Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

なぜ日本人は自殺するのか

2009-06-12 10:32:42 | 経済一般
日経ビジネスのコラムで、内閣府の官僚が日本人の自殺率増加を取り上げているのだが
強い違和感を感じる。著者のスタンスは以下の一文にはっきりあらわれている。

すなわち経済社会全体で、解雇が容易な非正規雇用の増加を防ぐ
ことと、正規職員についても安易な整理解雇や強要に近い退職勧奨
を防ぐことが重要です。


要するに、流動化なんてもってのほかというわけだ。

でもね、失業率と自殺率は比例すると言いつつ、流動化に反対する理由がわからない。
つまり現在の非正規雇用及び失業者はしょうがないよね
諦めてねってことなのか。

ここでは詳細は書かないが、メンタルトラブル等の急増の背景には、人事の硬直化、
階層の固定化と言った日本型雇用システムの機能不全が深く関係していると考えている。
著者の言うのは階層の固定化であり、完全に逆効果だ。

そもそも、本当に失業率と自殺率は因果関係にあるのか。
もしそうだとすれば、なぜ平時でも失業率10%前後の雇用崩壊国家フランスのそれは
日本より低いのか。
著者のロジックなら日本人の倍以上、フランス人は死んでいるはずではないか。
そして、悪の資本家の巣窟であり、安易な整理解雇し放題の英米のそれは、なぜその
フランスよりもさらに低いのか(WHO調査)。
労働市場が流動化しつつも、日本の自殺率の半分以下ではないか。

さらに言うなら。
国家公務員の自殺率が高止まっているのはなぜか。
特に長期病欠中の職員における精神・神経系理由の割合が、10年間で4倍
(14%→63%)に激増したのはなぜか(人事院H18およびH19年度年次報告書)。
国家公務員が「安易な整理解雇や強要に近い退職勧奨」されているなんて話は
聞いたことがない。
つまり、著者のロジックはお膝元ですら完全に破綻しているのだ。

著者の経歴は、典型的なキャリア官僚のそれだ。
内閣府から、内閣府・厚労省の天下り団体である連合総研を経由
してアカデミズムへ。典型的“御用学者”養成コースだ。
連合総研という時点で、どんなバイアスを持っているのか
明らかだろう。


スポンサー様のための世論誘導か、単に実務が分からないだけなのかは知らないが
こういうテーマで二度と発言するなといいたい。


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23 コメント

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違和感というか (ts)
2009-06-12 11:53:10
出世レースから外れた元官僚が天下りポストに異動して、仕事のフリでなんちゃって論文を書いてみましたよ、ってことではないですか。

医師にたとえれば(論文斜め読みしました)、

○「診断」は正しくても「処置」をミスりました
又は
○「診断」も「処置」も両方ミスりました

てなだけの話だと見受けられます。

せいぜいひ弱な日本人を育成し経済力の退潮に貢献してください(おしまい)。
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Unknown (Unknown)
2009-06-12 14:16:25
>つまり現在の非正規雇用及び失業者はしょうがないよね。諦めてねってことなのか。
そうでしょうね。一度も線路から外れた事のない人間にとって、こういう人達って理解不能なんだと思います。「何でそんなことしてんの?」みたいな。まあ分かって書いてるのだろうから悪質ですが・・・
しかし、3万人(警察調べだから実際はもっと多いでしょう)を10年以上って普通に考えるとぞっとする数字なのに、だんだん麻痺してきます。
これだけの数の人を捨てて、ある分野では人が足りないから外国人入れろとかって狂ってるとしか思えません。
帰る場所さえあれば、死にたい人なんてそうはいないと思うんですけどね。
再チャレンジ可能な社会って安部元首相が言ってたけど、最近とんと聞かないな。
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これはひどい ()
2009-06-12 14:52:23
官僚出身ならではの視点だと思います。
この教授の主張だと一度でも非正規や無職になったら死ねってことなんでしょうか?
就職活動にしくじった学生は有無を言わず死ねってことなんでしょうか?


20代で人生を詰んだと思わせる国が、まともだと私は思いません。

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Unknown (馬波)
2009-06-12 20:09:40
年齢と共に自殺の確率が上がって行く

自殺対策にいくらやっても本質を変えなければフィンランドのように減らない
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大東亜戦争敗戦の結果 (kenji)
2009-06-12 21:26:30
>帰る場所さえあれば、死にたい人なんてそうはいないと思うんですけどね。

大東亜戦争後の別の戦争に負けて、家なき子のなった我々日本人である。
 元々日本人は敗者に非常に冷たい人々である。その冷たさは、している当人が自覚していない。知人は37歳ごろ、私に<日本の世界がこんなに恐ろしい世界とは知らなかった>つぶやくように言った。
 彼は奇妙な問題に直面して七転八倒した。そして出世街道から転げ落ちた。彼はその後、世の中がよく見えるようになり、色々私に話してくれた。もう一度と私が言うと<もうその気力がない>と、答えた。その後会社を引きずり、廻されたが、堪えて、50歳で目鼻をつけて、退社した。<よく首にならなかったな>と聞くと<俺は上司のしくじりを色々知っているから、首にはできないとわかっていた。kenji、それは俺はその位はしなければならない仕事をしていたぜ>と答えた。

三万人といえば一つの地方都市とが一つ消えている事だが、それに付随する、いろいろな事が消えるというわけだが、隣の町が4.5万人だから、冷静に考えるとぞっとする。一つの経済単位が消える。
 我々は友達も家族も親戚も失って保険(金)を信じたわけである。

これからは老人の一家心中が増える。見えている。国民全員はそれを知っている。この恐ろしさ。
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 (pingu)
2009-06-12 22:45:25
変死体の数だけでも年間15万という異常な国ですからね。WHO基準に従って、その半数を自殺と考えると、とんでもない自殺大国だと認識させられます。

やはり「やり直しがきかない」国であることが大きいのでしょう。柔軟な人生設計というものが困難ですからね。
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絶望の国 ()
2009-06-12 23:52:18
「失業者やリストラ対象者が自殺している」というロジックなら、いかにして再チャレンジを可能とするかが論点になるはず。となると流動化以外に道はありえないのだが、なぜか「階層の固定化」に結論だけ摩り替わる。
この国で自殺者が減らないのも無理はない。政策決定者が不幸な死を減らすことより、自らの利権を優先しているのだから。

>やはり「やり直しがきかない」国であることが大きいのでしょう。

閉塞感の原因は、これにつきる。
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絶望大国ニッポン! (♪やまっち3♪)
2009-06-13 09:45:15
こんにちは。

近い将来、小学校高学年から英語教育が始まりますから、日本に見切りを付けた賢い子供達は将来役に立たない教科を捨てて、英語や独語や仏語などのスキルアップに一生懸命になるでしょう。

で、海外で暮らし、海外で活躍する人材になると。
「少子高齢化社会」ならぬ、「零子高齢者のみ社会」
あれ!? 日本人の子供と労働者が住んでない!
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Unknown (ZG)
2009-06-13 12:50:11
CMで、この仕事は君に任せる、ただし責任は君が取れ、と言いながら、君に任せる、君に任せる、
と若い社員に親亀の背中に子亀を載せて、見たいな映像が流れてましたね。
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Unknown (Unknown)
2009-06-13 12:50:11

絶望の国 (城)
もう一度、投稿です。
 やり直しか聞かない事は医者のカルテが患者のものでないことと同じである。アレの所有権は何処だ。会社でお客の情報を個人保持していた奴がいた。我々はファイルを作って、公開して、能力があれば読めるようにした。奴の情報が必要になったのでよこせといったら、よこさない。ソコでオマエが得た情報はおまのものではない。会社のものだといったが、力関係でしぶしぶ出してきた。
  とにかく既得権益者、それも力で取ったのではなく、既にアルその領域へ入った人々の力が大きい。
 確かに発展途上国の子供のようにようにあきらめきっている顔は見ない。我国は全体が同じ絶望を持っているのではなく・年齢に従がって、それぞれの絶望状態にきずく。その時なるのではなくきずく。

噂話だが近くの商業高校において、成績のいい人は就職、(大体70番くらいまで)、をする。後が大学へ行くそうである。そのように指導する先生も先生だが、生徒も生徒で、それに見合う大学を認可した政府も政府である。之を見て何も感じない国民は絶望して当たり前だろう。大体高校ですら、合理的に作っていない。
 教育で飯を食う奴のためにある。だいたい、生徒が減っているから、文教予算はいくらなんでも減るはずだが異なる。
 これほどの恥知らずはないのではないかと私は思うが、かえるの面に何とかである。
 英語教育は、教育関係者の飯のためにだけ在る。非西洋諸国で学問が自国語でできる国は我国だけだぞ。それこそ教育関係者の誇りだろう。非西洋諸国で学問をするということは外国語でするということだという常識すら知らない。馬鹿を過ぎて愚かも過ぎて、一体なんだ。
 これから我々の社会は年寄りが増え、しかも年金で金がそこそこ入ってくる。怖いもノシラズの年寄りがふえる。
 彼等をとなしくさせるために医療費をたんまり取れ。そして若い人にであるがこの事を言う事すら、絶望感を感じる。
 何故人々は自らが住む世界を知ろうとしないのか不思議だし、その持っている知識は狭く、他人の世界を知ろうとしないんだろう。
 とにかくわが国において流れる、識者の言う事は眉唾物である。それは昔からだろう。
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