備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム223.一宮(その20.出雲国・熊野大社)

2009-11-13 19:48:58 | Weblog
熊野大社(くまのたいしゃ)。
場所:島根県松江市八雲町熊野2451。安来道路「東出雲IC」から県道53号線(大東東出雲線)に入り、南西に約11km。駐車場あり。
「日本書紀」(720年)にある「出雲国造をして厳神の宮を作らしむ」というのが当神社のことであるとする。これは「出雲大社」のことであるとする説もあるが、「出雲国風土記」(733年)には「熊野大社」として記されている。祭神は加夫呂伎熊野大神櫛御気野命(「出雲国造神賀詞」による。)とされるが、これは素戔嗚尊の別名であるという。ただし、クシミケというのは「奇・御食」で、もとは食物神であろうといわれている。また、「熊野大社」といえば、紀伊国「熊野本宮大社」が有名であるが、当神社から分霊されたという説と、同名でも全く別々に創建されたという説がある。クマ=神の意味があることからすれば、神のいる場所としての「熊野」が各地にあってもよい。なお、現在の当神社はもと「下の宮」で、南西約500mに「上の宮跡」があり、その背後にある御笠山から、元宮があったとされる天狗山(熊野山)を遙拝するようになっている。
さて、出雲国一宮といえば「出雲大社」であるが、もとは当神社のほうが一宮であったとされる。時代が下るにつれて勢力の交代があったわけだが、こうした場合、仲が悪いか、互いに無関心であることが多いが、当神社は「出雲大社」の社家である出雲国造家との繋がりも深く、「出雲大社」宮司である出雲国造の代替わりの際には、当神社内にある「鑽火殿」において燧臼・燧杵に起こした神火で調理した食事を神前に供える儀式(火継式)を行うという。


熊野大社のHP:http://www.kumanotaisha.or.jp/

玄松子さんのHPから(熊野大社):http://www.genbu.net/data/izumo/kumano_title.htm


写真上:県道沿いにある鳥居。傍らの石柱に「出雲国一之宮熊野大社」とある。


写真中:拝殿


写真下:鑽火殿