Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

雇用崩壊

2009-04-27 10:14:16 | 
雇用崩壊 (アスキー新書)

アスキー・メディアワークス

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すっかり忘れていた。
雇用に関するオムニバス本の紹介。
7人の論者が参加し自論を展開、僕も二番手に登場する。

はっきりいうと、僕はこの手のオムニバス形式が好きではない。
全体の方向性に従って論が選ばれ、さらに一定のリンクが保たれているのなら良いが
たいてい各々が好き勝手に自論を並べるだけなので、本としての統一性に欠けるのだ。
そもそも、「幅広い意見を収録する」という意味が全く理解できない。
ラーメン特集やるならともかく、政策については正論は一つのみ。
あとは阿呆かまがい物であるのだから、企画段階で切り捨てるべきだ。

もし「有名人をいっぱい並べておけば売れるだろう」という発想なのであれば、それは
作り手の怠慢である。

というわけで最初はお断りしたのだが、出なきゃ出ないでマル経崩れのオンパレードに
なっても困るので、インタビュー形式で出させていただいた。
(もっとも八代先生が登場してびしっと締められているので杞憂だったが)
語っている内容はごく一般論なので、ブログや新刊を読んでいるという人には退屈かも。
まあお暇でしたらということで。

少し内容も紹介しておくと、まず前半三人は読む価値がある。後半は典型的な
「大変だ~大変だ~」論でしかないのでいまひとつ。
そういうものすべてに価値が無いとは言わないが、もうそれを言う段階はとっくに
過ぎていて、今は対策を議論している最中だ。ちょっと時期を逸しているのではないか。

まあそれでも初見の人もいるだろうからルポ的な価値はあるとしても。
小林美希の正社員擁護論はちょっと見過ごせない。
たとえば、「介護業務は正社員でもこんなに大変です、だから正社員はもっと
保護しましょうね」と言われて、どれほどの人が納得するだろうか?
介護の賃金が低いのは構造的な問題であり、雇用規制とは無関係だ。
そもそも、なぜ日本全国から介護を引っ張り出してまな板に載せるのか。
まずは自分が飯を食っているメディアを取り上げて
「新聞記者もこんなに大変です」と言ってみろといいたい。


はっきり言うが、一部のメディアは雇用の流動化論に対して強いアレルギーを持っている。
そういうメディアにとって、いまどき正社員擁護論をぶってくれるフリージャーナリストは
貴重な存在だ。その立ち位置を狙っているのなら、“ジャーナリスト”などという肩書きは
とっとと外すといい。

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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (松本孝行)
2009-04-27 10:30:55
書店へ行って見かけたら買ってみます。
今は対策を議論している最中だというのはその通りだと思うんです。しかし、現フェーズに入ってからでしょうか、貧困などで大変だと言っていた論者が一気に消えました。派遣村なんて一種のブームだったんじゃないか?と思うくらいです。

この実際に対策・政策を考えるという部分に至ったとき、急にトーンダウンするという状況に私は問題があると思っているんです。おそらく、貧困・格差が声高に叫ばれていた時代に、なんとなくそれらに興味があったライトな層は、現在のフェーズについて来れていないのではないでしょうか。

個人的にこの辺なんとかしないとな~って思っています。
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雇用大崩壊 (たかぽん)
2009-04-27 22:40:45
田中秀臣氏の雇用大崩壊はどう思います?
リフレ派でしたっけ
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大崩壊の方が ()
2009-04-27 23:25:39
あっちの方が本としては面白いね。
意見が違う点もあるけど、一本筋が通っているから書評も書きやすい(笑)
今度書きますよ。
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あっ、ここか! (yasu)
2009-04-28 00:17:24
なんだ、こんなところでブログ再開してたんだ!
しかも、こんなに更新してたとは。
とりあえず、全部読みます。
でも、gooブログとは(笑)。
昭和的価値観ガチガチの企業ですよね。
そういえば、昔、NTTComで仕事してたときに「ガンダム課長」の話を聞いたことがあった。
なんでも、ガンダムのプラモデルばかり、自分の机の上で作って、仕事しないんだとか。(笑)




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しつもん(答えるかはおまかせ) (さちよ)
2009-04-28 06:08:39
以前から気になっていたのですが、よく他評論家の悪口めいた批判を書いてますが、それは、
「この本を読んで出直してこい」か
「おまえが雇用や経済を語るな」(某新書の題名の流用)
どっちなのですか?
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Re:しつもん ()
2009-04-28 08:44:16
>よく他評論家の悪口めいた批判を書いてますが、それは、
「この本を読んで出直してこい」か
「おまえが雇用や経済を語るな」(某新書の題名の流用)
どっちなのですか?

どっちでも。
それから、多分僕の批判は極めて生産的でしょう。
本当の意味での「ただの悪口」というのは、たとえば「すべて改革が悪い」というようなことを言いつつ論拠も対案も示せない人々でしょう。
彼らは商売なり反政府活動なり、別に目的があって便乗しているだけで、対案自体に興味がないからそういうことになる。
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Unknown (野田一丁目。)
2009-04-28 09:42:03
山岡鉄舟が『どんなに無能な人間でも足を引っ張ることは出来るのだから敵に回してはいけない』という意味の言葉を残していたと記憶してます。(申し訳ない。ソース不明)あまり同業者を批判するのもどうかな?とは思いますが。
西郷隆盛が山岡鉄舟を評して『金もいらぬ、名誉もいらぬ、命もいらぬ人は始末に困るが、そのような人でなければ天下の偉業は成し遂げられない』と言ってますが、城さんはそっちの方か?(笑)
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