かちこのアメリカ奮闘記その後

アメリカの大学院での登録栄養士(RD)を取得、帰国して日本の病院でNST奮闘中

認知症の祖母と書道

2012年09月02日 | 認知症の祖母の日々

以前に書きましたが、私には認知症になった祖母がいます

それまでは全くぼけてなかったのに、家の中で転んで頭をぶつけ、外傷性のクモ膜下になってから、

それが引き金となって小さな脳梗塞も起こし、一時は意識もなく、体も動かせず、命も危険な状態でした

それが、家族の懸命な介護とドッグセラピー、病院や老人ホームのスタッフの方々のご協力もあって、

嚥下食ながら、自分でごはんを食べ、足もとは危なっかしいものの、

20-30mなら自分で歩けるようになりました

心配していた認知症もやや症状が軽くなり、今は家族のみんなのこともわかり、

老人ホームの中にもお友達が少しずつできてきたようです

先日も、私と祖母が手をつないで老人ホームの廊下を歩いていたら、

すぐ先に、先に進む車イスの姿が。

車イスに乗っていたのは101歳になるお隣の部屋のおばあちゃん。

車イスよりもおばあちゃんの歩くスピードの方が早かったので私が祖母に

「おばあちゃん、車イスの邪魔しないようにこっち側から通ろうか?」って聞いたら立ち止まって

おばあちゃんが私に小声で、「この方はあいさつするからちょっと・・・」って・

どうするつもりなのかな?と思ってみていたら

私の祖母は、先を行くおばあちゃんの車イスの後ろからおばあちゃんの姿をしばらく見ていて、

車イスの操作が一段落したところで、とっても自然に右手後方から近づき

追い越しざまに一言「こんにちは。」って挨拶したんです

そしたらあちらのおばあちゃんも「こんにちは」って私の祖母に笑顔で会釈。

「いつもお客さんが多くていいですね」「はい、おかげさまで」

って、、、一か月前なら考えられなかった会話!

90歳すぎてもぼけても、人間づきあい、あいさつから。

おばあちゃん達の中にも人と付き合う上での礼儀などがしっかり存在しているんだなと

思いました

 

ちなみに話が変わりますが、私の祖母の最近の流行は習字。

もともと書道を長く続けてきた祖母にとって、筆で字を書くことは

生活にしっかり根付いているようです。

6月の末に、七夕の笹につるす短冊に願いごとを書いてって看護師さんに言われて

ペンをとった時は「願い事」って言葉の意味も理解しているんだかしていないんだかわからないほど

認知がひどかったけど、その時にずいぶん長いこと短冊に向かい合って

書いた字が「習字」でした・

それもなかなか人には読めないようなつぶれた形のひどい字。

でもそんな状態でも習字って書いたのには驚きです。

きっと「習字がもっとうまくなりたい」って願い事だったのかな?

それとも「習字がまたできるようになりたい」って願い事だったのかな?

どちらにしても8月末までの段階でおばあちゃんの願い事はかなっちゃいました。

すごいことです。

おばあちゃんの奇跡的な回復と、毎日リハビリにも前向きに臨むおばあちゃんの姿勢に

いつもいつも励まされます。

そんな祖母も今月は自宅で引き取る前の訓練として、

何回か家に遊びに来ることになっています。

そしてそれが慣れたら家に外泊とかをして、徐々に家で引き取る練習をしていく予定です。

楽しみ楽しみ!

おばあちゃんが家に帰ってきたら、私もおばあちゃんと一緒に書道をやってみようかと

ひそかに楽しみにしています。