流されないように、されど中国の市場がおいしいからと浮かれないように・・・・

冷静かつ情熱的に、中国、そしてアメリカとの対等な関係を構築していきたいものです。



社内の中国人に中国語を習うべきか?

2010-05-22 17:59:46 | 中国
べきか、べきじゃないか議論する話でもありませんが、このところの歪みながらも大量なマスコミの中国報道のおかげで、猫も杓子も中国進出、中国人の観光客に期待、そしてこれからは中国語・・・と言った話題を耳にしない日は一日たりともないのではないでしょうか?お蔭様で、弊社も急がしくはさせていただいておりますが、何が胃を痛めているかと言うと、なかなか「この人に習いたい!」と思える中国語講師の少なさでしょうか?

弊社の採用基準は、講師の実力テストである「中国語教育能力検定」で基準点をクリアしていることが最低ラインです。教えることと、話せることが違うのは、皆様、日本人が全員、外国人に日本語を教えることができないのと同じ話です。習うより慣れろ!でいいのなら、学校なんぞに通うより、彼氏や彼女を見つけたほうがいいと言う意見もありますし、現地に飛び込めばなんとかなるとの主張も、決して間違ってはいません。

ただ、私ども(漢和塾)が対象にしているビジネスマンは、習うより慣れろと言われても、時間も機会も圧倒的に足りません。そもそも、【business】という単語は、【busy】の名詞形なわけで、優秀な社員は忙しいのです。

※もっと優秀になると、忙しいように見えないのに膨大な仕事を片付けますが・・・

冒頭の「社内にいる中国人に中国語を教えてもらおう!」と言うのも、中国語の必要性や利便性からか増えているようです。ここで問題なのは、まず、ビジネスマンが講師に期待すべきことは、学習のコツ、ポイントの整理です。これには、母国語を客観的に理解し、噛み砕いて説明する能力が必要です。弊社の検定試験には、過去5年間で500人以上の中国人が受験してきましたが、その9割が中国語を誰かに教えた経験がありながら、採用に至ったのはわずか50人です。学歴や意欲は高い人が大半ですが、いざ教えるとなると、そのスキルを専門的に磨いていない限り、忙しいビジネスマンには教えることは、そう容易いことではないのです。

そしてもう一つ、社内にいる中国人の方は、何のために採用したのでしょうか?何をしたくて入社してきたのでしょうか?本来、技術力など仕事力があるから採用された中国人社員に、ついでに中国語を教えて欲しい!などと頼めば、本当に優秀な中国人なら憤慨するのではないでしょうか?

前回のブログで、ネイティブや語学学校不要論について書きましたが、実際問題、あまりにも軽々しく教育に携わる中国人講師や日本人経営者が多すぎる・・・もちろん、人それぞれ!私が勝手に胃を痛めているだけです。