以前も紹介した事のある季刊の労働情報誌『POSSE』vol.4
非常に興味深い特集が組まれているので簡単に紹介。
ここでは全部は書かないが、肝は雇用問題に対するスタンスを、
「職務給-年齢給」
の縦軸と
「社会保障など、国家による福祉-従来型の企業主体の福祉」
という横軸で4つに分類している点だ。
(1)最賃引き上げ、より充実した社会保障、積極的雇用政策などを含む
流動性の高い労働市場
(2)流動性の高い労働市場だが、規制も社会保障もきわめて限定的
(3)一定の規制緩和を進めるが、あくまで従来型の正社員長期雇用を軸にし、
新たな社会保障政策にも消極的
(4)従来型の正社員長期雇用を軸にしつつ、そこから漏れた分は社会保障で
面倒見るよう主張する一派
そして、実はトヨタ、キヤノンのような財界の雄はもちろん、自民党から共産党
にいたる既存政党のすべては、基本的に従来型の長期雇用を支持しており、
その意味で(3)か(4)かの違いでしかないこと。
そして、そもそも、(4)というのは実現不可能であるとする。
まったく同感だ。現在の正社員中心の雇用体系を維持しつつ、社会保障の拡充で
帳尻を合わせようというのは民主党も明言するスタンスだが、これなら正規と
非正規の格差は温存されることになる。※
断言するが、非正規の取り分は増えないし、正社員の椅子は
空かないし、経済全体の生産性は停滞するから、再分配で
恵んでもらえるパイなどたかがしれている。
だから結局は満足のいく社会保障システムの構築など、出来はしないだろう。
(3)については以前述べたとおり、トヨタモデルの崩壊で実質的には終わっている。
というわけで、結果的に(3)と(4)は一緒くたに混ざりながら、ずるずると
地盤沈下し続けるだろう。
未来があるとすれば、それは(1)と(2)だ。
本特集の主筆である昭和女子大の木下教授は、従来の年功序列制度は、もともと
年齢、性、そして雇用形態といった“差別性”を含むものであり、そもそも従来の
労働運動にはそういった差別性に取り組む意識が希薄だったとまで明言している。
非常に秀逸な視点だと言わざるを得ない。
この雑誌は、いわゆる左派系である。こんなに柔軟性のあるグループもいるのだ。
よく誤解されていることだが、実は左派の中で「終身雇用を守れ!」とか
「階級闘争ですべて解決!」と言っている人は、けして多数派ではない。
むしろ彼らに言わせれば「日本共産党みたいな化石と一緒にしてくれるな」だそうだ。
長期的には、上記(1)と(2)のグループの間で、大きな政府か小さな政府か
といった対立軸が形成され、新たな左右陣営が作られるのだろう。
もちろん、新たなリベラルとは(1)のことだ。
テレビの討論番組などで、向かいに連合と共産党が並んで座っているのを見る度に
うんざりしてしまう。で、「大企業は内部留保が100兆円もあるんです」なんて
ヨタ話に付き合わされるハメになるのだ。
「とりあえず保守と共産を並べて両論併記にするのがジャーナリズム」
というのはバカ丸出しだし、やらされるこっちは疲れるだけなのでやめてほしい。
そろそろメディアも、新たな軸の存在を意識してコンテンツを作るべきだ。
※そもそも民主のマニフェストにしても、子供手当てを除けば高齢者向けの
バラマキの方が多く、若者向けには職業訓練給付くらいしか言及していない。
非常に興味深い特集が組まれているので簡単に紹介。
ここでは全部は書かないが、肝は雇用問題に対するスタンスを、
「職務給-年齢給」
の縦軸と
「社会保障など、国家による福祉-従来型の企業主体の福祉」
という横軸で4つに分類している点だ。
(1)最賃引き上げ、より充実した社会保障、積極的雇用政策などを含む
流動性の高い労働市場
(2)流動性の高い労働市場だが、規制も社会保障もきわめて限定的
(3)一定の規制緩和を進めるが、あくまで従来型の正社員長期雇用を軸にし、
新たな社会保障政策にも消極的
(4)従来型の正社員長期雇用を軸にしつつ、そこから漏れた分は社会保障で
面倒見るよう主張する一派
そして、実はトヨタ、キヤノンのような財界の雄はもちろん、自民党から共産党
にいたる既存政党のすべては、基本的に従来型の長期雇用を支持しており、
その意味で(3)か(4)かの違いでしかないこと。
そして、そもそも、(4)というのは実現不可能であるとする。
まったく同感だ。現在の正社員中心の雇用体系を維持しつつ、社会保障の拡充で
帳尻を合わせようというのは民主党も明言するスタンスだが、これなら正規と
非正規の格差は温存されることになる。※
断言するが、非正規の取り分は増えないし、正社員の椅子は
空かないし、経済全体の生産性は停滞するから、再分配で
恵んでもらえるパイなどたかがしれている。
だから結局は満足のいく社会保障システムの構築など、出来はしないだろう。
(3)については以前述べたとおり、トヨタモデルの崩壊で実質的には終わっている。
というわけで、結果的に(3)と(4)は一緒くたに混ざりながら、ずるずると
地盤沈下し続けるだろう。
未来があるとすれば、それは(1)と(2)だ。
本特集の主筆である昭和女子大の木下教授は、従来の年功序列制度は、もともと
年齢、性、そして雇用形態といった“差別性”を含むものであり、そもそも従来の
労働運動にはそういった差別性に取り組む意識が希薄だったとまで明言している。
非常に秀逸な視点だと言わざるを得ない。
この雑誌は、いわゆる左派系である。こんなに柔軟性のあるグループもいるのだ。
よく誤解されていることだが、実は左派の中で「終身雇用を守れ!」とか
「階級闘争ですべて解決!」と言っている人は、けして多数派ではない。
むしろ彼らに言わせれば「日本共産党みたいな化石と一緒にしてくれるな」だそうだ。
長期的には、上記(1)と(2)のグループの間で、大きな政府か小さな政府か
といった対立軸が形成され、新たな左右陣営が作られるのだろう。
もちろん、新たなリベラルとは(1)のことだ。
テレビの討論番組などで、向かいに連合と共産党が並んで座っているのを見る度に
うんざりしてしまう。で、「大企業は内部留保が100兆円もあるんです」なんて
ヨタ話に付き合わされるハメになるのだ。
「とりあえず保守と共産を並べて両論併記にするのがジャーナリズム」
というのはバカ丸出しだし、やらされるこっちは疲れるだけなのでやめてほしい。
そろそろメディアも、新たな軸の存在を意識してコンテンツを作るべきだ。
※そもそも民主のマニフェストにしても、子供手当てを除けば高齢者向けの
バラマキの方が多く、若者向けには職業訓練給付くらいしか言及していない。
帳尻を合わせようというのは民主党も明言するスタンスだが
雇用でもなんでもそうだが、抜本的な改革(構造改革)を本気でやろうとすると、既得権者から既得権そのものを奪うことになるから、彼らは猛烈に反撃に転じてくる。
多くの場合はマスコミを巻き込んで、やれ「弱いものいじめだ」、「政府は鬼だ。血も涙もない。」だのと騒ぎ立てる。
一方、改革によって恩恵をこうむる多数派はそのメリットが広く薄くしか得られないため、既得権者のようにむちゃくちゃ熱心に活動を展開することもなく、傍観者を決め込む。めんどくさいし。疲れるし。たいしてメリットも無いしね。
そして、政治家はマスコミと一部の利権者が作り出した偽の世論の前に腰砕けになる。
戦後60年、こんな感じでぐだぐだ改革を先送りした結果が今のこのざまです。
ただ、さすがにここに来て、サイレントマジョリティもサイレントでいられなくなってきましたけど。
日本人は辛抱強いのか、馬鹿なのか。
右のバカが、その前提を無視して(笑)「日本の伝統を守れ!」と銃撃するわけです。
最低限、議論の壇上に乗せてほしいですね。もうちょっとで一般のニュースでも語られるようになるんでしょうか。
>(1)最賃引き上げ、より充実した社会保障、積極的雇用政策などを含む流動性の高い労働市場
これによって物価や税負担がどうなるかが気になるところです。
電気代はソーラー世帯の電気買い取りのツケで上がるし、消費税を上げたとしても社会保険料を代わりに下げる、と公約してる党はどこにもない。
更にお上は一度決めたことは変えない。
仮に正規と非正規との賃金格差が縮小しても、インフラや教育への支出が変わらなければ、正規は更に賃金が下がり、非正規もちょっと潤うだけで消費が旺盛にできるほどにはならない。
そして景気がよくなって雇用が増えたとしたら、「規制緩和してもそれほど額の変わらない」人件費を分配される人が増えるから、一人当たりの賃金は確実に減る。
そうなりそうな予感が満載なんですが・・・
(1)を目指すにしても痛みを伴う改革は必須です。
現状が借金が少なくて、財政も赤字じゃなくて、無駄遣いも少なく、
少子化がでなければ別ですが。
政界の左派は化石が圧倒的多数に見えます。
(共産党、民主左派(社会党系・民社系)、社民党)
柔軟な左派とは政治家では田中康夫氏くらいでしょうか。
>実はトヨタ、キヤノンのような財界の雄はもちろん、自民党から共産党
にいたる既存政党のすべては、基本的に従来型の長期雇用を支持しており、
所詮は経団連も連合と似たり寄ったりの年功序列の老害団体ですね。
竹中さんが前にサンプロで言っていましたが株主ももっと経営に圧力をかけていくべきです。
パフォーマンスの悪い中高年を過剰雇用で置いておき、
若い雇用を抑制するような企業に投資するのは株主にとっても気分が悪いはず。
本当に基礎年金だけか、基礎年金すらなく暮らしている老人は確かに弱者でしょうが、それはまず世代内での相互扶助で面倒をみていただきたい。それでどうしても足りないぶんを若者にお願いするという姿勢がエレガントだと思います。
ともかく、大して弱者でもないのに、自分が弱者であるというレッテルを自分に貼ることで、社会保証やらなんやらせしめようとする輩が多すぎます。
そういう戦略の利得がマイナスになるような社会設計が必要ですね。
ヤル気があり実際に業績を出している人には手厚く(でも社会の維持に協力してね)、そうでない人には厳しい社会。しかし、そういう厳しい状況でもどうしても働けない(障害があるなど)人には、保証を。
会社員や公務員でうつで待機契約を繰り返しているような連中の中にも本来働ける奴らもいるわけです。かなりたくさん。業務の執行が不可能な状態になれば、会社からさっていただき、再び働ける状態になればどこかで再就職する。
いま一度うつで失職すると(大企業の正社員か公務員以外はかなりの確率でうつになると失職します)再雇用が不可能なので、一生うつだということにするしかない。それで生活保護を取り続ける以外に、生き延びる方法がないわけです。これは社会的な疾病状態と言わざるをえません。
流動性を高めること、最低限の社会保証をつけることで、こうした事態は避けられそうです。
いずれにしろ、一旦、既得権を得た人間たちが今度は弱者であることを言い立てることによって権利拡大を企てるのは不健全ですね。
人口構成を考えると減るのが当たり前で、若い人はどうするかだろう。
パイが減るから、それを増やす方法をというがそれも心もとない。
結局能のある人は別として、少ない給料をためて、それを投資して稼ぐしかないのではと思う。それとても年200万では無理である。
大仕掛けでは実質的な給料は減る。
若い人はそこそこの会社に勤めていない限り。どうするか知らん。もしくは。何ができるだろうか私は思う。
色々ネットで調べ、データを見ると前途は困難を極める気がする。ひょとしたら社会崩壊を起こすのではと思うことがアル。外国へ行くかだが、それとても簡単ではない。
まだ人々は事態の重大性にきずいていないようである。
大概知られている雨宮の主張は(4)なのでしょうが、雨宮の本をよく読むと必ずしもそうではなく、実際には(本性では)おそらく(1)なのだと思われます。
それなら城さんとどこが違うのでしょうか?若年貧困問題へのアプローチの経緯(片や人事コンサルタント、片や左翼運動家)が違うのでしょうか?
つまり若い年代の者は嫌でも一応組むべきです。年寄りどもにちりぢりになるように仕向けられているようで(イデオロギーなどを使って)、いつまでもこのままではパワーが得られずホントに残念です。
そうかも。後は、民主の若手には労組出身者と対立するリベラル派が少なくない。広い意味では公明もそうだろう。
>勤続年数の短い非正規雇用からそうした実行力のある代表は生まれるんでしょうか?
企業別労組は無理だろうけど職種別なら全然大丈夫。現状はそういったユニオン系というのは共産党系が仕切っちゃってるのでアレだけど。
>雨宮たち格差論壇の若い論者は混乱していると書いてありました。
こういう人達と話すと、誰に教えられたのか知らないけど、ものすごくクラシカル(それも戦前以前の)な左派的発想で驚かされる。
たぶん、実社会の現実の構造を知らないまま、そういった既存の政治活動に取り込まれちゃってるんだろう。
そりゃ混乱するのも無理はない。何も生み出せなかった運動の残滓に依存しちゃってるんだから。
僕個人はどうこうするつもりはないけど、彼ら自身もいずれ気づくでしょう。その道の先には何もないって。
この特集を読んだとき私達は何も知らされていないのだなと思わされました。
ところがこの雑誌の124頁にこう書いており、なかなか(1)と(2)を進めようとしてできなかった過去のことが書いてあります。
P124下段・濱口氏「もっと面白いのは実は日経連は、かつては明確にジョブ派(職務給)だったのですね。それが足元からひっくり返される形でジョブ派であることを否定して今に至っているわけです。そういう意味では無反省な年功派ではなくて、ジョブといっても難しいんだ、お前らその難しさ分かっていないだろうという一ひねりした年功派、年功にはいろいろな弊害があるのは分かっている、だからその弊害をできるだけなくす仕組みをいろいろと入れていきながら、その基本を維持していくんだという苦い認識付きの年功派です。そこを考慮せずに単純に決めつけると間違います。ジョブ派であることの困難さを一番分かっているのは実は旧日経連だと思います。」
過去のことは全く知らないのですが、そういう動きもあって失敗したことを知りました。
それをふまえて(1)や(2)を実現するには??
また、政治家に対しても、自分達は話を聞いてもらう立場なので、いきなりそんな話をしても話を聞いてもらえないと。
若手活動家の中にも分かっている人はいるんですよね。でも、現実問題として即効性を持たないので現場に近い人ほどそれを使えないと。
政治が大胆な労働市場改革をしないのは当たり前のことだと思います
仮に、流動化により最大多数の最大幸福を実現できることを国民が認めたとしても、
政治は理想を実現するための手段ではなく、
利害を調整する手段なので実現は難しいでしょう
既得権益業界はバカではありません。自分は失礼ながら城さんメディアの操り人形になってしまうことを心配しております。テレビ業界はそういう城さん不快さを知りつつうまくテレビ業界に取り込もうと画策している可能性が高いからです。つまり城さんの芸人化(森卓化)です。城さんがテレビの既得権を考慮しつつコメントするようになったらテレビ業界にとってこれほど強い味方はありません。あらゆる手を使ってやってくると思います。城さんはそれでも自分の考えを広く伝えるためにはテレビを利用せざる得ない。テレビ業界の都合と城さんの苦悩の折衷案が城さんの芸人化とならないことを切に祈っております。
かなわないと思ったらテレビ業界は決して声をかけてきません。池田信夫氏がいい例です。城さんがテレビ業界から声をかけられるのは城さんを利用して視聴率をとってスポンサーから稼ぐために過ぎません。客寄せパンダのお笑い芸人にならないよう是非是非お気を付けください。失礼な文章誠にすみませんでした。削除していただいても構いません。
ここから流動化戦略を採用すると、自分のスキルや戦略設定により、賃金が300万円が4人、500万円が4人、1000万円が2人になるとすると賃金の合計は4200万円になり5パーセントの成長率になります。
成長分が新規事業への投資に回り、新しいパイが増えればよいわけです。
しかし、このとき不利益変更になる可能性が実に40パーセントもあります。
正社員戦略を採用する限り、不利益変更にはならないとすると、賃金アップの60パーセントにトライするか、賃金ダウンの40パーセントのリスクを回避するか?
そもそもリスク回避を心がけず、次なるチャンスにかけるメンタリティの人間たちは、会社員や公務員になったりはしない。
したがって、会社員たちに流動化戦略を納得させるのは難しいと考えられます。
一方、平均の賃金が200万円の非正規からすると、不利益変更がないので、流動化戦略を望む声が強くなるはずです。
リスク回避を志向して、正社員、公務員になっている人が多い以上、流動化して経済成長を目指す戦略は志向されません。
このまま、停滞が続き、企業がジリ貧で給与カットが続き、正社員たちが非正規レベルに落ちたあと、急激な成長が期待でき、流動化戦略による不利益変更のリスクがかなり低い状態にならなければ、流動化へのポヒュラリティは上がらないように思います。まぁ、まずはJALをいったんつぶして、成長をめざさず、しがみついていると痛い目にあいまっせってのを見せ付けるのは効果的かもしれない。
あるいは非正規比率が50パーセントを越えるか…。
BC州最低時給は8ドルです。日系企業はビザ欲しさの日本人の足元を見て最低時給でこき使っています。これは現地の日本人はみな知っている事。
一方、カナダ企業は、日系企業と同じ職種に対して、1.5倍の給与を払います。プラスBenefitです。
奴隷労働に対して、カナダ人が従わない歴史の結果だと思います。だから、カナダ人経営者は、雇用者の権利・利益を考えざるを得ない。
一方、日系企業は、羊のような日本人を、酷い待遇で雇ってます。雇われてる日本人は文句をいえない。ビザが欲しいし、上下関係があるし、とにかく、理不尽な扱いをされても黙る。
結論として、もう、大人しく従うのを止めませんか?
上司にしろ、お客様にしろ、先輩にしろ、友人にしろ、対立しましょう。