Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

雑感@経済危機対策

2009-04-13 12:35:00 | 世代間問題
10日発表の政府の経済危機対策について。
環境対策、資源政策などで見るべき部分もあるが、全体的にはなんというか、玉虫色である。
とくに雇用は新味がほとんどない。一言で言えば、単なるバラマキだろう。
バラマキが何でダメなのかというと、それが本質的な改革につながらない対症療法に
過ぎないからだ。
火事になっているのに火を消さないでエアコンつけようとしているような
ものだから。それで喜ぶのは、もうすぐ寿命のお爺ちゃんだけだ。

ツケの先送りと言ったほうが、若い人には琴線に触れるか。

たとえば雇用調整金をばらまいて、それが労働市場の流動化につながるだろうか。
はじき出された人はむしろ参入のハードルが上がるだけ。極論すれば、次世代の負担で
逃げ切りたい人の背中を押してあげるようなものだ。
再就職のための職業訓練にしたって、そういうことは日本は以前からそれなりに力を入れて
いる。問題は送り出す側でなく、受け入れる企業の側だ。
価値観が硬直しきっているため、「若くてしかも職歴アリ」みたいなものすごい
ストライクゾーンの狭い球にしか手を出そうとしない点にあるのだ。

ついでに言うが、少子化対策で「子育て応援特別手当を一年間だけ拡大」というのもひどくて
一年間だけばらまいてどれだけ意味があるというのか。
本質的な問題は、日本が先進国中最大の男女間賃金格差があり、非正規雇用比率が
高いこと。
つまりここでも、賃金基準が昭和型に硬直していることが原因なのだ。
今回の対策には、こういった本質に迫るものが(少なくとも雇用・少子化に関しては)
まったく見えてこない。
そういう意味で、個人的にはとても残念に感じている。

我々が二十歳の頃。「公共事業をやればやるだけ社会はよくなるんです」と主張する人達が
大勢いて、実際盛大にばらまいた。気が付いたら財政は危機的状況に陥り、しかも構造的な
課題は何一つ解決しておらず、むしろ悪化している。
勝ち組といえば、そういったバラマキを主張し、そして無事に逃げ切った当時の50代だけだ。

もう日本には後がないのだから、90年代の教訓を忘れるべきではない。
ただのバラマキではなく、次代につながるような構造的改革にこそ、最後のカードは切るべきだ。

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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (KKMM)
2009-04-13 20:34:36
無理です。
年寄りは、逃げ切ることしか考えていません。
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カネ止まりしているような・・・ (松本孝行)
2009-04-14 09:47:00
 カネをばら撒くことは経済にいいのかもしれないですけど、それがどこかでピタっと止まっているように思います。例えば自動車も大企業だけで止まって下請けにお金が回らないといったような感じを受けます。

 お金が回らないという構造的な問題を放っておいてばら撒いても、得するのはロビー活動に熱心だった人たちだけのように思えます。日本に必要なのは景気対策よりも構造改革ではないでしょうかねぇ。
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採用企業の年齢差別撤廃が大前提だな ( )
2009-04-14 11:35:51
企業わがまま言い過ぎ
若造ばかり取りたがるのはゼニに汚い証拠
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Unknown ()
2009-04-14 13:16:05
グローバル化が進んだ以上、ばらまいても世界中に発散してしまう。系列取引から海外部品メーカーに切り替えたメーカーなどが典型。
結局は構造改革を一層強力に進める以外にないでしょう。
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Unknown (pingu)
2009-04-14 13:41:48
民主党案の子供手当て月2万6000円。
これが実現すれば、年功序列賃金のいわゆる「生活給」の部分を削る根拠にはなり得るかもしれませんね。
ただ「職務給」導入までいくかどうかは・・・
政府も企業のお偉いさんも本気では考えていないですよね。
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こんな記事も (ar)
2009-04-27 23:13:08
2009年3月30日
連帯と業種別組合:ワークシェアリング(ポルダーモデル)を可能にしたもの
http://hollandvannaoko.blogspot.com/2009/03/blog-post_4813.html


実際にオランダにお住まいの著者のかたのブログの記事。
これまでオランダで行われた改革と比較して、
日本政府党の対策に関してかなりキビシイご意見を
お書きになってます。

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Unknown ()
2009-04-29 12:36:06
>実際にオランダにお住まいの著者のかたのブログの記事。

この人はかなり凄いかも。
終身雇用が労働条件を悪化させているという事実に気づいている人は、ベテラン人事にも少ない。
ところで、以下の部分を読むと、連合との民度の違いに驚くしかない。

労働者は、企業側への賃上げ要求を自主抑制することで、経済低迷期に、企業が新規事業への技術革新への投資力を低下させたり、インフレ・物価高による欧州市場での対外競争力を低下させることのないようにしようとした。無節制な賃上げ要求は、人件費の高騰によって生産物の価格を押し上げ、ひいては欧州や世界で市場競争力の低下につながる。こうして経営者の首を締めればは、最終的には失業率の増大という形で、労働者の解雇につながることが目に見えているからだ。
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