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定年 再就職とシネマの日々(旧かんちゃんSr.のオヤジな日々)

あと3年で70の大台です。再雇用の職場も定年、パート仕事をしています。映画と写真を愛しているオヤジです。

せかいのおきく

2023年06月20日 21時12分00秒 | 日記

いま流行りの言葉で言えば、サーキュラー(バイオ)エコノミーが、わが国では既に、江戸時代にあったという話です。

おわい屋(糞尿汲み取り)の2人と
武家の娘(おきく)が主役。全編モノクロの時代劇、カラーならば糞尿シーンの連続だから、かなりダーティーな映像になったに違いない。

「せかい」とは何か?おきくの父曰く「はてしのないもの」。おきくが教える習字教場がある寺の住職曰く「あっちへの方へ向かって行ったら、やがて必ずこっちの方から戻って来るもの」。
意味不明だが、住職の言が何となく言い得ている。

ズバリものを言うおきくが、声を失ってから、自分の思いを伝えられないもどかしさ、それを見事に演じた黒木華の本領を見た。

前半おきくが住む長屋のシーンにてモノクロ映像の中、一瞬おきくの着物だけが薄桃色に映った。ハッとする場面だったなぁー。


リメイク作品 観てよかった!

2023年06月18日 22時19分00秒 | 日記

日本では『小言幸兵衛』とか『因業爺』などのジイサンの呼称がある。 名優 トム・ハンクスが演じるのは、上記2つを足して、更に陰険さをまぶしたような、自殺願望者の老人だ。

2016年本邦公開のスウェーデン作品『幸せなひとりぼっち』のリメイクにあたる。
スウェーデン作と異なるのは、
何度か自死を企てる場面で、半年前に他界した妻との想い出の回想シーンが展開されるところ。

出会い・プロポーズ・二人旅のシーン・妻の大怪我・子を持てなかった理由
どの場面も美しく素敵で胸熱になる。

この作品はポスターにあるように3月10日の公開。予定が合わず見逃していたが、有料ながら映画配信サイトに早くもアップされている。映画は大画面で見たい派だが、399円にてPC極小画面で鑑賞。たまには自宅鑑賞もいいものだ。



MB14 夢を与える男

2023年06月16日 21時06分00秒 | 日記

夜8時前の、豪雨の立川だった。
高島屋に人はまばら どころか
無人の様相、いつものキノシネマにて。

寿司デリバリーのバイトをしながら、会計学校に通う主人公は、ラッパーである。
パリのレンブラント地区とピカソ地区はラップバトルの形で、終わりなき抗争の最中にある。
主人公の兄は職業不詳だが、ボクサーで闇の賭け試合で稼ぎ、弟の学費も捻出しているようだ。

主人公が、パリ・オペラ座のオペラ歌手養成学校に寿司を配達に行き、ひょんなことから、美声を買われオペラ歌手の道を歩むことになる成功譚だ。だが絵に描いたようなサクセスストーリーとは異なる。上流階級のクラスメイトとの軋轢、異人種の幼馴染との恋が実るのかなども気を揉ませるところだ。

総じて下層階級の出自から、オペラ座で行なわれるオーディションに参加するまでになる主役を演じるのは、フランスのビートボクサーであるMB14。最初の2文字のアルファベットは氏名のイニシャル。Mはモハメドということだ。
とにかく明るい安村が出場した、英国のBGTでも会場全体を虜にした男だ。

本作のストーリーとMB14 の実人生が重なるのか否かは、定かではないが、観る者に夢を与える作品であることは確か。



このところの坂井真紀

2023年06月14日 06時54分00秒 | 日記

広瀬すずが主役である。2015年の『海街diary』が鮮明だが、その時分は素朴にこどもこどもしていたのに8年を経た時、立派な大人になっている。
カメラ長回しの場面で、一瞬背中を向けていた広瀬すずが、素早く振り返った時、その目から大粒の涙がハラリと落ちる。演技力もオトナだ。

ヒロインの母親役は坂井真紀。今作にも登場。
1990年代終盤から現在に至るまで、映画作品にも間断なく出演し続けている。

とりわけ今年公開作は5つ
ロストケア
銀河鉄道の父
逃げきれた夢
(今作)
アナログ(10月公開予定)

脇役のキングが光石研なら、さながらバイプレイヤー界のクイーンと言えるだろう。

精神を病む寸前なのか、ギリギリのところでモガいているような役柄を演じることにおいて、秀逸な味を出す役者である。

逃げきれた夢(光石研主演作)

2023年06月11日 21時53分00秒 | 日記

中年を越したフツウの人間は、日々のsame old routineに乗っかったままで、何かの重大事が身に振りかからない限り、振り返りをしなくなる。

主人公は定時制高校の教頭、定年まであと1年というところで、認知の症状が出始める。そこで家族・友人への情が湧き上がり、人生の振り返りを始めるのだが。

妻、娘、20代半ば近い教え子との
関わりを見直そうとするのだが、
3者はそれぞれに冷めており、主人公は何度打席に立っても、空振りに終わってしまうのだ。
唯一幼馴染の男が、語らずとも主人公の心情を汲み取っている。

このところ、話題作には必ず顔を見せる妻役の坂井真紀は言うまでもなく、教え子役・吉本実憂の冷めきった演技、響きました。

光石研の前回の主演作は2011年の『あぜ道のダンディ』。作品では親友役・田口トモロヲとの掛け合いが秀逸だった。今作の幼馴染は松重豊vs光石研が、見どころです。

名脇役はいつ主役が回って来てもノープロブレム!