備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム79.熊山の上之宮・下之宮

2008-11-10 20:32:39 | Weblog
「熊山神社」のある熊山山上の駐車場から少し南に下ると、「油滝神社」(あぶらたきじんじゃ)があり、これを熊山の「上之宮」(油滝神社)と「下之宮」(姫神社)といっている。これは、後花園天皇(在位1428~1464年)の頃、都から落ちのびて来たが当地で亡くなった高貴な姫2人をそれぞれ祀ったものといわれる。二座御神号の軸には「油滝大明神吉祥天女」と記され、明治維新までは「大滝山福生寺宝寿院」の受持ちであったという。元は寺院の鎮守神であったのかもしれない。維新後は、神仏分離により「大内神社」の受持ちとなり、祭神も「山の神(大山祇神)あるいは大水上神」と「姫神あるいは高水上神」とされた。姫伝説以前に水神信仰があったのかもしれない。
言い伝えとしては、瀬戸内海からも当社の鳥居が見える(?)というので、漁師仲間からも信仰されたという。大正9年(1920年)に「大滝神社」とともに、備前市大内の天神社境内に合祀されたが、すぐに灘村(現・岡山市灘崎町)の漁師の支援によって跡地に小祠が建てられ、行者が住みつき、昭和になって現在の社殿に建て替えられたという。それだけ熊山が聖地であったということだろう。
なお、熊山山麓に社務所(備前市香登本1136)があり、その北に参道入口があるが、道はかなり荒れており、参拝するなら自動車で山上の駐車場まで行き、上から下りたほうが安全。神社まではよく整備されている。

(油滝神社については「備前熊山の上之宮と下之宮」(吉崎志保子「歴史研究」第200号による。)

「野掛け遊び」さんのHPから(熊山):http://www.jttk.zaq.ne.jp/nogake/Yama0701/kumayama.htm


写真上:熊山油滝神社上之宮


写真下:熊山油滝神社下之宮

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