備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム34.岩生山元恩寺

2008-08-20 22:02:19 | Weblog
岩生山元恩寺(がんしょうさん がんおんじ)。天台宗の寺院で、本尊は千手観音。
場所:和気町原308。県道96号線(岡山赤穂線)沿い、吉井川が南から西へ大きく曲がる右岸にあり、山門が県道に面しているので、すぐわかる。駐車場あり。
備前48ヶ寺の1つで、天平勝宝年間、報恩大師開基という。もとは、現在の本堂の裏山の裏に位置する「榎谷」にあったが、康保2年(966年)に播磨国書写山の信源上人(現・天台宗別格本山書写山圓教寺開基の性空上人の弟)が現在地に移し、最盛時には36坊あったという。その後、寺勢が衰え、寛文年間(1661年~1672年)に一山焼失した。6~7ヶ寺が再建され、「三学坊」が本坊として「元恩寺」を名乗り、ほかに妙行院、宝積院などがあったが、現在はそれぞれ小堂を残すのみとなっている。
国内神名帳に載る古社「石根依立神社」は当寺の西隣の地続きで、境内に山王社もある。かつて「三学坊」の住職が「石根依立神社」の社僧となっていたという。
「石根依立神社」というからには、磐座と関係がありそうだが、同神社の項(2008年6月1日記事)で書いたように、近くで有名なのは「イモリ岩」だが、それとは関係が薄いのではないかとする説もある。当寺が「榎谷」から移転してきたとすれば、同神社も同時に移転してきた可能性もある。「榎谷」の正確な場所が不明だが、ひょっとすると、外国山の大岩が磐座だったかもしれない。
ただし、同神社の裏山には「丸山古墳群」があり(最大のものは帆立貝式古墳の可能性があるという。同神社の所有地内にあるらしい。)、その更に北に「天皇たたら跡」(製鉄炉跡)という史跡もあるなど、交通の要所というだけでなく、早くから開けた土地であったと思われる。

和気町公式Webサイトから(「丸山古墳群」、「天皇たたら跡」など):http://www.town.wake.okayama.jp/history/shiseki_tyo.html#ct19
http://www.town.wake.okayama.jp/history/shiseki_tyo.html#ct8

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