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なんか使いづらいな・・・

エコノミストを格付けする

2009-10-05 18:55:08 | 書評
エコノミストを格付けする (文春新書)
東谷 暁
文藝春秋

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この人は、自らのビジョンを明示しない人なので、はっきりいって
好きではなかった。
その点については、本書も前作からまったく進歩していない。

ところが、今回はなかなか面白い一冊に仕上がっているから不思議なものだ。
これといった主張が無い分、全方位で批判を加えているおかげだろう。
主義主張によらず、名のあるエコノミストを引っ張り上げては批判を加える。

「竹中氏の発言はもはや経済学者のものではない」
「中谷巌は、そのうちまた別の旗を振るだろう」etc...
(特にリフレな人は怒りで発狂すると思うので読まない方がいい)

もちろん、冒頭のような著者の主張には違和感を感じるが、反面、よく見ている
なとも思う。なにせバブル当時から、各人の発言をマメに追っているのだ。
2、30代の読者なら、きっと「へえ、この人、十年前はこんなこと言ってたのか」
という発見があると思う。
著者の評価基準のひとつは、発言のぶれなさにあるらしい。
そういう読み物として読めば面白い。

もっとも、個人的にはぶれるならぶれるでいいことだと思う。状況が変わったので
あれば、スタンスもむしろ変わるべきだろう。
明らかに自説が崩れたのに、いろいろ理由をつけて固執し続ける人を見ると、
確かにカルト呼ばわりされるのも仕方無い気もする。

まあそんなこんなで、本書は最高ランクに金子勝先生がお入りになられるという
近年の出版物としては稀有なつくりになっている。
きっとマル経一筋に男気を感じたのだろう。
まさに経済エンターテイメントな一冊である。


※同じマル経でもモリタクが最低評価なのは通だ。

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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (おさむ)
2009-10-05 19:57:29
ところでvoice-wave.jpはいつ再開されるのですか?
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それにしても中谷氏は (yasu)
2009-10-05 20:39:49
ぶれかたがすごいと思いますが(笑)
「eエコノミーの衝撃」は葬り去りたい過去なんじゃないですか。

当時、あの本に影響を受けた人は唖然とするしかないですね。
私もですが(笑)
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意外に読める!? (山田祐太)
2009-10-05 20:58:48
先日、僕も書店で立ち読みしました。
金子勝氏とリチャード・クー氏が高く、竹中氏や八代氏の評価がイマイチだった気がします。

上記理由でパラパラとしか読みませんでしたが、意外に読める内容だったんですね・・・。
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Unknown (めるめる500☆)
2009-10-05 21:17:46
>2、30代の読者なら、きっと「へえ、この人、十年前はこんなこと言ってたのか」

>まあそんなこんなで、本書は最高ランクに金子勝先生がお入りになられるという

そういえば、10年前は金子先生は木村剛先生以上の超ハードランディング路線論者でしたね。
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関係ないですが (柳生十兵衛)
2009-10-05 21:38:57
経団連次期会長、パナソニック会長の中村邦夫氏が有力視されています。なんでも民主党とのパイプを持つために同じくパナソニック出身の連合・古賀氏とのつながりを重要視するからだそうな。なんか経営と労組連帯の構図が見えてきましたね。
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経団連つながり(かな?) (higuti)
2009-10-06 00:26:00
本日の講演会で、金融担当大臣の語ったエピソード。↓
http://mainichi.jp/select/today/news/20091006k0000m020085000c.html

日本型経営を守るため、クビを切る前に、内部留保を取り崩すべき、と会談で話したそうです。
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亀井さんは切った方がいい ()
2009-10-06 11:46:40
>10年前は金子先生は木村剛先生以上の超ハードランディング路線論者でしたね。

そういえば金子さんと木村さんが対談してたような。それも週刊金曜日で。何を話したんだろう…。

>日本型経営を守るため、クビを切る前に、内部留保を取り崩すべき、と会談で話したそうです。

この程度の人で金融大臣て務まるものなのか。
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何でこの人の本を毎回読んでいるのですか? (マルセル)
2009-10-07 10:21:01
> 本書も前作からまったく進歩していない。

以前この人が書いた"IT革命は幻だった"とかいう新書を読んで、ITを知らない輩がITについて語るなと思いました、まあご本人の専門外について書いてしまった一冊の本だけで判断するのは危険なのですが、以来この人の本は立ち読みすらしていません、城さんは何でこの人の本を毎回読んでいるのですか?

> バブル当時から、各人の発言をマメに追っているのだ。

この点だけは使えそうですね、覚えておきます。
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俗流経済学 (瀬久原志太郎)
2009-10-08 11:04:46
その昔、マルクスが批判した俗流経済学とは、今日マルクス経済学者自身であったというのは、何ともまぁ皮肉な話です。
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