Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

雑感@内定率および既卒採用について

2011-01-25 09:43:36 | 採用
就職内定率についてよく聞かれるので、ポイントだけまとめておく。
内定率がやや上向いているが、これは留年や留学等の断念組が増えたのが主な理由だ。
先日のニコ生でも話題となったように、私立大学は母数を減らす努力を全力でするから、
これからほっといても内定率は上がり続け、最後は「9割の就職希望者が無事就職」
という結果になるだろう。
けして「学生さんも大変だな、よしもっと枠増やすか」という社長さんが増えたわけでも
まして民主党が頑張ったわけでもない。
氷河期世代が35歳オーバーになり、統計上のフリーターが減ったようなもんである。

ちなみに、東大は良くも悪くもそういう営業努力を全くしない大学で、大学院進学者まで
母数に入れているので、就職内定率はたしか60%くらい、MARCHの足元にも及ばない。
というわけで、やっぱり10.1時点の数字がもっとも世間の就職率のイメージに近いと思われる。

一方で、既卒者を新卒扱いとする大手企業が相次いでいる。
まあ選考の土俵に上げるというだけで内定を保証するものではないし、言うだけならタダ
だから空気読んだだけだろうと思って、何人か知り合いの人事に聞いてみたところ、
意外に反応が良かったので驚いた(「良い人がいれば全然アリ」という企業ばかりだった)。

理由は、それだけ今の新卒採用の内定者に物足りなさを感じているからだという。
一応言っておくと、これはゆとり世代云々とか「最近の若いもんは」というありがちなお話では
なくて、それだけ採用のターゲットが変わったから。
面接してる側だって、別に大した勉強はしてなかったし、4年間バイトやサークルに精を出して
就職活動時に慌ててエントリーシートを書き上げた世代である。
でも、もうそういう人材をしょうがないなと受け入れゼロから教育する時代ではなくなったのだ。

というわけで、厳しいことは厳しいが、完全に既卒がアウトというわけでもなく、企業が望む
ような経験を1、2年の間に積むことができれば、門戸は開かれるだろう。
もちろん、それはセミナー掛け持ちとか会社回りといったことではなくて、個人的にはとにかく
どんな会社でもいいので就職して第二新卒で、というのが最善だとは思うけれども。

とても小さな小さな突破口ではあるが、卒年度から実力にシフトする流れが出てきたことは
良いことだ。意外にこういう小穴から、日本型雇用という石垣は崩れ始めるかもしれない。

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11 コメント

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少しよくなりました (ネルフ本部)
2011-01-25 17:52:18
 少しですが、既卒者にやさしくなりました。

 初代就職氷河期組にとっては、この流れが2002年くらいに起こって欲しいと思いました。

 本人のやる気や能力向上だけでは無理(=卒業後正社員としての職歴がないので門前払い)なところは、企業・政治が後押ししてもらわないと就職できません。

 30代のフリーターにやさしい非ブラック企業は合わられてほしいと思う今日この頃。そのために簿記やパソコンのスキルアップに励まなければともいます。
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無題 (Ts)
2011-01-25 22:38:33
>企業が望むような経験を1、2年の間に積むことができれば

「TOEIC900と税理士科目合格ぐらい持ってれば面接に読んでやるよ」ってこと。数年前、新卒に「即戦力が欲しいんだ」と真顔で言った連中の話を素直に受け取って、ドツボにハマる若者が増えないことを祈る。
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良かった! (お父ちゃん)
2011-01-25 22:40:02
 既卒者が「実力で」評価され始めたとのこと、凄くうれしく思います。

 私は政治からの横やりで「無能な」既卒者が無理やり就職させられることが何より心配でした。誰のためにもなりませんから。民間企業がきちんとその辺を見極めているのであれば、まだまだ日本も捨てたものではありません。

 今後は新卒が既卒か?日本人か外国人か?というような

「今まで重要と思っていたけど実はどうでもよかったこと」

による採用のフィルタは無くなり、純粋に良い仕事ができそうな人材から内定を得ていくのでしょう。素晴らしいことだと思います。

 橘玲氏が以前
「実力主義は国籍などによる差別がない平等な社会を作るための基本インフラだ」
という内容の事を書かれていたと思います。
私は「平等な社会」が出来上がることを歓迎する者ですが、今回の就職氷河期が結果として「平等な社会」を作っていくかもしれないと考えると、少し複雑ですね。出来れば不況によって偶然できるのではなく、政治が意思を持って環境を作ってほしかったなあと。
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既存の価値観は (あげ)
2011-01-25 23:04:32
既存の価値観は、この2,3年の間に瓦解しそうですな・・・

年金(社会保障)も、就職(職業訓練)も。

日本って、安定期と動乱期の境が激しいように思います。
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Unknown (Unknown)
2011-01-25 23:13:37
「意外にこういう小穴から、日本型雇用という石垣は崩れ始めるかもしれない。」

どうでしょうね。既卒とはいっても、新卒らしくふるまえる既卒が求められているという面はどうしてもあると思います。すなわち、本音はできる新卒がほしいんだろうなということですね。どの業界でも、会社である以上どうしてもその会社固有の業務という部分があり、会社の業務教育に耐える人材というのが大切になってくるからです。学校や資格では業務に入る前の常識の部分までしかできないですからね。

私は、必ずしも卒業年度と年齢を意識した新卒でないとこういう業務教育に対応できないとまでは思いませんが、新卒であるほうがすんなり教育に対応できるため、戦力化までのコストにおいてそのほうが有利であるとは言えるのだろうなと思います。

既卒は新卒らしくふるまうからいれてくれといいますが、教える側は同い年や年上に業務を教えなければいけないのですからたまったものではありません。人事になんでそんな人をいれるのかとクレームもいくでしょう。

結局、こういう部分のクリアが難しいため、日本型雇用の見直しが今進んでいるのだと思います。
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日本人の国民性 (落第小僧)
2011-01-26 00:06:16
大手の電器系企業が、こぞってアジア人のエンジニアや営業マンを採用するというニュースを読みました。

今まで、新卒日本人至上主義だったのに、いよいよ日系大企業も、「年功序列」、「終身雇用」という過去の慣例を捨てて大胆な雇用制度(おそらく昇進制度も)の変革をもたらしましたね。いずれこうなるとは思っていましたが、やはり急激な変革と思いましたね。

日本人は、ダメだと内心わかっていても、本当にダメになるまで組織の在り方や、作業などを継続する性格というか、性質がありますね。それで、時期がくると、一気に何でも変えちゃう。

戦前、「鬼畜米英」、「英語は敵の言葉」、「大日本帝国万歳」などと言っていたのに、戦後は、英米かぶれになり(例:ビートルズやアメリカ映画)、英会話学校が乱立し、自虐的教科書を書くようになるのです。まあ、思い込みが強すぎるのね。

それはともかく、ぼくは一番の問題は何かと言えば、前にもコメントさせて頂いたように、「教育システムや教育内容を自由に変えられない」、「時代の趨勢や先を見越した対応が出来ない」、という点に要約されると思います。

確かに、文科省の役人にも問題があるでしょうけど、やはり大学教授や学校の教師らが、自分たちの指導方法や指導内容を思い切って変えられない点にあると思います。でも、見方を変えれば、彼らは過去に習得した知識や技術と、教師としての経験と勘だけに頼って惰性でやってきたということではないでしょうか。糸ことで言えば、彼等・彼女等こそ、幅広い意味で学んでいないのです。

もうひと昔の韓国、中国、ロシア、台湾、インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイ、カンボジア、ベトナム、インドなどではありません。やはり、特に十代、二十代の若い人たちは、もっともっと隣国からはじまって、世界全体をみて、体験してほしいですね。そうしないと、日本企業ですら相手してくれません。

三十代以上の人たちも、もっともっと勉強をして、時代の変化に立ち向かうべきだと思いますね。まだまだ、日本人は一発逆転させる余力と余地がありますよ。

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Unknown (Unknown)
2011-01-26 19:37:50
はやく新卒・既卒なんて概念がなくなればいいのに。
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同感です。 (Unknown)
2011-01-27 21:41:01
既に行っている第二新卒採用の言い方を変えただけだと感じましたが、一方で年功序列を捨てるベクトルに向く力になるのであれば、この取組みは評価に値すると感じました。
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Unknown (FF(海の向こう))
2011-01-29 06:06:46
この既卒者も新卒者と同じ扱いと言うことは今後の採用方法が大きく変わることを意味していると思います。

アメリカでも1970年代は大学卒業者を新卒で雇っていました。ついこの間の話かもしれません。現在はマネージメントクラスの候補生は新卒と言うより新聞やインターネットのサイトに細かく条件を提示して直接やリクルート会社からの紹介で採用していきます。
例えば日本で言うところの財務/経理部だと条件がA:3年の経験 B:日商1級、税理士科目合格 D:償却に詳しい方C:大卒か修士以上だと望ましい。……など。何人か優秀なのを雇って内部で競争させます。

既卒者もうけいれるということはある意味で新卒者も必要ないわけで。欲しい人材をいつでも条件を絞って採用すればいい。どうしても新卒で必要なのは他の色に染まっていないソルジャー営業職ぐらいなものでしょう。

これは新卒者だけではなく、特殊な技能や、能力が高い人間以外は必要ない、一度線路から外れてしまうとなんとなく時間が経ってしまった既卒者ですらも入り口がなくなってしまう世界、つまり今と同じで線路がさらに狭くなる、新卒者の枠が狭くなる状況になると思います。既卒者と言うのは他社で経験を積んだ優秀な第二新卒と言う意味ですから。

まあ、日本に限らず“人間を雇ったら負け”と言う潮流は先進国共通の悩みでしょうが。
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海外で働く (ブラウンタビー)
2011-01-29 07:10:02
これからの若者は海外で働くものと考えたら、企業も日本人学生を採用する気持ちになれるのではないでしょうか。最近は、女性も海外で働くケースもあり、海外で働く男性を結婚相手にする事が出てくるかもしれません。
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