早稲田建築AO入試 空間造形力エキスパートコーチ 高橋順一の日記:合格最短の秘密


国内外美大デザイン受験指導32年約1000名累計合格率89.9%
/早稲田建築AO他10年指導コーチング

“建築とことば”

2018-03-24 09:29:28 | 早稲田建築AO受験マスタ−コーチの秘密

 

ふつう、木造よりもコンクリートの方が強いというイメージがあるけど、それはどうも違うようだ。というのも以前読んだ、最後の宮大工である故・西常一氏の名著「法隆寺を支えた木」では、飛鳥時代の宮大工は1400年育った檜を使い、世界最古の木造建築群である「法隆寺」を造営した

 飛鳥時代の7世紀から1400年以上も木造で建っていることは本当に奇跡といえるが、そこには飛鳥宮大工の素晴らしい技術を超えた知恵が隠されていた。当時の檜は1300年そだった森がありその木を使い法隆寺を建てた。中心の柱は”心柱”という3つに分かれた木をつないでいて、それがすべての5重の屋根と瓦、そして東西南北の壁の大きな荷重を支えている。そこには釘やボルトなどではなく”ほぞ切り”という木造建築に使われる、様々な高度な組み合わせの接合方法が使われている。

一部には釘があるが飛鳥の釘は刀鍛冶が作る製法でつくられ、鍛冶屋の銘が刻まれている純度100%の砂鉄である。そのほぞ切りは100年後、あるいは数百年でどのくらい木が縮むかも想定している、これは奇跡といえるとても高い高度な知識を超えた知恵であり、本当のノウハウはこういうことを指すと云える。また驚嘆されることは、東の壁面はすべて東の斜面に植えられていた、檜を使いほかの西、南、北の壁面もまたその方向に植えられていた。

 檜を使って、それぞれの面の木材をほぞで接合する時には、100年後の木のゆがみや縮みを計算していて、これが”適材適所”という現代の人事用語の語源であるという。当時の宮大工の”棟梁”は様々な一癖も二癖もある気難しい大工をどのようにまとめていくかが、最後の目標である素晴らしい建築芸術という作品へ完成できるかに知恵をこらしたという。「木組みは人組」という言葉を西さんは書いている。

 建築という様々な人の協力が前提では、チームでのまとまりは高い理念の実現には目的意識の共有が前提であり、それぞれの大工の誇りを引き出していく当時の棟梁はリーダーシップ戦略の要と云える。

 

 少し話が外れるが、現代の小中高校などの教育現場での登校拒否や子供たちの自殺などの大きなひずみも、あた、子供の自尊心の健全な育成と教育環境と仕組みが壊れているといえる。新しい時代にあった自由でのびのびとそれぞれの子供に合う教育は、その子供の強みを教師が引き出すことでその子の適性を伸ばすことができる。

 子供への信頼や期待、教育者としての大きな慈愛が前提であり、規則だらけの全体統制方式の恐怖政治では一番弱い子供にそれらの”ゆがみが出てくると云えるアートである”オーケストラやジャズのビッグバンドやまた、チームスポーツなどもまた同様の問題も秘めていて、最近の欧米や日本のスポーツ界でのパワハラやセクハラもまた、規則だらけの全体統制方式の恐怖政治ではうまく機能しないと云える。政治や様々な分野でも人格主義の時代の基準である「モラル」が前提の時代が望まれていると云えるのではないか?


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