備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム32.中津山願興寺

2008-08-16 11:15:01 | Weblog
中津山願興寺(なかつさん がんこうじ)。天台宗の寺院で、本尊は千手観音。報恩大師開基の備前48ヶ寺の1つと伝えるが、その後、鎌倉時代中期まで資料に登場しなくなる。周辺が「肩脊城」という天然の山城として利用され、何度も戦火に遭ったことで、多くの資料を失ったらしい。ついには、寛文6年(1666年)岡山藩主池田光政の宗教政策によって廃寺となり、「金山寺」の努力により寛文9年(1669年)大乗院と大円坊(後に光明院)が再興されたという。最盛時は15坊あったというが、現在は1寺(大乗院?)のみとなっているようだ。
場所:岡山市東区瀬戸町肩脊728。県道221号線(一日市瀬戸線)から、岡山県消防学校の向かい側(北)のやや狭い道を入り(入り口に「願興寺」への案内板がある。)、約1km。右手に雨垂布勢神社があり、その先、すぐ左手に山門(仁王門:写真上)がぽつんと立っており、更にその先に、こぢんまりとした当寺(写真下)がある。駐車場あり。
所在地の「肩脊」は、珍しい地名だが、「和名抄」(平安中期成立)にも「肩脊(加多世)郷」の記載があるなど、起源は古い。かつて砂川によって作られた大沼を利用して開発された地区のため、その名がついたともいう。明治22年には肩脊を含む3村の合併で「潟瀬村」と称したことがある。肩脊には、赤井(閼伽井)・尾原井・白拍子井・塩井という4つの井水(泉)があるといい、雨垂布勢神社とともに、水に縁がある地区である。

写真上:山門


写真下:願興寺




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